2010年10月2日 (土) 掲載

◎五稜郭タワー ピンクに

 五稜郭タワー(函館市五稜郭町43)が1日夜、乳がん撲滅のシンボルカラーのピンク色にライトアップされた。初めての試みで、市民や観光客らが、普段と違う光を放つタワーに足を止めて見入る一方、周辺では検診受診を呼び掛ける啓発活動も行われた。

 乳がん検診率の向上と「早期発見・早期治療」を目指す医療従事者、関係者でつくる道南乳腺疾患研究会(代表世話人・木村純市立函館病院長)が主催。同タワーと協力して構想を練り、1年がかりで実現した。ライトアップは同日限りで、午後6時―同10時まで行われ、タワーに見入っていた市内の女性(52)は「いつもと違う色で驚いた。ピンクが乳がん撲滅の色だということも初めて知った」と話していた。

 タワー付近では同会の会員約10人が、女性の通行人に「乳がん検診をぜひ受けてください」と呼び掛け、検診の大切さを伝えるチラシとティッシュペーパーを配布した。木村院長は「タワーを見上げた人に『何でピンク色なのか』と感じてもらうことから乳がん検診受診に関心を持ってもらいたい」と話していた。(黒田 寛)



◎道縦貫道、落部―森が来秋開通へ

 道縦貫自動車道(道央自動車道)の落部―森間(20.2キロ)が予定よりも1年早く、来秋に開通する見通しとなった。用地取得や鷲ノ木遺跡の地下トンネル工事が順調に進んだためで、物流の効率化や産業振興、災害発生時の緊急輸送路などとしての機能強化が期待される。東日本高速道路北海道支社は引き続き、残りの森―大沼間(9.7キロ)の2012年度開通を目指す。

 高速道路の延伸は、2015年開業の北海道新幹線開業効果も高める。

 道縦貫道は昨年10月に八雲|落部間(16キロ)が開通。当初は、落部―森|大沼間を一括して12年度に開通させる予定だったが、計画を前倒しして部分開通させる。この開通で、札幌|函館間の所要時間は4時間21分と約5分早まり、すべて一般道を利用した場合より80分ほど短縮されるという。

 また、この区間は集中豪雨の被害が多発する場所でもあり、国道5号、277号で通行止めが発生した際の代替路線としての役割も大きい。同支社は「地元関係者の協力で部分開通の見通しがついた。物流や緊急輸送路としての機能強化に加え、災害発生時の安全確保を図りたい」としている。

 道縦貫自動車道建設促進道南地方期成会は先月、東日本高速道路に落部―大沼間の早期完成を求める緊急要望を提出していただけに、森までの前倒し開業を歓迎している。期成会会長の西尾正範函館市長は「道央圏と道南圏の交流時間短縮が図られ、産業や経済の振興発展に大いに寄与するものであり、大変喜ばしい。今後も道南圏の高速交通体系整備に向け、国や関係機関に要望したい」とコメントしている。

 大沼―函館側の整備は、通行無料の新直轄区間として函館開建が担当。同開建は「本年度は測量設計や周辺の環境調査をしている。着工と開通時期は今のところ未定だが、早期完成に全力を挙げたい」と話している。(田中陽介、千葉卓陽)



◎たばこ大幅値上げで客足ぱったり

 たばこ税の増税に伴い、1日、たばこが大幅に値上げされた。9月からカートン(1箱20本、10箱入り)をまとめて買う駆け込み需要が続いた函館市内の販売店やコンビニエンスストアなどは「予想通り全然客が来ない」とため息をつく半面、比較的低価格のたばこを求める市民も急増。関係者は「たばこが売れない場合は、ほかの商品でカバーすることも検討しなければ」と新規の売れ筋商品を探す動きも出ている。

 市内中道1の田原商店は午前9時半に開店。前日午後7時の閉店間際まで来客が続いた反動もあり、朝から客足がぱったり。同店の田原志江さんは「頼りの常連客は9月にたくさん予約注文してくれた。しばらくは来ないと思う」と表情を曇らせる。

