2010年10月20日 (水) 掲載

◎マルメロ 甘い香り

 【北斗】市の特産品マルメロの収穫が19日、市営果樹園「マルメロかおりの里」(市渡)で始まった。たわわに実った黄色い果実がほのかに甘い香りを漂わせている。

 マルメロは、バラ科の植物で、洋なし型の果実は独特の香りがある。旧大野町時代に、町の特産品にしようと栽培が始まり、1991年に同果樹園が整備された。毎年3500個、約1トンの収穫が見込まれる。市農政課は「暑さの影響はなく、例年並みに良い出来」とする。マルメロは香りを楽しむ芳香剤として利用されているほか、市内ではジャムやワインなどの加工も進められている。

 この日は、市の職員や同果樹園を管理する函館広域森林組合の組合員らが、枝からマルメロをもぎ取り、ひとつずつ丁寧に磨き上げていた。同果樹園で収穫されたマルメロは23日から11月14日まで「せせらぎ温泉」(本町)でマルメロ湯に利用されるほか、市内の公共施設に設置される。(今井正一)



◎各店が工夫 利用定着 23日で「大門横丁」開業5周年

 多彩なジャンルの飲食店26店が入居する屋台村「大門横丁」(函館市松風町7)が、23日に開業5周年を迎える。空洞化が進む函館駅前大門地域に、かつてのにぎわいを取り戻そうと、第3セクター「はこだてティーエムオー」が立ち上げ、今や年間利用者15万人、総売上高げは約2億5000万円の観光名所に成長した。屋台村の5年間の道のりと今後の展望について、はこだてティーエムオーの大久保敏マネージャーに聞いた。

 ——5年間を振り返って。

 初年度は新聞、テレビなどで紹介されることも多く、予想を超える約24万人の利用者で、売り上げも3億4200万円を超えたが、本当の勝負は2年目以降であると覚悟していました。定期的なイベントの実施や、各店舗の自主的努力などにより、リーマンショックや新型インフルエンザなどのマイナス要素が多発するも、2年目以降も売上高は2億5000万円を下回りませんでした。

 ——観光客と市民の利用割合は。

 夏は7対3で観光客が多く、冬は市民の利用が大半となるが、利用客数自体が夏の半分近くに落ち込むので、冬に市民の利用者を増やすことが課題です。5周年を記念し、22、23日に実施する「はしご酒」イベントや、“バル街”を手本にした「大門バル」などをきっかけに、市民が気軽に足を運んでもらえる場所にしていきたいです。

 ——26店舗の顔ぶれはオープンから変化しているのか。

 5年間で入れ替わったのは6店舗のみです。各店舗に売上ノルマなどは一切課していません。ただ屋台村全体の売上推移を知らせており、あくまでも自主的な努力を促すことが大切と考えています。現在残っている店舗は、それぞれに工夫を凝らして顧客の拡大に成功しています。

 ——12月には東北新幹線の新青森駅がオープンするが。

 5周年のタイミングに、大きなチャンスが到来したと考えています。11月からは青森、八戸、弘前と共同した四大屋台村スタンプラリーもスタートします。5年後の新函館駅開業に向けて、今年が重要なターニングポイントととらえています。(小川俊之)



◎西署員がノウハウ指南 ひとりでも気軽に防犯パトロール

 函館西署は19日、さまざまな理由で防犯ボランティア活動をためらう人に対し、気軽に参加してもらおうと「一人からでも一緒にパトロール」を初開催した。同署員がパトロール未経験の個人と同行巡回し、防犯に対するアドバイスやノウハウを提供する取り組みで、全国初の試み。同署では「肩を張らずに、普段の散歩を延長するような感覚で、地域の見守りに参加してほしい」と呼び掛けている。

 同署が今年3月から始めた「土日だけ防犯ボランティア」の一環としてスタート。「一人から—」は、札幌市が行ったアンケート調査で、防犯活動を理解する人は多いものの「日程で断念する」「家族や近所など仲間同士でならやりたい」という意見がみられたことから、自分のライフスタイルに合わせ、参加形態が選択できる方法として提案。賛同者が増加し、防犯活動促進につながることがねらい。

