2010年10月18日 (月) 掲載

◎鎮魂歌 天国に届け

 函館MB混声合唱団(伊藤喜久雄理事長、約60人)の創立40周年記念演奏会が17日、函館市民会館大ホール(湯川町1)で開かれた。同合唱団の創設者であり、この日の第1部で指揮を振る予定だった石見普二男さんが今月2日に亡くなり、団員たちは大きな悲しみを乗り越えての本番だった。

 開演30分前、函館は雷を伴う激しい雨に見舞われた。空がまるで大粒の涙をこぼしているかのような様子だったが、開演直前に雨は上がり、まぶしい太陽が地を照らした。

 第1部は石見さんが振る予定だった「6つのロシア民謡」。指揮は大村義美さんが代行した。黒の衣装を着た団員たちは、男性は深紅のハンカチーフを胸に、女性はショールを首などに巻き、凍てつく大地に暮らしながら心の内に燃えるような情熱を秘めたロシアの民族性を表現。哀愁漂うドラマチックな歌声やシベリアの雪原を馬が駆けていくようなパーカッションのリズムに、会場は一気に引き込まれた。

 第2部「フォーレのレクイエム」は函館市民オーケストラの伴奏で、特別団員も含めた総勢98人で演奏された。静かで重厚感のあるオーケストラに、繊細な合唱が加わる。木村映之さんの深みのあるバリトンソロや、佐藤朋子さんの明るく清らかなソプラノソロを合間にはさみながら、安らぎに満ちたハーモニーが観客を包みこんだ。

 帰り際、来場者たちは雨の上がった明るい空を見て「さっきの雨がうそのよう」と驚いた。団員たちの鎮魂歌が石見さんに届き、きらきらと照らしているようだった。(堀内法子)



◎丈夫な骨へのヒント学ぶ

 函館骨粗鬆症(こつそしょうしょう)研究会(山根繁会長)の創立20周年を記念した市民公開講座「楽しく知ろう 骨そしょう症のこと」が17日、函館国際ホテル(函館市大手町5)で開かれた。東京都リハビリテーション病院の林泰史院長と料理研究家の平野レミさんを講師に迎え、骨を丈夫にするためのヒントを学んだ。

 公開講座には市民ら約300人が参加。講演会は2部形式で行われ、第1部では高齢者医療の第一人者である林さんが「骨イキイキ、人生イキイキ」の演題で、骨を丈夫にすることが高齢者が元気に楽しく生活するための必須条件であることを強調。骨を強くするための3つのポイントとして「カルシウムの多い食事」「日光をよく浴びる」「運動をする」を挙げた。

 第2部は料理研究家でありシャンソン歌手、タレント、主婦とマルチな顔を持つ平野レミさんが登場。平野さんはテレビ番組などで見せる明るいキャラクターそのままに、元気いっぱいの楽しい語り口で会場を沸かせた。平野さんは料理研究家として活躍するきっかけについて「結婚後は主婦業に専念していたが、趣味の料理についてエッセーを書いたところ、さまざまな番組から出演依頼が来たので引き受けることになった。悔いのないように自分のやりたいことをやっていくことが、私のモットー」と話していた。(小川俊之)



◎男も女も仕事・育児する時代

 ベストセラー「女性の品格」の著者で、2001—03年まで内閣府男女共同参画局長を務めた坂東眞理子さんの講演「21世紀、女(ひと)と男(ひと)の再チャレンジ」が17日、ホテル函館ロイヤルで行われた。約400人の聴衆を前に、坂東さんは従来の男女の価値観を変えることの必要性を訴えた。

 家庭と仕事の調和を目指すはこだて男女共同参画フォーラム実行委の主催。坂東さんは厚労省が発表した09年の合計特殊出生率が1・37だっだことに触れ、「かつては結婚適齢期と言われた25—29歳の女性の8割が独身。結婚して家庭に入るという考えの変化が表れている」と指摘した。

 また、女性だけでなく、40—44歳の男性の未婚率が2割強あることを挙げ、「経済的な理由などから、独立して家庭を持つことをためらう人が増えている」と分析。85年に男女雇用機会均等法が施行されてから25年たち、「法律が整い、女性の社会進出も進んできた。これからは男女の別なく、仕事や育児に取り組む時代」と語った。

 坂東さんは、仕事一筋だった男性が定年後に家庭内で感じる悲哀を描いた渡辺淳一さんの小説「孤舟」(こしゅう)を例に出し、「みなさんも、ぜひ買ってご主人に進めて下さい」と会場の笑いを誘っていた。(黒田 寛)


◎利用 計画の半分に 新規高卒者雇用奨励補助金

 函館市が本年度初めて実施した、新規高卒者雇用奨励補助金の活用が9月で締め切られ、利用実績は計画の半分の160人にとどまった。利用した企業は71社。市は、長引く不況による雇用抑制に加え、事業対象とならない分野への就職が多かったと分析。今月中をめどに、事業内容を検証する方針だ。

 同補助金は緊急経済対策の一環として実施した。新規高卒者の地元への就職促進に向けて、今年4月から9月までに正規雇用し、半年間継続雇用した中小企業(小売業、卸売業、サービス業など)に対し、教育や人材育成経費として1人あたり15万円を助成。本年度予算で320人分、4800万円を計上した。

 市労働政策室のまとめによると、今春に函館市内の高校を卒業し、市内や近郊(北斗市、七飯町)に就職した生徒は約260人。このうち4割弱にあたる約100人は医療法人、福祉法人や大企業など、対象に該当しない事業所に就職していた。

 同室労働課は「基礎数が違っていた。医療や介護分野でのニーズが多いということなのだろう」と話す。

 先月末からは、補助金を利用したすべての企業に対してアンケート調査を実施。補助金制度が雇用拡大につながったか、使い勝手はどうだったかなどを調査、今月中に集約し、今後の制度設計に生かす方針。同室は「中には助成対象だったが、半年を待たずに辞職した人もいる。アンケートの内容によっては、新規高卒者の定着率上昇に向けた取り組みも考えていかなくてはならない」と話している。(千葉卓陽)



◎渡り鳥見つけた! 野鳥観察会

 「秋の野鳥観察会〜渡り鳥を見つけよう〜」(函館市住宅都市施設公社主催)が17日、同市亀田中野町の道立道南四季の杜公園で開かれた。道鳥獣保護員の小松俊男さんが講師を務め、園内で見られる鳥やバードウオッチングのこつを紹介した。

 道南で秋が深まる時期、本道から本州へ向かう渡り鳥が多いことから、毎年この時期に開催している。この日は12人が参加。小松さんは「10月下旬まで、本州へ渡る猛きん類を中心に、松前の白神岬や函館の汐首岬で多くの鳥が見られる」と話した。

 公園内の散策ではハクセキレイが現れ、参加者は持参した双眼鏡などで観察。小松さんが「顔の色が黄色いのは若鳥」と話すと「白色しか知らなかった」などの声が上がっていた。

 このほかカラスの種類や、同公園が道央などから函館山へ向かう鳥の通り道であることなどを紹介し、「バードウオッチングは、あちこち動かず、1点でじっと待つことが大切。複数で向かう場合はそれぞれ違う方向を見てみて」とアドバイスしていた。(山崎純一)