2010年10月14日 (木) 掲載

◎神山茂賞に七飯町郷土史研究会

 社団法人函館文化会(安島進会長)は13日、函館や近郊の郷土史研究の功労者に贈る2010年神山茂賞に、七飯町郷土史研究会(会員100人、平野忠夫会長)が決まったことを発表した。同会が20年以上にわたり、町史の研究や資料などの発行、史跡調査などを続けていることが評価された。

 七飯町郷土史研究会は1987年7月、本道開拓に大きな功績を残した七飯の歴史を学び、後世に伝えようと会員28人で発足。89年5月、七飯のみならず、道南や本道の歩みまでを学ぼうと「七重学校」を開設し、昨年までに285人の卒業生を輩出している。96年8月、2006年には、七飯の史実に基づいた「郷土かるた」を発行した。

 また発足以来、毎月1回古文書講座を、年に1—2回、町民を対象とした公開講座を開き、秋の町民文化祭にも参加している。8代目会長の平野さん(76)は「講師を務める自分たちが、切磋琢磨(せっさたくま)し合って学んだことを町民に還元してきたつもり」と話す。同賞選考委の安東璋二委員長(77)は「七飯町民の郷土史に対する関心を高め、同町のみならず広域的に活動している」と評価する。

 平野さんは「会の立ち上げに尽力された先輩の意思を守ってきたことで受賞でき、うれしい。これからも史料を発掘し、町民らに見せて学んでもらう環境づくりを目指したい」と話していた。

 神山茂賞は函館出身の郷土史家、神山茂氏(1893—1965年)の業績をたたえ、函館文化会が1989年に創設。函館や近郊の郷土史について優れた研究、出版など事跡を残した個人、団体を表彰している。89年から昨年までに17個人4団体が本賞、4個人3団体が奨励賞を受賞している。

 表彰式は神山氏の命日にあたる11月7日に五島軒本店で開かれる。(山崎純一)



◎函館市や経済界関係者ら、25日から韓国へ観光プロモーション

 函館市や地元経済界関係者が25日から4日間、観光客誘致を目的に韓国を訪問する。好調を維持している函館—ソウル便の安定運航などを関係先に要請する。また、市と姉妹都市提携に向けて協議を進めている高陽(コヤン)市も訪問し、締結に向けて弾みをつけたい考えだ。

 韓国への観光プロモーションは2006年のソウル便開設時から毎年実施しており、今回で5回目。

 市のほか市議会、函館商工会議所、函館国際観光コンベンション協会、函館山ロープウェイなどの関係者12人が訪問団を結成し、高野洋蔵函館商工会議所会頭が団長を務める。市は谷沢広副市長が副団長として参加する。

 現地ではソウル便を運航する大韓航空の本社や大手旅行代理店などを訪問する。ソウル線は世界同時不況からの回復傾向やウォン安の影響で、今年1—9月の搭乗率は82・6%(昨年同期は63・5%)と好調に推移。10月31日からは同線の使用機材が、現行の145人乗りから187人乗りへ大型化されることも決まっている。今回の訪問では「高搭乗率のお礼と、今後の安定運航を求める」(観光コンベンション部)としている。

 また、高陽市への訪問を27日に予定。同市との姉妹都市提携は今年1月に高陽側からの提案を受け、両市議会が同2、3月にそれぞれ合意する議決を行ったものの、高陽市長が6月の選挙で交代したことで事務調整が遅れ、当初8月に計画していた調印式がずれ込んでいる。

 訪問ではキム・インジュ副市長が対応するといい、函館側は「年内の提携締結に向け、話し合いの進展に期待したい」とする。(千葉卓陽)



◎新患増え禁煙補助薬が在庫切れ

 10月のたばこ値上げを機に、医療機関の禁煙外来受診者が増え、函館でも禁煙補助薬が在庫切れとなる事態が出ている。薬の安定供給は来年1月ごろといい、多くの医療機関は「新規患者へは来年まで待ってもらうか、張り薬タイプのものを紹介している」と対応している。

