2009年9月3日 (木) 掲載

◎歓声に包まれ船体着水 函館どつく本年度4隻目

 函館どつく函館造船所(函館市弁天町)で2日、本年度4隻目の新造船「ORIENT HOPE(オリエントホープ)」(約1万9850トン)の進水式が行われた。市内の小学生ら約300人が見守る中、赤と黒の巨大な船体が函館港に着水した。

 新造船は海運会社「オリエントライン」(愛媛県松山市)が発注した全長約175・5メートル、幅29・4メートルのパナマ船籍の木材兼ばら積み船。函館どつくが独自に開発した「スーパーハンディ32」型としては34隻目で、喫水約9・6メートルと浅いため、水深の浅い港でも出入りできるのが特徴だ。

 今回は北海道海事広報協会(小樽)の呼び掛けで、函館北美原小の5年生約120人も見学。発注元の関係者が船首に取り付けられたくす玉やシャンパンを割り、貨物船が海に向かって船台を滑り降りると、見学者は歓声を上げながら盛んにカメラを向けていた。

 児童らは「ハトが出てきてびっくりした」「思ったより大きくて速かった」などと一様に目を丸くしていた。同船は今後、内装工事を済ませ、10月中旬に船主に引き渡される。同社は現在、年間8隻体制で建造していて、2012年度まで受注残を抱えている。



◎支庁再編基本フレーム 道が修正案を報告

 【札幌】道は2日、渡島など9総合振興局と桧山など5振興局の組織体制をまとめた「基本フレーム(修正案)」を道議会の道州制・地方分権改革等推進調査特別委員会に報告した。総合振興局・振興局のいずれも、産業部門の充実強化を求める道町村会(会長・寺島光一郎乙部町長)や江差町など関係市町村の意見に配慮して、6月に公表した素案に盛り込んだ産業振興部門の1課集約を撤回し、現在の14支庁の組織体制をほぼ踏襲する格好になった。

 修正案によると、総合振興局は、地域政策、保健環境、産業振興、建設の4部体制とする。現在の土木現業所は建設部として内部部局とする。本庁部長級の職員を充てる総合振興局長の下には局次長2人(本庁次長級)を置く。土木現業所が無い振興局は、地域政策、保健環境、産業振興の3部体制。振興局長は総合振興局と同格の本庁部長級。局次長は1人体制だが、隣接する総合振興局で建設部を統括する局次長が振興局参与を兼務することで、広域的な土木行政に関する調整に当たる。

 素案段階では、総合振興局・振興局ともに「地域産業課」の1課体制に集約する方針だった、農務、農村振興、水産、林務、商工労働観光の5課は現行通り存続させる。総合振興局と振興局の部長を本庁次長級、課長を本庁課長級に昇格させるとの方針についても、道町村会などが「管理職の増加は行革に逆行する」として、見直しを求めたため、修正案では、部・課長の格付けは、現行通り本庁課長級・主幹級とした。しかし、修正案では、素案には無かった、本庁次長級の局次長や、本庁課長級の室長を新設した。

 道は支庁再編と並行して、2014年度までに、14支庁で2000人の職員を削減する方針だが、管理職ポストを温存する一方、現場スタッフの削減を進める道の方針に、道町村会などの反発も根強い。また、修正案で示された組織体制をめぐり「現体制とほとんど変化が無い。看板を掛け替えるだけの支庁再編を進める必要があるのか」との批判も道内部や道議会で浮上。支庁制度改革の意義や目的をめぐる議論が再燃する可能性もはらんでいる。



◎民主の「子ども手当」 違いは?市民問い合わせ

 衆院選で大勝し次期政権を手中にした民主党の目玉政策「子ども手当」と従来の「児童手当」、現政権が実施する2009年度「子育て応援特別手当」との違いは何か―。函館市子ども未来室に2日、市民からこうした問い合わせの電話が数件あった。同室は「子ども手当についてはマニフェストにある知識しかない」と話し、今後の制度設計など情報を待っている。

 子ども手当について、民主党のマニフェストには「子ども1人当たり年31万2000円(月額2万6000円)を中学卒業まで支給する。ただし10年度は半額支給で、全額実施は11年度から」とある。

 一方、国の制度で30年以上続く児童手当は、親の所得要件を満たした3歳未満の児童に月額1万円、3歳から小学校6年生までは基本的に月額5000円を支給している。函館市の昨年度の支給児童数は約2万1500人、支給額は約16億9500万円という。

