2010年10月15日 (金) 掲載

◎大沼でワカサギ漁といかだ焼き

 【七飯】秋の風物詩、大沼のワカサギ漁が今月7日に解禁となり、早朝から大沼や小沼で漁が行われている。夏場に水温が高かった影響か、例年に比べやや小ぶりで、漁獲量も少なめだが、網から上がったワカサギは銀色の魚体を輝かせている。関係者は、秋の深まりとともに水温が下がり豊漁となることを期待している。

 今季の漁は、昨年より6日遅い、7日に始まった。ワカサギの筏(いかだ)焼きやつくだ煮を製造、販売する老舗のひとつ「つしま謹製」(大沼町211)の対馬義明社長(49)は、毎朝午前5時から漁を開始し、湖内8カ所の定置網を回る。14日の漁獲量は約60キロ。例年、ピーク時には1日に150キロが上がるといい、不振が続いている。対馬社長は「小沼ではサイズがだいぶ大きくなってきたが、大沼はまだこれから。例年よりも遅くれている」と話す。

 水揚げされたワカサギは、その日のうちに加工される。同店では、12日から筏焼きの加工を始めた。パートの主婦ら約10人が、5aほどのくしにワカサギを差し込み、網に並べる。くし1本に必要な小型のワカサギは十数匹で、1くしにかける時間はわずか30秒ほど。熟練の職人技で手際よく次々とワカサギが網の上に整列し、作業場の会話を弾ませている。

 対馬社長は「淡水の大沼で育ったワカサギは骨まで柔らかい。新鮮なうちに加工するので、筏焼きもつくだ煮もおいしい」と話している。

 ワカサギ漁は11月2日からは地引き網漁が開始され、湖面が氷結する12月中旬まで行われる。(今井正一)



◎龍馬像 函館に建立へ 北海道坂本龍馬記念館1周年記念

 開拓への思い、函館の龍馬像で全国に発信―。昨年11月15日にオープンした函館市西部地区の新たな観光名所「北海道坂本龍馬記念館」(末広町8)の開館1周年を記念した「坂本龍馬像」が、同記念館向かいに建立されることが決まった。「函館に坂本龍馬像を建てる会」(坂本登同実行委員長)も発足し、製作・準備を進めている。除幕式は11月14日に行われる。

 建立計画は今年1月、同記念館の理事会での「北海道開拓を夢見て、志半ばで散った龍馬の遺志を銅像で後世に伝えたい」との要望をもとに、同会が発足し具体化。像の制作は、長崎市の龍馬像も手掛けた彫刻家の山崎和國さんに依頼した。

 像は台座部分が2.5メートル、銅像部分が3.5メートルの計6メートル。右手は天を指差し「たとえ一人でも開拓を…」という強い思いを、左手には国際法律書「万国公法」を持ち、常に先を見据えて行動した龍馬を象徴するようなデザインにした。また、像の周辺は小公園として整備し、休憩や記念撮影に対応するという。

 1700万円に上る建設費用は、個人や企業などからの建立基金や同記念館内に置かれた募金箱への寄付でまかなわれる。基金への賛同者は、像の後ろに設置される石碑に名前が刻まれる。

 函館市都市デザイン課によると、銅像の建設地区は20メートル以上の建物については届け出の必要があるが、像は6メートルのため届け出の必要はなく、都市景観条例上問題はないとしている。

 同記念館の三輪貞治館長は「函館の新たなシンボルとなってくれると思う。多くの人たちに銅像を通じて、龍馬の北海道開拓にかけた思いを感じてもらいたい」と話している。

 同館では引き続き、基金賛同者を募集している。詳しくは同館TEL0138-24-1115まで。(小杉貴洋)



◎道南の3病院 総合内科医療養成研修センターに指定

 【函館、松前、江差】道保健福祉部は14日までに、地域医療の担い手となる医師の養成に取り組む「総合内科医養成研修センター」に、道南の道立江差病院、松前町立松前病院、道南勤医協函館稜北病院を含めた16病院を指定した。

 道の地域医療再生計画に基づく取り組みで、指定期間は2014年3月31日まで。これら3病院では、道の運営費助成を受けながら、地域のかかりつけ医≠ニなる総合内科医の養成に取り組む。各地の医科大学を卒業後、医療機関などで後期臨床研修(約3年間)を行う研修医を受け入れる。離島や過疎地域の在宅医療をはじめ、住民への健康教育や健康相談など、幅広い能力を身に着けることができるよう研修プログラムを組むという。

