2010年10月23日 (土) 掲載

◎北陸銀行函館支店、番号札に西部地区の坂の写真

 待ち時間に坂道探訪—。北陸銀行函館支店(函館市若松町、久保泰一支店長)は、窓口の受け付け順を示す番号札の替わりに市内西部地区の坂道の写真を載せた手作りカードを配り、順番待ちの来店客らを楽しませている。

 同行では地域密着や顧客満足度を高める狙いで、全国の店舗で窓口の利用者に手渡す「合札(あいふだ)」と呼ばれる番号札を工夫している。函館支店ではCS向上委員会のメンバーで話し合い、支店に近い西部地区の坂を紹介しようと企画した。

 A4版の札の表には西部地区にある著名な19本の坂や、坂を説明する柱のカラー写真を使用。同行の高橋幸恵さん(22)が人や車の少ない早朝を狙い、出勤前などに撮りためた。裏には受付番号とともに市の協力で柱の説明書きも添えた。計152枚を作り、今月19日から使い始めた。

 同行の佐藤史子主任は「サイズが大きいので待つお客さまを確認しやすくなった。少しでも楽しく待ち時間を過ごしてもらえれば」と話し、市観光振興課も「函館のPRにつなげてほしい」と期待する。来店した市内千代台町の女性(23)は「坂について意外に知らないことも多く、待ち時間も退屈しない」と話していた。

 このほか、市内にある同行の五稜郭支店(本町)、函館東出張所(中道2)でも函館ゆかりの歴史的建造物や美術品を紹介する独自の合札を昨年から採用している。(森健太郎)



◎「大門横丁」5周年感謝祭始まる

 函館市松風町7の屋台村「大門横丁」の開業5周年記念感謝祭が22日から始まった。豪華プレゼントが当たる大抽選会などが開かれ、大勢の観光客や市民でにぎわっている。

 同屋台村は函館駅前・大門地区に活気を取り戻そうと、2006年10月23日に26店舗でオープン。毎年約25万人を集客する観光スポットとして人気を集めている。

 今回のイベントでは、5枚つづりのチケット(1000円)を使い、どの店でも1杯200円でビールや焼酎類などを飲むことができる「はしご酒」や、DVDプレーヤーなどが当たる大抽選会を実施。また、函館駅前の和光ビル内の青果店「夢八」による地元の新鮮野菜や果実類の直売も行われている。

 函館市美原の60代の主婦は「屋台村は値段も手ごろで、店もきれいなのでバスを利用してよく遊びにくる。先日はドイツ人観光客とも交流することができ、とても楽しい場所」と話していた。

 記念イベントは23日まで。「はしご酒」のチケットは当日も1200円で販売する。同屋台村を運営する函館市の第3セクター「はこだてティーエムオー」の大久保敏マネージャーは「この機会にぜひ多くの人たちに足を運んでほしい」と来場を呼び掛けている。(小川俊之)明薬湯」(同昭和3)を経営するほか、旭川市でスーパー銭湯を運営している。(小川俊之)



◎医学部設置検討懇話会、理念や教育内容で議論

 函館市が模索する、公立はこだて未来大学への医学部新設の可能性を検討する「医学部設置検討懇話会」(会長・今井浩三東大医科学研究所付属病院長、委員10人)の第2回会合が22日、ロワジールホテル函館で開かれた。医学部設置の場合に持つべき機能や特色について議論し、理念や目標、教員組織などの観点からさまざまな意見が出された。市は年内をめどに懇話会から報告書を提出してもらう方針で、西尾正範市長は「できれば作りたいという方向で進めたい」と述べ、設置に向けて積極的に取り組む姿勢を示した。

 委員会は今年7月に発足。前回会合では民主党政権の考え方や、医師不足の現状と対応策などについて議論している。今回は教育理念や病院の機能を踏まえた教育内容、教員組織と定員、入学制度などについて各委員が意見を出し合った。

 未来大の中島秀之学長は、目指す医学部像として「北海道の広さを埋めるのが情報通信の役割」と述べ、情報と医療技術との融合の有効性を提言。吉岡充弘・北大大学院医学研究科副研究科長は「理念や目標を明確にすべき」、伊藤丈雄市医師会会長は「特色ある医大を作るなら、地域に密着した形が望ましい」と述べ、地域医療に力を注ぐべきとした。

