2009年9月8日 (火) 掲載

◎国際啄木学会最終日、ゆかりの地を巡る

 国際啄木学会創立20周年記念函館大会(実行委主催)は最終日の7日、会員約70人が啄木ゆかりの地を巡る「啄木文学散歩」を開いた。市内西部地区を中心に約10カ所を回り、啄木が愛し、感性をはぐくんだ函館に触れ、あらためて人物像、短歌誕生について迫った。

 宿泊地をバスで出発し、市文学館(末広町)で啄木の資料を見学。車内から旧函館弥生小校舎(弥生町)を眺めた後、函館公園などの青柳町かいわい、啄木一族の墓(住吉町)、立待岬、啄木小公園(日乃出町)などを訪れた。墓前では、会員が樺太の日ロ国境の標石を模した墓の形や、啄木の思い出の地、青柳町に向かって立っていることなどを説明。初めて訪れた外国人会員らは興味深そうに聞き入りながら、手を合わせていた。

 啄木小公園では、記念碑に書かれた「潮かをる 北の浜辺の 砂山の かの浜薔薇(はまなす)よ 今年も咲けるや」に出てくるハマナスの花がわずかに残っており、会員たちはピンクや白の花や実を写真に収めた。

 参加したインド・ネルー大学のP・A・ジョージ教授は「立待岬から見る大森浜などは予想以上の絶景。『東海の小島の―』など、啄木の短歌に出てくる場所に込められている意味が分かったような気がする。自分が取り組む『一握の砂』のマラヤラム語(インド南部の言語)訳を早く完成させたい気持ちになった」と話していた。

 同会の太田登会長は大会を振り返り「地元の学生を対象とした青春短歌の盛況や、国際パネルディスカッションの発表で、『未来への架橋』という大会のテーマにあった内容となった。外国人が短歌の形式や啄木作品の奥深さについて意見を出し合い、国際学会として成功した大会となった。海外で、俳句に続き短歌に取り組む人が増えてくれれば」と話していた。(山崎純一)



◎「ふっくりんこ」を全国ブランドへ、札幌で産地サミット

 道南で生まれ育ち、北海道米の高級絵品種として親しまれている「ふっくりんこ」の産地サミットが7日、札幌市内のホテルで開かれ、「ゆめぴりか」「おぼろづき」を加えた「北の美食米3品種」として全国展開するため、厳しい栽培・生産・出荷基準の下で、品質維持・供給していくことを広く宣言する「産地サミット協定」を締結。産地サミット公認マークも発表した。

 函館育ちふっくりんこ蔵部の斉藤秀樹部会長、ふっくりんこ産地サミット推進協議会・細川信一会長(JA今金組合長)、JA新はこだて畠山組合長ら発祥の地・道南から多数の生産者が出席して開会。ホクレンの箱石文洋米穀部長が21年産米の販売展開について、前年実績比30%増、約1万5千トン出荷契約数量を見込み、「道産米の道内食率80%」達成を目指していることを説明した。

 斉藤部会長(北斗市)は「おいしいお米を食べてもらおう、の一心で努力してきた」と述べ、新参加のJAたきかわ「ふっくりんこ生産部会」の宮原良一部会長(芦別市)は「道南農家の足でまといにならないよう、品質向上努力を」と約束。JAきたそらち「ぬくもり米生産組合」横井幸一、JAぴんね(新十津川町)「ふっくりんこ生産組合」中川清美の2組合長と計4者と4農協、ホクレン、JA中央会が加わり、協定を締結。「ふっくりんこ」の新たなスタートを切った。

 細川会長によると道南の米作付け面積は「ほしのゆめ」「ななつぼし」「ふっくりんこ」が各3分の1。今年の同部会作付け面積は前年比30%増の4000ヘクタールに達し、堅実な伸びを見せている。



◎ケアホーム認定ミス 市長、幹部で367万円補てん

 函館市のケアホーム利用者認定ミスで、市は損害額約367万円を、西尾正範市長、担当の工藤寿樹副市長、岡田芳樹福祉部長と、事案に関与した福祉部の管理職で補てんする方針を決めた。再発防止策として、業務マニュアルを改定し、職場内研修などで職員の資質向上を図っているほか、障害者の施設入居の妥当性などを確認する検討会議を設置した。

 ケアホーム利用対象外の身体障害者2人を、市が誤って認定。介護給付費の支給決定日から取り消し日まで同費367万円を支出したことについて、市監査委員が7月27日付で「違法・不当な支出」とする監査結果を出し、西尾市長へ3カ月以内に妥当な措置を講じるよう求めた。