 3病院は@後期臨床研修プログラムがあるA指導医を1人以上確保B総合内科に関する専門外来や病棟研修体制がある―などの条件を満たし、道から研修センターの指定を受けた。

 厚労省は昨年12月、道が提案した道内7地域の地域医療再生計画から、南桧山地域と北網地域の2計画を採択。交付金は両地域ともに25億円で、道は交付額のうち、南桧山は約13億円、北網は約10億円を総合内科医の養成のほか、地域への医師派遣システム構築などの全道事業に割り振った。

 道立江差病院では、道の南桧山地域医療再生計画に基づき、札幌医科大学や手稲渓仁会病院(札幌)と連携した総合内科医の研修体制を組む方針だ。(松浦 純)


◎函館とロシアの交流史 資料で振り返る 市中央図書館で展示会

 函館市の姉妹都市、ロシア・ウラジオストクが今年で建都150周年を迎えたことを記念し、函館市中央図書館(五稜郭町26)で14日から、函館とロシアの歴史に関する展示会が始まった。大正時代から昭和初期にかけて現地で発行された「浦潮(うらじお)日報」の一部も公開し、多くの邦人が暮らしたロシア極東都市の様子を伝えている。25日まで。

 函館日ロ交流史研究会(長谷部一弘世話人代表)などロシアとかかわりのある団体が、今年6月から7月にかけてウラジオストクで開催された建都150周年記念事業に参加し、パネル展示を行った。今回の展示会ではその時のパネルを日本語に直し展示、紹介している。

 同図書館が所蔵している「浦潮日報」の一部も公開。1917年にウラジオで創刊された新聞で、当時、現地にに住んでいた3000人を超える日本人の生活の様子を知ることのできる貴重な資料。同図書館では大正7、12、13年に発行された一部を所蔵しており、今回はその中から5nを展示する。

 函館日ロ交流史研究会が浦潮日報をデジタル写真でDVD化しており、将来的には全紙面を同図書館で閲覧可能にする予定という。同研究会の関係者は「海外での新聞発行には大陸侵略の歴史が絡んでおり、しっかり学ばなければいけない事柄だと思う」と話していた。

 17日午後1時半からは「函館―ウラジオストク交流の諸相」をテーマに記念講演会を開催。「ウラジオストク物語」の著者としても知られる道情報大学教授の原暉之さんと、「浦潮日報」研究の第一人者で金沢大学名誉教授の橋本哲哉さんが講演する。問い合わせはTEL0138-35-6800(同図書館)。(堀内法子)



◎バイキングで糖尿病治療 食事療法楽しく学ぶ 国立函館病院

 国立病院機構函館病院(石坂昌則院長)は14日、函館市川原町の同病院で、糖尿病患者を対象としたバイキング形式の昼食会を開いた。糖尿病治療の一つ、食事療法を楽しく学んでもらおうと初めて企画した昼食会で、約60人が栄養バランスを考慮したメニューを味わった。

 同病院は今年5月から、入院、通院患者を対象とした糖尿病勉強会を毎月第2木曜に開いており、管理栄養士や看護師、医師らがサポートチームを作って指導に当たっている。昼食会は勉強会の一環で、今回は同病院と地域連携をしている医療機関の入院、通院患者にも呼び掛けた。

 昼食会では、最初に栄養管理室の木幡恵子室長がバイキングでのメニューの選び方や食事療法について講話した後、バイキングを開始。「白米・めん・パン」「果物」「肉・魚・卵・大豆製品」など6項目の食品グループごとに料理が並べられ、参加者は全品で規定のカロリーになるよう各グループから好みの2―4品のメニューを選び、会食を楽しんだ。

 食後は質疑応答の時間が設けられ、参加者は「塩分の取り方を教えてほしい」「酒はどれくらい飲んでも良いのか」などと質問し、「たくさんの品目を食べることができて良かった」「とても参考になった」と満足した様子。

 同病院の伊藤一輔副院長は「今回のバイキングで食事療法を前向きに取り組むためのきっかけになれば」と話していた。(鈴木 潤)