2009年9月6日 (日) 掲載

◎啄木の真価とは… 「国際学会」開幕

 「国際啄木木学会」(東京、太田登会長)の創立20周年記念函館大会(実行委主催)が5日、函館市のホテル函館ロイヤル(大森町16)で開幕した。初日は会員、一般の約200人が参加。開会式に続き、同大会を記念し函館市内の中学、高校生から募った「青春短歌」の表彰式や作家、新井満さんの記念講演が行われた。

 同学会は日本や海外で石川啄木の研究、普及を目的とし1989年に創立。会員は国内外に約250人。函館での大会は93年の第4回以来16年ぶりで、函館開港150周年の協賛として開催。テーマは「未来への架橋―啄木との対話」。開会式で太田会長は「会の節目の大会を啄木が人生の節目を迎えた函館で開くことは意義があり、国際的詩人の啄木の真価を問い、学び、考えたい」とあいさつした。

 青春短歌には、216人から459首の応募があり、最優秀賞に函館商業高校2年の高谷美菜さんの「今はもう振り返らずにラストラン熱い結晶背に乗せた夏」が選ばれた。高谷さんは昨年同校で立ち上げた文芸同好会に所属し、短歌は今年から始めた。陸上部の先輩が6月に開かれた高校最後の大会を終えた時の言葉に感銘し、自分の気持ちを率直にまとめたという。審査を務めた歌人の三枝昴之さんは「主題とリズムが一致し、歯切れの良い魅力的な歌」と評した。高谷さんは「受賞はすごくうれしい。これからも啄木の作品に触れ、活動していきたい」と話していた。

 新井さんは「啄木と音楽との出会い」と題し、自身が作った啄木組曲の誕生秘話を語った。20代の時に啄木の墓参をした時、啄木の短歌に曲を付けることをお願いしたことや、数首をまとめて作った歌を朗読したり、歌い上げた。新井さんは「感動を強調する以外は原詩に忠実に作った。文学と音楽は元々一つであり、啄木のように感動がある文にはメロディーが付けられる」と話した。

 2日目の6日は市中央図書館(五稜郭町26)視聴覚ホールで開催。午前9時40分から同11時55分までは会員3氏の研究発表。午後1時45分から太田会長と近藤典彦同会前会長の対談。同2時半からはインド、韓国らの会員4氏による国際シンポジウムが開かれる。一般の参加も可能で入場無料。(山崎純一)

 「青春短歌」で高谷さん以外の優秀賞受賞者は次の通り。

 塚本悟君(函館恵山中3年)=「広い海テトラポットのてっぺんで飛び込んだ後の夏の静けさ」

 田村暢哉君(函館ラ・サール中2年)=「学校の鐘の鳴る度澄む空気初めの心忘れはしない」

 山田健人君(同)=「新緑のが牛山背に啄木は今日も静かに何悩むのか」

 若山大介君(函館桔梗中3年)=「ふと思う自分は何か他は何か問いてみるたび世界が変わる」

 中山兼也君(同)=「塾に行く友といっしょに学ぶこと五本指には入りきらない」



◎エコライフ考える1日…緑の島で「フェスタ」

 幅広い世代に環境問題について関心を持ってもらう「はこだて・エコフェスタ2009」(環境フェスティバル実行委員会主催)が5日、函館港「緑の島」で開催された。環境美化活動に励む市内外の団体・企業などが展示コーナーを設けたほか、リフォーム品などを無料で提供。ライブなどの催し物も行われ、子どもからお年寄りまで大勢の来場者でにぎわった。

 1989年から毎年開催しており、今回で21回目。豊かな環境を次の世代に残すことを目的に、「海も、山も、川も…みんな僕らのもの」をテーマとした。この日は雨が心配されたが、徐々に晴れ間が広がり、4時間半で約8000人の市民が来場した。

 市消防音楽隊のファンファーレで幕開け。ステージでは同音楽隊による愉快な吹奏楽、バンド演奏、2回にわたり「仮面ライダーディケイドショー」などが披露され、子どもたちを喜ばせた。

 ごみに出されたのを修理した自転車や掃除機、オーディオコンポなどのリフォーム製品42点が抽選で当たるコーナーは、品物を確かめる市民で今年も盛況。リサイクルに取り組む個人・団体の活動を直接体験できるコーナー「コネコネ石けん体験」なども人だかりができていた。

 企業では、小電力で高輝度のバッテリー式のLED(発光ダイオード)投光機を展示した加藤組土建に多くの親子が訪問。「LEDは長い寿命が特徴。4万時間持つんだよ」との担当社員の説明に驚いた様子だった。このほかフリーマーケットや焼きそば、たこ焼きなどの売店も並び、来場者は海風を感じながら飲食も楽しんでいた。(長内 健)