 さらに、定額給付金事業と合わせて08年度分として実施済みで、09年度も支給する子育て応援特別手当は、就学前3年間の児童を対象に1人3万6000円を支給する。市の対象児童は約6000人で、9月定例市議会に2億2635万円の補正予算案を提出する予定。

 無駄遣いの根絶を掲げる民主党は、本年度補正予算の一部を執行停止する考えも示している。そうした中で子育て応援特別手当について、同室は「予定通り実施する準備を進めている。民主党も子育て支援を重視しているため、中止はないのでは」とみる。

 しかし、来年度から実施予定の子ども手当の問い合わせにはお手上げ状態で、従来の児童手当との関係などの詳細は「国(新政権)の方針を待つしかない」と悩んでいる。


◎多彩な5作品上映 4日からユニバーサル映画祭

 【北斗】「第4回道ユニバーサル上映映画祭」(実行委主催)が、4―6日に北斗市総合文化センター(中野通2)で行われる。第1回アカデミー賞監督賞などに輝いた1927年のサイレント映画「第七天国」の弁士とピアノ伴奏付き上映など多彩な5作品の上映に加え、「三本木農業高校、馬術部」(08年)の佐々部清監督も応援に駆け付け、舞台あいさつする。

 同映画祭は健常者も障害者も一緒に映画を楽しむ環境づくりを目指し、音声ガイドや日本語字幕、補聴援助システム、手話通訳、ミュージックサインなどを独自に付けて上映するのが特徴。

 今年は初めてHAM(函館芸術会議)の「ユニバーサルライブ」を初日に企画。りぼんやm○kaさんが出演する。2日目のトークゲストには障害学生支援を進める団体「京都リップル」の深田美知子さんらを招く。毎年恒例のシネマカフェも用意する。

 「第七天国」は第一次大戦前夜のパリを舞台に、恋に落ちた下水道掃除人の若者と娘の姿を描く。活動弁士斉藤裕子さんの語りとピアノの生伴奏付きの上映を試みる。

 チケットは3回鑑賞券で一般1500円(当日1700円)、小、中、高校生800円(同1000円)、1回券は一般800円、小、中、高校生500円。問い合わせは事務局(函館保健企画内橋本)TEL0138・31・0010、同センターTEL同74・2000。

 ◇4日▽午後5時15分「ユニバーサルライブ」▽同6時「旭山動物園物語」

 ◇5日▽午前10時半「いのちの作法」▽午後1時10分「第七天国」▽同4時10分「高校生制作体験発表会とゲストトーク」▽同6時10分「交流会」(会費4000円)

 ◇6日▽午前10時半「三本木農業高校、馬術部」▽午後1時半「河童のクゥと夏休み」▽道4時半「旭山動物園物語」


◎勇気ある行動 4人に感謝状 ひったくり犯逮捕に協力

 函館西署は2日、8月29日に同署管内で発生したひったくり(窃盗)事件で、容疑者逮捕に協力した男性4人に感謝状を贈った。伊藤勝博署長は「皆さんの連携と勇気ある行動で次の犯罪抑止に大きな効果がある」と4人に感謝していた。

 感謝状を受けたのは、函館市新川町、自営業松田晃二さん(57)、北斗市東前、会社員竹田学さん(38)、函館市上野町、会社員藤原清志さん(32)、同市中道2、七飯高校2年村上健太郎君(16)の4人。

 4人は、8月29日午前9時40分ごろ、同市田家町の路上で近くに住む80歳の女性が現金入りのバッグを無職男(27)に奪われた事件で、発生現場や男の逃走現場に偶然居合わせた。

 女性の悲鳴を聞いた松田さんはトラックで、竹田さんは走って、逃げ去る男の自転車を追い掛けた。松田さんはトラックを幅寄せして、男を捕まえようとしたという。松田さんは途中で見失ったが、小路から出てきた男を見つけ、近くにいた村上君、藤原さんも松田さんの「泥棒だ」と言う声を聞いて加勢。発生現場から約800メートル離れた八幡町の路上で男を取り押さえ、同署に通報した。

 松田さんらは「おばあちゃんがけがをしなくて良かった」「身近でこのような犯罪が起きるとは思わなかった」「このような犯行はもうしてほしくない」などと振り返っていた。