2009年9月5日 (土) 掲載

◎万一に備え着衣泳練習 万年橋小

 函館万年橋小学校(加藤正男校長、児童132人)の5、6年生計38人を対象にした着衣泳講習会が4日、函館市吉川町の同校プールで行われた。函館海上保安部の職員らが指導し、子どもたちは背浮きの仕方やライフジャケットの着用体験などに取り組んだ。

 海中転落の死亡事故を減らし、ライフジャケットの大切さなどを伝えるのが目的。

 子どもたちは服を着たままプールを歩き回り、着衣状態での水中の動きにくさを実感。上を向いたまま体を真っ直ぐにして水に浮く「背浮き」を練習した後、ペットボトルを使っても体験した。その後、ライフジャケットを着て海の事故発生時の緊急電話番号「118」の形に人文字を作り、一管本部函館航空基地のヘリコプターから職員が航空写真を撮った。写真は今後、啓発活動の一環としてホームページなどで掲載する。

 5年生の佐々木文哉君(10)は「ライフジャケットは沈まなくて面白かった。もし海で溺れたときは練習したことをやりたい」と話していた。



◎地方4団体との公開協議も 支庁再編で高橋知事

 【札幌】支庁制度改革をめぐり、高橋はるみ知事は4日の定例記者会見で、新しい支庁の組織機構や総合振興局に集約する広域事務をめぐる、道町村会(会長・寺島光一郎乙部町長)など、地方4団体との協議について「4団体に働きかけて公開の協議の場を持つことも必要」との考えを示した。

 高橋知事は「丁寧な事前協議により地域の理解を得る必要がある。表に出たオープンな協議も必要」と述べた。道は3月末に改正した支庁再編条例に、総合振興局・振興局の組織体制や広域事務の取り扱いについて、関係市町村長の意見聴取を行う条項を盛り込んだ。条例施行後には、江差町など振興局地域で協議の場を設けるほか、道市長会、道市議会議長会、道町村会、道町村議会議長会の地方4団体による道段階での協議も行うことで合意している。

 しかし、市町村や4団体との協議が遅れ、条例施行のめどが立たない状態にあり、公開協議を通じて、停滞している議論の突破口を開きたい考えとみられる。10月1日としていた再編条例の施行期日については「まだ決めていない。施行期日の周知にも一定の期間が必要。近々に結論を出したい」と述べるにとどまった。

 一方、函館と丘珠、旭川、釧路、奥尻を結ぶ4路線など計6路線を運航する北海道エアシステム(HAC)の経営をめぐり、株式の51%を出資する日本航空(JAL)が、出資比率引き下げを道に要請する方針を示していることについても言及。HACが運行する道内航空路線について「基幹的航路をはじめ、奥尻線などは観光面で重要。道内活性化に貢献するものであり、路線の維持存続を何としても考えなければならない」としたが、道が深刻な財政難に陥っている現状から、厳しい対応を迫られることも予想されるとの認識を示した。0ァ40ィ(松浦 純)



◎函館市の虐待報告増

 函館市要保護児童対策地域協議会と道函館児童相談所がまとめた2008年度の児童虐待状況によると、通告のあった函館市内の虐待件数は、同協議会分は前年度比2・7倍の77件と大幅に増加。同相談所分も同8%増の94件だった。市子ども未来室は「虐待自体が増えているというわけではなく、児童虐待に対しての正しい認識が根付いた結果、通報が増えたのではないか」とみている。

 このほど函館市役所で開かれた同協議会(会長=岡田芳樹・函館市福祉部長)で報告された。同協議会分は、調査を始めた06年度以降で最も多い件数。内容は、身体的虐待は全増の13件、育児拒否(ネグレクト)は前年度比36件増の54件。心理的虐待は同1件減の10件で、性的虐待は報告がなかった。このうち児童相談所に一時保護されたケースは7件、ほかは経過観察となった。

 本年度は7月末現在で合計36件が報告されており、中でもネグレクトが最も多い17件を占めている。

 同相談所の函館市分も、01年度以降最も多い件数だった。内訳は、身体的虐待は前年度比18件増の43件、ネグレクトは同7件増の35件。心理的虐待は同15件減の16件だった。

 同相談所が管轄する道南全体では153件が通告され、前年度より9・5%(16件)減少した。函館市に次いで多かったのは北斗市で、前年度比16件増の23件だった。森町は前年度より28件減少し、10件だった。檜山では江差、乙部、奥尻の3町が、それぞれ3件だった。

 年齢別では小学生が最も多い60件。次いで3歳から就学前児童が39件、中学生が22件。0―3歳未満は19件、高校・その他は13件だった。また虐待を含めた全体の相談は1277件で、障害相談が最多の796件を占めた。


◎障害者も健常者も同じ作品楽しむ 道ユニバーサル上映映画祭開幕

 【北斗】「第4回道ユニバーサル上映映画祭」(実行委主催)が4日、北斗市中野通の市総合文化センターで開幕した。初日はライブと「旭山動物園物語」(2009年)の上映が行われ、来場した家族連れや障害者ら約70人が音楽や映画を満喫した。

 オープニングで行われたHAM(函館芸術会議)の「ディ・セラ ユニバーサルライブ」では、m〇ka(モカ)さんやりぼんらの演奏をミュージックサイン「わたげ」のメンバーが身振り手振りで表現。6月から全国踏破を目指している全盲のアマチュアカメラマン大平啓朗さん(30)も登場し、「心も体も大きくなって帰ってきた。旅のエピソードはたっぷりあるので声を掛けて」と話した。司会者からライブの感想を問われた観客の聴覚障害者は「聞こえる人と一緒に楽しめる」と答えていた。

 旭山動物園が日本一になるまでの軌跡を描いた「旭山動物園物語」の上映では日本語字幕、音声ガイド、手話通訳、ミュージックサインなどが付けられ、障害者も健常者も一緒にスクリーンに見入った。同作品は6日午後4時半からも上映する。

 5日の上映作品は長編記録映画「いのちの作法」(午前10時半)と弁士、ピアノ伴奏付きのサイレント映画「第七天国」(午後1時10分)。実行委の島信一朗代表は「いのちの作法」について「命の大切さ、尊さを描いた作品。障害者だけでなく、子育て中の母親や福祉関係者などさまざまな立場の人の胸に響くはず」と太鼓判を押す。

 1回鑑賞券は一般当日900円、ジュニア500円。問い合わせは同センターTEL0138・74・2000。


◎南茅部天然マコンブ、3年ぶり計画量確保の見通し

 高級だしの「白口浜マコンブ」として知られる函館市南茅部地区の天然マコンブ漁は、今季水揚げが430トン以上に達する見通しで、2006年以来3年ぶりに計画量を確保しそうだ。南かやべ漁協は「今年は沿岸全域でコンブの群落が回復しつつある。浜に活気が戻った」と安堵(あんど)している。

 同漁協によると06年10月の大しけでコンブ群落の若芽が流出する被害を受けた。例年は400―500トンの水揚げ量になるが、07年は好漁だった前年の5%弱に当たる約40トン。08年は約100トンにとどまり、ガゴメ(トロロコンブの仲間)などほかの種類の天然コンブを合わせても260トンだった。

 今年は7月17日に解禁され、中でも最高級の元揃(もとぞろえ)コンブの漁獲量が前年の2倍に当たる150トンと目標に達し、高値の取り引きも期待されている。同漁協は「量もさることながら実入りもよく上質」と話す。

 マコンブ漁は木直、安浦、川汲の3カ所が8月末で終了しており、尾札部、臼尻、大船の3カ所は続いている。