 さらに患者の疾患だけでなく、心理・社会面を含めて患者を包括的にとらえる「全人的医療」を目指すべきとの声も多く、「患者を治すとの視点に立った教育システムを作るべき」などの指摘があった。

 入学制度に関しては、地域枠制度の設定や地域の高校との連携などについて話し合い、「地域からの支援をもらえる大学でなければ難しい」との意見や、「空港が近いのは利点。外国にいる日本人医師を招くのもいい」などの意見が出た。

 懇話会は今回で終了し、市は報告書提出を受けて具体的な検討を進める。西尾市長は「夢のような話だが、最初で最後のチャンスと感じている。未来への投資を考えれば壮大ないい事業。前に進める形で取り組みたい」と述べた。(千葉卓陽)


◎「海炭市叙景」北海道応援団が設立

 【札幌】函館出身の作家、故佐藤泰志さんの遺作を映画化した「海炭市叙景」の北海道応援団が設立され、その記念イベントが21日、紀伊国屋書店札幌本店で開かれた。

 同応援団は、佐藤さんと函館西高の同級生だった弁護士の浅野元広さんを中心に、有志らが佐藤さんの作品について情報発信活動を行なう目的で設立。

 同イベントで浅野さんは、佐藤さんの素顔や学生時代のやんちゃなエピソードなどを語り、時折来場者の笑いを誘う場面も。「海炭市叙景」については「観光都市としての視点でなく、日常に暮らす人々の目線から函館を見事に捉えており興味深い。知られざる名作をぜひ多くの方々に見てほしい」とPRした。この日は、朗読会やパネル展示なども行なわれた。

 映画は函館をモデルにした地方都市「海炭市」を舞台に、家族の再生や屈折した若者の青春など人間が抱える普遍的テーマを描いた作品。観光都市としての美しい函館ではなく、一地方都市の変わりゆく姿とそこに生きる人々の生活をありのままに映し出す。11月27日の函館を皮切りに札幌、帯広を含め全国約40カ所で順次公開予定。

 同応援団は、27日の函館上映までに2回の朗読会を企画しており、上映後も朗読会やイベント開催などを通じて、「作家佐藤泰志」の情報発信に努めていくという。(池田美佳)



◎渡辺さん親子が山の手に画廊開設

 函館市山の手3の主婦、渡辺知子さん(38)と母の節子さん(63)が、自宅の一部を改装しギャラリースペース「画廊一花(いちげ)」を開設した。現在市内・近郊の作家3人の美術品を展示。同町内のような閑静な住宅街での開設は珍しく、知子さんは「静かな空間でじっくり作品を鑑賞してもらい、来場者との交流ができれば」と期待している。

 絵画鑑賞が趣味の知子さんは、七飯在住の日本画家・安積徹さんの作品に感銘を受け、昨年安積さんに師事。節子さんも、函館の陶芸作家・佐藤留利子さんの教室に通うなど互いに美術愛好者で、いつしか画廊の開設が夢になった。今年9月に自宅を兼ねた囲碁所「天元」の2階の和室を解体し、約1カ月間かけて画廊を完成させた。

 展示スペースは約30平方メートル。天井は集積材を使った独自の模様が特徴で、作品を照らすLED(発光ダイオード)の照明灯15基も用意した。現在安積さんの日本画、佐藤さんの陶器など計13点を展示しており、落ち着いた雰囲気の中で鑑賞を楽しむことができる。

 「一花」は、初春に咲くキクザキイチゲに由来。さまざまな花が芽吹く春の到来をイメージして名付けた知子さんは「友人から『一輪の花が咲いているような居心地のいいスペースだね。頑張って』と励まされ、地元の芸術文化に貢献する決心ができた。ぜひ来場してほしい」と目を輝かせる。

 午前11時—午後5時。木曜定休で入場無料。年内の展示は安積さんらの作品を入れ替える予定。年明け以降は1カ月単位での個展開催を考えており、出展希望者を募集中。1週間2万円。問い合わせ、申し込みは知子さん電話0138・56・4567、090・8372・5483。同画廊のホームページアドレスはhttp://art.galleryichige.com。(長内 健)