2010年10月16日 (土) 掲載

◎ボリボリ 今年は豊作

 秋の到来を告げる風物詩で、キノコの一種ボリボリ(ナラタケ)が、例年にない今夏の暑さの影響で大量に群生している。成育時期がずれ込んだものとみられ、関係者からは「10年に1度あるかないかの採取量」との声も聞かれる。一方、市場では「例年以上」「入荷が少ない」など反応にばらつきがある。

 本町市場(本町)内の蛯子青果では、新鮮なボリボリが100グラム500―600円台で並んでいる。蛯子清行社長(59)は「木古内方面の知人が採ってきたもので、品質はいい」と太鼓判。入荷時期は昨年と比べ半月ほど遅れているが、入荷量は多いという。中島廉売(中島町)の露店でも「森や乙部の新鮮なボリボリが入っている」という声が各所で聞かれた。

 しかし、はこだて自由市場(新川町)では、「入荷量が少ない」という声も。「例年は夏の終わりから9月中旬までが最盛期だが、収穫がずれ込んだ今になっても品物が市場に出回らない」と関係者は漏らす。市内で青果店を営む男性は「ボリボリを山で採ってきても市場に出さず、自分で食べたり売ったりする人が多い。個人ルートで仕入れた店と、市場で競り落とす店で違いが出ているのでは」と分析する。

 なぜこの時期に大量に群生したのか。函館市内でキノコの鑑定会などを行っている函館キノコの会の石垣充一会長は「例年に比べて日光が強く乾燥した日が続いたため、日当たりの良い場所には成育せず、湿気の多い竹やぶや山林に発生している」と指摘する。

 石垣会長によると、ボリボリの育成時期は8月末から見られる早生(わせ)、9月中旬に発生する中手(なかて)と10月中旬から末までの晩生(おくて)―の3段階があり、極端な夏の暑さと雨量の少なさから、早生が育たず、中手が大量に群生した。例年であれば群生する日当たりの良い場所で採れていないのも今年の特徴だ。

 石垣会長は「いつも採っている場所に見当たらないため少ないと考える人もいるが、普段とは違う場所にたくさんある。採取量的にはここ10年で1番」と話している。 (黒田 寛)



◎ロシア軍艦 函館入港

 ロシア太平洋艦隊所属の対潜大型哨戒艦「アドミラル・パンテレーエフ」(6700トン)が15日、函館港に入港し、港町ふ頭(函館市港町2)に接岸した。ロシアの軍艦の道内への入港は戦後初めて。岸壁では海上自衛隊や函館日ロ親善協会による歓迎セレモニーが開かれた一方、北ふ頭(同市浅野町)岸壁では入港時に市民団体による抗議集会も行われた。(15面に関連記事)

 同艦の寄港期間は19日までの4日間で、函館入港は友好・親善が目的。滞在中の16、17日午後1時―4時は艦内を一般公開するほか、18日には海自隊員とのバレーボールなどスポーツ交流が予定されている。函館市史によると、ロシア軍艦の函館寄港は1895(明治28)年の「ニコライ第1世号」以来、115年ぶりとなる。

 同艦は午前11時20分ごろ、後方に海自の護衛艦「あまぎり」(3500トン)を従えて接岸。歓迎セレモニーで同協会の倉崎六利会長は「ロシア軍艦の入港はかつてないことで、函館の日ロ友好親善の歩みにとって記念すべき日となった」と歓迎。同艦隊混成部隊沿海艦隊のヴィクトール・ソコロフ大佐は「今回の親善訪問は相互の理解と信頼関係の増進に寄与するものと期待している」と述べた。

 式典後、ソコロフ大佐は報道陣の取材に応じ、同艦の核兵器搭載の有無について「核兵器は一切持っていない。それは責任を持って言える」と断言した。日ロ間の領土問題などについては「将来的に何らかの方法で解決しなければならないが、わたしは軍人であり、その解決方法について一切説明ができない」と述べるにとどまった。

 ソコロフ大佐ら一行は15日午後、函館市役所などを表敬訪問し、谷沢広副市長らと懇談した。谷沢副市長は「心から歓迎したい。夜景や海産物を堪能してもらい、函館とロシアの友好が深められれば」とあいさつ。双方が記念品も贈り合った。同艦は19日午前10時に出港する予定。 (森健太郎)