◎がごめメニューに舌鼓…イベントに50人参加

 専門家の講義や試食を通してガゴメ(トロロコンブの仲間)に親しんでもらう「函館がごめカフェ」(函館がごめ連合主催)が5日、函館市大町の市臨海研究所で開かれ、市民ら約50人がガゴメの魅力を体感した。

 今年3月末まで行っていた文部科学省の都市エリア産学官連携促進事業の参画企業でつくる旧都市エリア成果品販売促進連合が行っていた行事を函館がごめ連合が引き継いだ。

 はじめに北大大学院水産科学研究院の安井肇准教授がガゴメの生態や特性について講義。生活習慣病の予防や免疫機能を高める栄養素があり、健康食や医薬品として付加価値の高い海藻であることを強調した。

 続いてガゴメ料理の試食に移り、参加者は炊き込みご飯や酢の物、デザートなどガゴメづくしのメニューを堪能。調理した函館水産物商業協同組合の秋保栄調理師がレシピを紹介し、調理のポイントをアドバイスした。

 このほか、同連合が運営するアンテナショップで販売している加工食品や菓子の試食コーナーも設けられ、参会者は味比べを楽しんだ。

 父親と一緒に来場した函館港小2年の松原菫さん(7)は「炊き込みご飯がおいしかった」と笑顔を見せた。同連合の須田新輔代表は「これから定期的に開いていきたい」と話していた。(鈴木 潤)


◎現状と最新の対処法学ぶ…南北海道認知症フォーラム

 【七飯】第5回南北海道認知症フォーラム(南北海道グループホーム協議会主催)「TAKE ACTION」が5日、七飯町文化センターで開かれた。約900人が参加。国内の第一人者から認知症医療の現状と最新の対処法などを学んだ。

 講師には認知症介護研究・研修東京名誉センター長の長谷川和夫聖マリアンナ医科大名誉教授、同センター研究部副部長の永田久美子氏、NHKチーフプロデューサーの小宮英美氏と、いずれも認知症研究の第一人者を招いた。

 このうち長谷川氏は「認知症の医療とケア―今とこれから―」と題して、アルツハイマー型認知症のメカニズムと経過、予防法などを分かりやすく説明。認知症ケアのポイントとして「対象相手の内面を大切にし、理解しようとする気持ちが必要。介護のストレスをためないように、一人で抱え込まないことも心がけてほしい」と訴えた。

 また、この日のフォーラムは、日本認知症ケア学界認定認知症ケア専門士の単位認定講座にも認められ、約800人が単位を取得した。

 同協議会(林崎光弘会長)は渡島・桧山管内の事業者の相互連携を目的に2003年に設立。現在は64事業所が所属し、毎年1回、大規模なフォーラムを開催している。また今回は第2回北海道グループホーム大会との共催となった。(小川俊之)


◎ソバ畑で優雅な舞…花観賞会で松前神楽奏上

 【福島】間もなく収穫を迎える福島町千軒のソバ畑で5日、「第8回福島町『千軒そば』の花観賞会」(実行委主催)が行われた。白い花が咲く中で、松前神楽を奏上。豊作や繁栄を鎮守に祈る風情ある光景に、大勢が酔いしれた。

 特産と伝統芸能を織り交ぜた内容で、福島の秋を代表する催し。7月の長雨で例年より10日遅い種まきとなり、観賞会に花が咲くかどうか関係者を心配させたが、8月の好天で見事な満開となった。

 松前神楽は道無形文化財。「古里が誇る財産」と福島では町民有志でつくる福島町松前神楽保存会が伝承に励む。太鼓や笛の音色に合わせ、楽人7人で舞を奉納した。

 暴風や水害の災いをはらい、五穀豊穣(ごこくほうじょう)を祈る「福田舞」「荒馬舞」は福島小5年の中塚隆太朗君(11)が、鈴と扇で優雅に舞う「鈴上(すずあげ)」は、函館稜北高1年で福島出身の笹井奈保さん(16)が披露した。

 5座で、演目ごとに会場からは「よーそろ(良い候)」と大きな掛け声が響いた。ジャガイモの塩煮、付け合わせのスルメ塩辛も用意され好評だった。

 函館市の中村正尾さん(68)は「なんとも言えない美しさに心が和んだ。来年も来たい」と満足の様子。ソバの収穫は9月下旬、10月上旬を予定している。(田中陽介)