 初日は同署生活安全課署員3人とともに、市内万代町の松山和雄さん(68)と妻千鶴子さん(68)が参加。自宅周辺を約30分掛けてパトロールした。荒れた空家やごみが落ちている場所などの確認や、市民にあいさつするなど、声掛けを体験した。同署員は「犯人検挙など危険なことが目的ではない。声掛けなどを徹底してもらい、不審者などを見掛けたり、危険な場所があったら署に連絡してもらいたい」と松山夫妻にアドバイスしていた。

 和雄さんは「いつもとは違った視点で歩き、新鮮な気持ち。注意喚起は重要なので、これからも夫婦で活動していきたい」と話していた。

 同署では「一人から—」の体験を薦めている。詳しくは同署生活安全課TEL0138・42・0110。(小杉貴洋)


◎ドングリ貯金で緑化推進

 函館市女性センター(東川町)は20日から、子供たちから集めたドングリを苗木として育てる「函館どんぐり銀行」を開設する。道南では初めての取り組みで、同センターは「子供たちの環境教育が大きな目的。ドングリ預金を通して、自然に興味を持ってほしい」としている。

 どんぐり銀行はドングリそのものを通貨ととらえ、集めたドングリを“預金”する。グッズなどと交換する取り組み。香川県が1993年に緑化推進を目的に始めたのをきっかけに、全国各地に広がりを見せた。

 同センターでは、200ccのカップ1杯ごとに「10ドングリ(d)」を記帳する。10dでオリジナルの缶バッチ、40dでキーホルダーなどと交換できる。商品と交換すると預金から引き出したことになり、預金残高も交換商品のポイント分が減額される。初回は通帳とドングリに関するガイドブックが贈られる。

 集めたドングリはセンター職員が植樹活動用の苗に育て緑化推進団体などに寄贈する考え。

 窓口は同センターで、日曜祝日を除き午前9時から午後9時まで受け付ける。問い合わせは同センターTEL0138・23・4188。(鈴木 潤)



◎地球温暖化9割超「関心」 経済面で不安

 函館市は19日、市民と事業者に対して実施した地球温暖化対策に関するアンケート調査の結果を公表した。それによると、市民、事業者とも9割以上が温暖化問題について「関心がある」と答えたものの、家庭や事業所で対策を行う上で、経済面での難しさや具体的な方法が分からないとの回答が多数寄せられた。市に求める施策では、省エネ機器購入時の資金支援を求める声が多かった。市はアンケート結果を基に、今後の施策展開を進める方針。

 同日に市環境部で開かれた市地球温暖化対策実行計画策定協議会(米田義昭会長)で報告した。調査は市民2000人、事業者500カ所を対象に8月に行い、市民650人、91事業者から回答が寄せられた。回収率は市民32・5%、事業者18・2%。

 温暖化問題に対して「関心がある」「ある程度関心がある」と答えたのは市民93・7%、事業者で92・6%と高い数値を示した。一方で、対策全般に関わる問題点(複数回答)をみると、市民は「経済的に難しい」が263件と最多で、事業者も「資金調達が困難」が34件でトップ。ともに「具体的な方法、改善策がわからない」「特に問題ない」とする回答も多かった。

 これを受け、市への要望では新エネ・省エネ機器購入時の資金支援が市民306件、事業者39件からあった。関連情報の提供や、公共施設での率先導入を求める声も多数寄せられた。

 市民向けの設問では、エネルギーの使用状況を聞くものでは暖房用、給湯用とも灯油が最多。自動車を所有する世帯のハイブリッド車など低燃費車は21%が所有している。低燃費車への買い替えは自動車所有者のうち38%が「購入時期に検討したい」と答えており、エコ意識の高まりがうかがえる。

 市はアンケート結果を、市独自の温室効果ガス削減目標の設定などに生かす考え。回答者の6割が女性で、60−70代の回答が半数を占めた点から、市環境部は「偏りのないよう補正して対応したい」としている。(千葉卓陽)