◎「箱館奉行所」入場客数14万5000人突破

 国の特別史跡・五稜郭跡内に復元された「箱館奉行所」は14日、函館市教委が当初見込んだ初年度の入場客数14万5000人を超えた。入場者数は同日現在で14万7541人。関係者は「冬場に入り観光客が減る可能性もあるが、今の勢いを保ち続けてほしい」と期待を寄せている。

 箱館奉行所が7月29日にオープンして以降、1日平均2000人を超える人が訪れている。お盆の近くには同4000人近くに膨らみ、9月16日で入場者数10万人を突破していた。同奉行所の沼崎孝男副館長は「好天が続いたのと、9月の大型連休のおかげで集客数を伸ばせた」と分析。

 現在はオープン当初の勢いはないものの、平日でも1日平均1300人前後が訪れ、人気を堅持。同奉行所ではアンケートを取っており、来場者の94%が「満足した」と答えるなど、好評価を受けている。

 主要な来場者は道内外の観光客だが、沼崎副館長は「イベントなどを企画し、市民も気軽に足を運べる場所にしたい」と話す。この日に訪れた市内の主婦川田怜子さん(63)は「奉行所ができて五稜郭も華やかになった。また友人と来たい」と笑顔を見せていた。 (黒田 寛)


◎クマに注意 道南でも頻繁に目撃

 クマが人里に出没し、住民を襲う被害が全国で相次いでいる。ヒグマが多く生息する道南でも注意が必要だ。道によると、今年に入り渡島・桧山管内でのヒグマの人身事故は発生していないが、「農作物の収穫時期にヒグマが人里で頻繁に目撃されている。餌となる生ごみを屋外に置かないなど基本的な対策が必要で、地域一丸で取り組むことが効果的」としている。

 10月に入り、本州各地でツキノワグマが学校や介護施設に侵入し、人に危害を加えている。今夏の猛暑の影響で餌となる野山のドングリなどの果実が少なく、そのため人里へ下りてきていることが要因の一つとされる。

 渡島半島地域のクマによる人身被害は、1989年から昨年までの21年間で9件発生。山菜採りや川釣りなど山中での事故が多く、このうち5人が死亡している。

 渡島総合振興局保健環境部のまとめでは、本年度のヒグマ捕獲数は15日現在で71頭。北斗市が16頭とトップで、八雲町や七飯町と鹿部町を結ぶ山並みにも生息数が多いという。

 昨年度の捕獲は約100頭と比較的多く、本年度は少なくなると見込まれていたが、ほぼ昨年並みのペースに。また、エゾシカの死がいが越冬を支える餌となり、冬眠しないヒグマの例も道東地域で報告されており、警戒が必要だ。

 同環境部は安全対策として▽刺激臭の強い生ごみを屋外に放置しない▽畑では作物をきれいに刈り取る▽入山する際はラジオや鈴で音を出す▽遭遇時は落ち着いて、刺激しないように視線をそらさず静かに立ち去る―などを挙げる。 (田中陽介)



◎FMいるか秋の新番組 仏在住の伊藤さん魅力語る

 函館のコミュニティFMラジオ局「FMいるか」(周波数80.7MHz)は10月から2つの新コーナーをスタートさせた。そのうち、毎週金曜日午後4時5分からの「フランスマニア」では、19年間フランスに在住していた翻訳家の伊藤譲司さん(50)が、在仏時代の思い出を語るとともに、簡単な仏語講座も行うなど、興味深い内容となっている。

 函館出身の伊藤さんは、函館ラ・サール高を卒業し立教大で仏文学科を専攻。大学卒業後は函館市役所に勤めたが、フランスへの憧れが強くなり1989年に渡仏。パリの大学で本格的に言語学を学び、そのまま地元の翻訳会社に就職。2008年に函館に戻ってからは翻訳の仕事と仏語講師を行っている。

 番組ではFMいるかパーソナリティーの佐藤はるかさんとともに、約10分にわたってフランスの文化や習慣などについて解説する。また佐藤さんを生徒に、毎回簡単な仏語によるあいさつ表現などを学ぶミニコーナーも設けている。

 伊藤さんは「一般にイメージされているフランスのきらびやかな部分だけではなく、日常的な人々の生活などについても紹介していければ」とし、「この番組をきっかけにフランスへの興味を深めてもらいたい」と期待する。

 また、もうひとつの新コーナー「多事雑言(たじぞうごん)」(毎週木曜日午後2時40分から)では、元小学校校長の森武一之さん(63)が、最近の社会情勢を有識者の視点から分かりやすく分析する。 (小川俊之)