 市は、監査委員の判断や結論を認め、対応を協議。「支出行為は、法令や予算の定めに従わなければならない」(地方自治法)ため、市はミス発覚後、補正予算など必要な予算措置をして367万円を支出すべきだったが、こうした対応をしなかったことに問題があるとした。

 判例に照らし、職員の認定ミスは「重大な過失には相当しない」が、民法上は損害賠償の責任を負う。しかし事務的なミスで職員に損害賠償を求めることは一般的でなく、最終的に市長や担当副市長、関係した福祉部幹部で損失を補てんすべきとした。

 認定ミスがあったのは市亀田福祉事務所。ミスをした職員の上には担当主査2人と福祉課長、所長がいるが、主査2人で障害・介護・高齢・子育てに関する実務を担当し、調査報告書では「2主査体制での事務の処理は相当困難な状況にあったことは否めず、支給決定の誤りを単に窓口での事務的なミスとして整理できない」とした。

 そして、今後の検討課題として亀田福祉事務所の主査職の増員などを挙げた。

 16日の市議会民生常任委員会へ市福祉部が報告する。(高柳 謙)


◎市立函館保健所、がん検診受診率アップへ啓発事業

 市立函館保健所(山田隆良所長)の健康づくり推進室は、函館市民のがん検診受診率が全国平均と比べて低いことを受け、はじめて普及啓発事業を実施する。パネル展と街頭啓発、講演会の3本立てで、市民に対し検診の存在や早期発見・治療の有効性をアピールする計画。まずは9月のがん征圧月間に合わせて7日、同保健所1階でパネル展がスタートした。

 2007年度の函館のがん検診受診率は、胃は全国平均の11・8%に対し6・1%、肺は同21・6%に対し8・1%、大腸は同18・8%に対し2・9%と劇的に低い。女性特有のがんは、子宮が同18・8%に対し22・5%と若干高いが、乳は同14・2%に対し9・2%にとどまっている。

 啓発事業はこのような状況を打破しようと企画。日本対がん協会と日本医師会が9月に定めた同月間に合わせて行う。パネル展は30日まで開催。函館市民の3人に1人はがんで亡くなるというデータや、男女ともに死因の1位は肺がんとなっていることを示した。検診受診率は道内他都市と比較しても低いが、検診すると早期に治療を開始できるメリットがあることを紹介する。

 キャンペーンに合わせて、のぼりも制作した。「がん検診キャンペーン」の文字と厚労省の標語、マスコットキャラクターなどを描いた。2本あり、各啓発時に活用する。

 街頭キャンペーンは13日午後1時に函館丸井今井前で、ミスはこだてや保健所長らが約300人に検診ちらしなどを配布。10月18日午後1時からは、五稜郭町の総合保健センターで講演会を開き、市内でがん拠点病院となっている市立函館病院と五稜郭病院の医師らが話題を提供する。

 同室の天羽悦子参事は「がんは不治の病ではなく、早期治療で完全治癒も可能となった。市の助成で負担が軽くすむ検診のことを知って頂き、健康な生活を送ってほしい」と話す。(小泉まや)


◎函館市議会定例会開会、31議案を審議へ

 函館市議会の第3回定例会は7日開会し、市が本年度の一般会計補正予算案や函館市自治基本条例、箱館奉行所条例など、議案14件と2008年度の決算関係議案17件を提案した。会期は30日までの24日間。10日午前10時から一般質問が始まり、15日までに19人が質問に立つ。

 本年度の一般会計補正予算案は、7億7190万円を増額し、総額は1285億75万円とする。国の地域活性化・経済危機対策臨時交付金を活用した3億8303万円には、3―5歳児のいる家庭を対象にした「子育て応援特別手当給付事業」や、高規格救急自動車購入などを盛り込んだ。

 港湾事業特別会計は600万円増額し、総額を45億7090万円に。国民健康保険事業特別会計は7372万円減額し、総額を339億2011万円とする。

 恵山コミュニティセンター条例では、日ノ浜町に設置する同センターの維持管理を、指定管理者が行うなどの内容。使用料金は、午前9時から午後9時まで全館を使用する場合、1万7000円となる。縄文文化交流センター新築主体その他公示の請負契約は、3億8325万円で小泉建設などが構成する共同企業体が請け負う内容。

 議案は17日の各常任委員会で、決算は18日から行う決算特別委員会で審議する。(小泉まや)