 この禁煙補助薬は、製薬会社大手のファイザー(東京)が販売する「チャンピックス」で、体内のニコチン受容体を遮断する飲み薬。張り薬タイプで市販もされている「ニコチネルパッチ」に比べ禁煙成功率が高いとされる。医療機関でのみ処方されることから、JT(日本たばこ産業)が値上げを発表した今年4月以降、需要が増えていた。

 7月ごろから禁煙外来の来院が増えているという「道南勤医協・稜北内科小児科クリニック」(中道2)では、在庫が切れたため、10月以降診察予定だった新規患者ら32人に事情を説明。「8、9月に通い始めた患者の分は確保しているが、増産が追い付かないのだから仕方がない。ニコチネルパッチも紹介しているが、信頼性があるチャンピックスを求める声は多い」と話している。

 函館中央病院(本町33)でも、チャンピックスの処方を希望する人に来年まで待つよう返答している。「今はニコチネルパッチを勧めているが、チャンピックスが供給される来年まで待つ人もいる」という。

 一方、函館五稜郭病院(五稜郭町38)ではたばこが値上がりした後も新患は少なく、在庫がまだある状態。「今後増える可能性もないではない。在庫が切れたら、来年まで待ってもらうしかない」。(長内 健)


◎知内町長選、大野副町長が出馬の意向

 【知内】知内町の大野幸孝副町長(59)が13日、任期満了に伴う町長選(来年2月1日告示、6日投開票)に出馬する意向を明らかにした。大野氏はこの日、脇本哲也町長に辞職願を提出、受理された。今月末で辞職する。11月3日に後援会の発会式を開き、支持者を前に立候補を正式表明する。町長選に立候補の意向を表明したのは大野氏が初めて。

 大野氏は函館新聞の取材に対し、「脇本町長が現任期限りで退任すること表明したことを受け、出馬することを決断した」と語り、「脇本町長が20年かけて積み重ねてきた『知内ブランド』を継承し、さらに発展させていきたい」と述べ、1次産業の振興などに力を入れたこれまでの町政の継続と発展を掲げた。

 また、「具体的な政策やまちづくりのビジョンについては後援会の発会式で示す」とした上で、「これまでに築いてきた人脈を生かし、スポーツ合宿の誘致を積極的に進めたい」と語った。

 大野氏は1951年、同町生まれ。木古内高校卒。71年に町役場入り。企画課長、総務課長を経て、2002年に収入役就任。06年から助役、副町長を務めている。(松宮一郎)



◎函館商工会議所、副会頭に佐藤、永井氏

 函館商工会議所(高野洋蔵会頭)の次期会頭に内定している松本栄一副会頭は、新たな副会頭に佐藤木材工業(函館市昭和4)の佐藤祐幸会長(69)と、ソフトウエア開発のエスイーシー(同末広町22)の永井英夫社長(58)を起用する方針を固めた。11月1日に予定している臨時議員総会で正式に決まる。松本氏を除く現在の副会頭3人のうち、森川組の森川基嗣社長は退任、函館空港ビルデングの木村孝男社長と、イシオ食品の石尾清広社長は留任の方向。

 佐藤氏は、創業者で父親の故久雄氏の跡を継ぎ1987年に社長に就任。ツーバイフォー工法の建材やパネル生産などで成長を遂げ、現在は北斗市や苫小牧市、東北地域などに幅広く事業を展開している。

 永井氏は死去した沼崎弥太郎前社長の後任として2009年5月に社長に就任。IT関連の先端企業として斬新なアイデアで躍進を続け、技術分野においては国内外で高い評価を受けている。

 松本氏は13日、函館新聞の取材に対し「12日夜に両氏に個別に(副会頭への就任を)打診し了解を得た。両企業とも国内全域に幅広い視野を置いた事業展開をしていて、函館の経済界が置かれている閉そく感を打ち破ってくれることに期待している。5年後の北海道新幹線の新函館駅開業に向けて、函館商工会議所が果たさなければならない役割に対応できる新体制の顔ぶれになったと思う」と話している。(小川俊之)