2010年10月11日 (月) 掲載

◎佐藤泰志の命日、墓前に「海炭市叙景」の映画完成など報告

 小説「海炭市叙景」の映画化や文庫本化などが話題となっている函館出身の作家、佐藤泰志(1949―90年)の命日にあたる10日、映画製作実行委員ら約15人が、佐藤の眠る函館市陣川町33の東山墓園を訪れ、墓前に映画完成などを報告した。終了後には、文庫本を持ち寄って有志による朗読会も実施した。

 佐藤泰志の世界観に魅せられた人たちによる映画化を熱望する声が高まり、募金活動や撮影のキャスト、スタッフなど、そのすべてに市民が携わり今年6月に市民映画として完成。11月27日からは函館を皮切りに全国約60館での封切りが決定している。また、6日にはもう一つの夢でもあった文庫本が全国で発売され、反響が大きい。

 今回の墓参は映画の完成報告と文庫本発売のほかに、同実行委が佐藤に対して、映画製作にかかわれたことへの感謝の気持ちを伝えようと企画した。参加者は、墓前に花とビール、販売されたばかりの文庫本をたむけ、それぞれの思いを胸に手を合わせた。

 終了後には、菅原和博実行委員長が経営する水花月茶寮(富岡町3)に集まり、文庫本を手に交互に朗読し合い、近づく公開日に向けた活動の意欲を高め合っていた。

 同実行委の西堀滋樹事務局長は「これまでを振り返るとさまざまな思いがあるが、ようやくここまで来ることができたと墓前に伝えた。きっと喜んでくれているはず」と話していた。(小杉貴洋)



◎道南でも温暖化防止アクションデー

 【北斗】大気中のCO2(二酸化炭素)濃度を目標値の350ppmに近づけるための行動を一斉に起こす「世界同時温暖化防止アクションデー」が10日、188カ国7189か所で実施された。道南地域では北斗市のきじひき高原でブナの植樹を行ったほか、植樹場所までの移動に電気自動車「i―MIEV」を使用し、環境への配慮をアピールした。

 植樹を行ったのはNPO法人南北海道自然エネルギープロジェクト(ピーター・ハウレット代表)と函館ラ・サール高環境問題研究会のメンバーら15人。参加者は集合場所であるJR渡島大野駅から電気自動車に乗ってきじひき高原のキャンプ場付近まで移動。ブナの苗木100本を植樹した。

 札幌出身で現在は函館で環境活動に携わっている前田こゆきさん(20)は「ハウレット代表の活動に賛同して参加した。ここで行った植樹はわずかだが、世界各国が一斉にアクションを起こしていることは素晴らしい」と話した。

 ハウレット代表は「きじひき高原を植樹場所に選んだのは、将来この場所に大型風車を設置し、新幹線開通後の新函館駅から現函館駅まで、風力発電を利用したシャトル列車を走らせることを提案したいから。今日がその夢の実現への第一歩になってほしい」と訴えた。(小川俊之)



◎地方卸売市場でまつり、出来秋を満喫

 函館市青果物地方卸売市場の「秋の市場まつり」(実行委主催)が10日、函館市西桔梗町589の同市場で開かれた。市場野菜の詰め合わせの無料配布や競りを体験する催しなどが行われ、多くの市民が出来秋を満喫した。

 昨年4月に中央卸売市場から地方卸売市場に転換したことを記念して企画し、市場の役割を知ってもらうとともに青果物の消費拡大につなげる目的。昨年実施する予定だったが、新型インフルエンザの影響で中止となったため、2年越しの開催となった。

 バナナやタマネギが入った詰め合わせの配布は午前9時半から先着1000人に整理券が配られたが、10分ほどでなくなる人気ぶり。ジャガイモやブドウなどの激安販売も多くの人でにぎわった。

 野菜や果物の競りを体験する「もぎせり」にはトマトやダイコン、ナスなどが出品され、卸売業者が「1000円!」「1100円!」と威勢よく叫ぶと、集まった参加者が手を上げたり、お札を掲げるなど、本番さながらの活気に満ちていた。

 市内本通から訪れた斉藤希和子さん(63)は、競りでキュウリ1箱を落とし「最初はどうやったらいいか分からなかったが、思わずお札を上げました。とても楽しかった」とホクホク顔だった。(千葉卓陽)


◎陸自函館駐屯地60周年記念行事、戦車試乗にドキドキ

 陸上自衛隊函館駐屯地創立60周年記念行事が10日、同駐屯地(函館市広野町6)で行われた。雨が降るあいにくの天候にもかかわらず、約3300人が来場し、同駐屯地で初めての「90式戦車」の試乗をはじめとする各種イベントを楽しんだ。

 節目の年を祝う記念式典では、戦車などの車両約70台での観閲式が行われ、第11音楽隊(真駒内駐屯地)の演奏が花を添えた。戦闘訓練の披露では、ドーンという大砲の大きな音や隊員の素早い身のこなしなど五感を揺さぶる演出で、来場者が感嘆の声を上げていた。

 90式戦車の試乗会では、子どもたちが緊張の面持ちで乗り込んでいたが、試乗中は笑顔を浮かべながら家族に手を振っていた。また、同駐屯地内では自衛隊グッズや飲食物を販売する模擬売店、実際の訓練などで使用するテントやヘリなどを展示したコーナーも用意し、家族連れでにぎわっていた。

 市内の会社員男性(22)は「戦車は思ったより安定性があった。いろいろな装備品を試着することができたりしてとても楽しかった」と話していた。(小杉貴洋)



◎市民健康まつり、検査体験など多彩に

 第22回市民健康まつり(実行委主催)が10日、函館市五稜郭町の市総合保健センターで開かれた。訪れた多くの市民が、恒例となった検査体験や調剤相談、栄養バランスを考えた料理などを楽しんだ。

 各種イベントを楽しみながら、健康づくりに関心を持ってもらおうと毎年開いている。市医師会、函館歯科医師会、道歯科衛生士会函館支部などが協力し、同センターの1階から4階までをフル活用し、多彩な催しを行った。

 薬剤師が日ごろ使っている薬の相談に乗ったり、骨密度測定検査、口臭測定検査などの各コーナーが人気を集めたほか、「ヘルシー食堂」では野菜をたっぷり使ったカレーが安値で提供され、正午前には行列ができた。市内の各町会対抗の輪投げ大会には15チームが参加し、輪の行方に一喜一憂する姿も見られた。

 市内梁川町から訪れた石塚晄子さん(67)は「せっけんなど、手作りの品物がたくさん買えてうれしかった。食事もヘルシーでおいしかった」と笑顔で話していた。(千葉卓陽)