2009年9月9日 (水) 掲載

◎観光客らに「マル獄」好評 五稜郭タワーで全国の刑務所作業製品並ぶ

 矯正協会刑務作業協力事業部の刑務作業製品展示会が8日、五稜郭タワーアトリウム(五稜郭町43)で始まった。全国各地の刑務作業製品の多数を安価で販売しており、市民や観光客でにぎわっている。10日まで。

 同会場では今年7、8月に続いての開催で、通算5回目。函館少年刑務所オリジナルの大人気商品「マル獄」シリーズもそろっており、腰袋や前掛けなどが次々に売れている。また、三重刑務所製の踏み台など木工の家具は、持ち帰りが可能な市民から好評を得ている。

 観光客は日常品や小物が人気。旭川刑務所製の木製まな板や横須賀刑務所製の純粉石けんなどから、品定めして買い求めている。団体旅行で横浜市から訪れた福村安太郎さん(67)は「地元でも矯正展があれば出掛けている。マル獄シリーズはテレビで見たが、こんな所で買えるとは思っていなかった」と話していた。

 時間は午前8―午後7時。(山崎純一)



◎未来大医学部新設に意欲 西尾市長と中島学長 IT向上見据え

 西尾正範函館市長と公立はこだて未来大学の中島秀之学長は8日、未来大への医学部新設に意欲を示した。同大開学10年記念イベントのシンポジウムの中で言及した。医師不足や地域の医療格差を背景に、IT技術の医療分野における発展性を見据えたものだが、現時点で財源や実現時期のめどは付いていない。今後、大学法人設置者の函館圏公立大学広域連合(連合長=西尾市長)で国の動きや実現性を調査する方針。

 シンポジウムで西尾市長は「未来大に医学部を求める声は多く、(同大と連携協定した)札幌医科大からもある」と説明。医療制度改革で医師不足が問題化する中、先の衆院選で政権を握った民主党が政権公約(マニフェスト)で「医学部学生を1・5倍に増やす」としていることなどから、「学長も副学長も乗り気。大学側の意思であれば議会と相談しながら調査しなければならない」と語った。

 一方、莫大(ばくだい)な費用が掛かる見通しや学部新設が難しい現状も指摘。「大事業になると思うが、医学部ができなくてもITの将来に生物、医学系は必ず関わる。それを含めて調査したい」とし、「ここから(医師を)輩出する機能が出来れば地域振興に大変な効果を生むだろう」と期待感を示した。

 中島学長は「医師不足」や「在宅医療」など医療、福祉環境における函館の課題に対する未来大の活動事例案として、IT技術を活用した「病院プロジェクト」と「遠隔医療」を紹介。「ITを使えば沖縄の患者を函館の医師が診察することも可能になる。そういう意味では地方のチャンスかもしれない」と話し、「札幌と遠い道南に医師育成の場がないのは困る。情報系の大学と医学部が結びつけば『未来型』の医療ができるのでは」と医学部新設へ意欲を見せた。(新目七恵)



◎「魅力的な街」語る 未来大・開学10年記念イベント 新井満さんが講演

 公立はこだて未来大学(中島秀之学長)の開学10年記念イベントとして、作家新井満さんの講演やシンポジウムが8日、函館市亀田中野町の未来大で行われた。新井さんは「千の風になって」の誕生エピソードを紹介し、魅力的なまちづくりの条件を「安心して産め、日々暮らせ、死ねること」などと語った。

 約170人が来場。新井さんは「千の風に吹かれながら函館の未来について考える」と題した講演で、妻を亡くした友人とその家族のために「千の風―」の英語詩を翻訳した体験を振り返り、「大切な人の横顔を思い出して」と話して歌詞の1、2番を朗読し、3番を力強く歌い上げた。

 また、元気で魅力的な街の条件に①老人が安心して晩年を暮らせ、死ねる②安心して子どもを産める③安心して日々を楽しめる―を挙げ、「ぜひ函館にそんな街になってほしい」と語った。

 講演後、西尾正範市長と中島学長を交えて行われたシンポジウム「元気な函館を目指して~函館の魅力をどうやって、日本中にアピールしたら良いのだろう?」では、中島学長が研究施設の集積を図る市の「国際水産・海洋都市構想」に関連し、西部地区に北大、教育大、未来大の新キャンパスを集める青写真を提案した。最後は新井さんが作詞作曲した「星のまちHAKODATE」を来場者と一緒に全員で合唱して締めくくった。(新目七恵)


◎ロケ誘致HP一新します 函館市、受託業者募集で10日説明会

 函館市は、ロケーション誘致用の画像データ集を作成する業務の受託業者を募集する。10日午後2時から市役所本庁舎(東雲町4)で募集説明会を開く。

 選考方法は、応募者の企画案を審査するプロポーザル方式で行い、優れた企画を提出した業者と委託契約を結ぶ。市は道の緊急雇用創出推進事業に基づいて業務を委託する方針で、相当数の新規雇用をすることが条件となっている。

 業務内容は、映画のロケ地を掲載したフィルムコミッション(FC)のホームページ(HP)のリニューアルと、映画制作者などへの貸し出し用映像DVDを作成する。

 現在のHPは市町村合併前の2003年度に作成したもので、市観光コンベンション部は渡島東部の旧4町村を含めた新たな映像を掲載し、映画の撮影場所を示す「ロケ地マップ」も加える意向。来年4月の更新を目指す。

 応募資格は函館市内に本社、本店を構える法人で、映像、写真の撮影、データベースシステムの設計にかかわる経験、知識があること。道が定める緊急雇用創出推進事業補助金交付要綱が適用されるため、総事業費に占める人件費の割合が70%以上を確保し、事業従事者のうち新規雇用の失業者がおおむね75%以上などの条件が定められている。

 応募方法は指定の用紙に必要事項を記入し、同部FC担当に郵送するか持参する(ファクス、メールは受け付けない)。

 受け付けは10日から28日まで。指定の用紙は同部で配布している。問い合わせは同部FC担当TEL0138・21・3326。(鈴木 潤)


◎道の駅「なとわ・えさん」でも「おしらせ道ねっと」の運用開始

 電光掲示板付き自動販売機を使って、道路情報やイベント情報などを提供する「おしらせ道ねっと」の運用が8日、函館市でも始まった。市内日ノ浜町の道の駅「なとわ・えさん」で、今後は必要に応じて函館市が独自の緊急情報やイベント情報などを配信し、道路利用者に役立ててもらう。

 おしらせ道ねっとは、道開発局と北海道コカコーラボトリング、「道の駅」の管理者である各自治体の3者が「災害に強いまちづくり」「魅力あふれる北海道観光の形成」などを目指し、基本協定を結んで進める協働事業。道南地域ではこれまで厚沢部町「あっさぶ」、乙部町「ルート229」、松前町「北前船松前」などに設置されていて、今回が8カ所目となる。

 この日は函館市の坂本幸春恵山支所長、道開発局函館開建の米田義弘函館道路事務所長、北海道コカコーラの橋田久男函館販売部長らによる協定書手交式の後、電光掲示板の点灯式が行われた。3人がスイッチを入れると、自動販売機の上部の掲示板に「おしらせ道ねっと 運用開始」の文字が流れた。

 同掲示板は函館市がパソコンによる遠隔操作を行い、函館開建からの緊急道路情報などを表示するとともに、災害発生時には自動販売機内の飲料を無料で提供することも可能となる。

 坂本支所長は「道の駅は観光客のみならず地域の人たちにとっても集まりやすい場所。災害時はもちろんさまざまなイベントの際にも、道ねっとを活用していきたい」と話していた。(小川俊之)