 ただ、低価格の「エコー」(1箱240円)など、一部の在庫が切れるかつてない事態も。田原さんは「安い銘柄に切り替える人は増えている」としながらも、「全体的に占める販売量は少ない。状況を見ながら仕入れしていきたい」と話す。

 市内美原の「対馬商店」も同様で、午前8時の開店から午後2時までに自動販売機を含め数箱しか売れなかった。店長の対馬トモさんは「困った。新商品のたばこ増やしても売れるかどうか…」と不安を募らせている。

 客足が途絶えたコンビニも対策に苦慮。市内西部地区のあるコンビニは「24時間営業が強みでも、売れていたものが突然売れなくなるのは怖い。これまで通り一定量を入荷して様子を見たい」と今後の動きを注視する考えだ。(長内 健)


◎9月も暑かった、函館の平均気温20.1度

 函館海洋気象台は1日、管内の9月の気象状況をまとめた。月平均気温はすべての地点で平均より高く、江差20.8度(平年18・9度)は9月として観測史上2番目、函館20.1度(同17.9度)は同3番目の高さだった。函館は夏日(最高気温25度以上)が18日間で、平年の約4倍もあるなど、残暑の厳しい月となった。

 同気象台によると、9月は高気圧に覆われて晴れる日が多く気温が上がり、上旬に低気圧などの影響で雨となったが、高温、少雨、多照の地点が多かった。函館の日照時間は177.6時間で平年比113%と多く、降水量は87.5ミリで同比51%と少なかった。江差は6日から7日かけて大雨となり、降水量は160.0ミリで同比111.5%と多かった。

 気温は月初め、15日前後で特に高く、函館の最高気温は1日に31.9度となり88年ぶりに記録更新。2日も31.1度となった。1|6日の平均気温は平年より5度以上高くなり、日平均気温が25度以上の日は、これまでゼロだったが、今年は4日あった。3日は最低気温が23.8度でこれまでで最も高かった。

 このほか9月として最高気温を更新したのは長万部30.8度、八雲31.6度、森30.3度、北斗31.5度、木古内32.5度、松前30.4度、せたな29.3度、奥尻29.0度。最低気温が高い記録となったのは江差24.8度、八雲21.8度、森21.9度、北斗22.6度、せたな23.2度、奥尻23.6度だった。また、森では24日の最低気温が4.5度となり、9月として最も低かった。

 気温の高い傾向は10月も続く見込みで、札幌管区気象台が1日に発表した向こう1カ月の天候の見通しによると、この間の気温が平年より高くなる確率は70%としている。3日から4日かけては気圧の谷や前線の影響で荒天気となるが、以降は南から暖かい空気が入りやすい状況となるため、8日ごろまでは晴れる日が多く、その後も高温になると予想している。(山崎純一)


◎七飯大沼国際観光コンベンション協会設立

 一般社団法人「七飯大沼国際観光コンベンション協会」が1日、発足した。大沼多目的会館「ポロトポント」で設立社員総会を開き、会長(代表理事)に堀元氏(58)を選出。今後、既存の「大沼観光協会」は、新協会に発展的に移行し、大沼地域と七飯町全体の観光振興を図るため、各種事業を展開する。

 5年後の北海道新幹線開業を見据え、七飯町全体の歴史や文化、観光資源の掘り起こしを図る。地域経済の活性化につなげるために、昨年から本格的に設立準備を進めてきた。法人格の取得により、対外的信頼度の向上やツアー商品販売などの収益事業を展開する。

 また、事業区域を町全体として、広く新協会の趣旨に賛同する会員を募集。函館など、他地域の関係機関・団体との連携も強化し、道南全体の集客力向上につなげて、地域全体の底上げを図る。

 総会では、副会長(業務執行理事)4人と専務理事1人を選任。新協会の定款や各規定、本年度の事業計画などを定めた。改行 堀会長は「道南観光の力になるため新たな振興事業に取り組む。新会員を募り、力を結集していきたい」と話している。(今井正一)