2010年10月29日 (金) 掲載

◎遺愛旭岡幼稚園で収穫感謝祭、焼イモ「おいしいね」

 函館市西旭岡町の遺愛旭岡幼稚園(野田義成園長、園児82人)の収穫感謝祭が28日、同園で行われた。収穫を喜び、食物への感謝の心を学ぶため、毎年実りの秋に実施している。訪れた大勢の保護者が見守るなか、園児らはパチパチと燃えるたき火の炎に目を輝かせた。

 園児らは感謝祭の由来や、今年度年長クラスが取り組んだ稲刈り体験についての話を聞いた後、この日のために1週間かけて集めた落ち葉を使ってイモを焼いた。

 焼き上がりを待ち外に出て、たき火を囲んだ園児らは、落ち葉をくべて煙と炎が大きく上がるたび歓声をあげた。

 手袋をつけた園児にあつあつの焼きイモが手渡されると、わくわくした表情で焼きイモの歌≠歌い、試食の瞬間を待った。苦労しながら皮をむき、先生の「いただきます」の合図を待って口の中へ。「甘いね」「おいしいね」と言いながら、夢中でほおばっていた。

 年長組の木村澪ちゃん(6)は「大きいおいもだけど、おいしいから全部食べれちゃう」と笑顔だった。(堀内法子)



◎函館出身の又野投手、ヤクルトが4位指名

 【東京】プロ野球の新人選手選択会議(ドラフト会議)が28日、東京都内のホテルで開催され、函館亀田中卒で中学硬式野球の函館東シニア出身の又野知弥投手(18)=小樽市北照高3年=が東京ヤクルトスワローズに4位で指名された。ドラフトで道南関係の選手が指名されたのは、函大卒の坂田遼外野手(埼玉西武ライオンズ)以来2年ぶり。

 北照高2年の秋からエースで4番を務め、10年ぶりの秋制覇を果たして春のセンバツに出場。右手の指を負傷しながらもベスト8と躍進した。7月の夏の選手権南北海道大会代表決定戦では函大有斗と戦い、4—3と競り勝ち2季連続の甲子園出場に導いた。

 打撃でも187センチ、83キロの恵まれた体格を生かした豪快なスイングで高校通算35本塁打を放った。甲子園球場では春、夏ともに本塁打を打ち、大きな注目を集めた。念願のプロ球団からの指名に喜びもひとしおだ。

 自宅テレビで祈るような思いでドラフトを見た母・輝美さん(51)は「数日間、どきどきして落ちつなかったが、選ばれてほっとした。チームメートの西田(明央=捕手、同3年)君と一緒の球団になるとは。ものすごくうれしい」と感激。携帯電話で父・昌秀さん(44)と話した又野は「うれしい。(プロ球団に)声をかけてもらえてよかった」と感謝の言葉を伝えた。(小林省悟)



◎トンネルマン縁起担ぎ、「崩す」ご飯食べません

 大好物は工事完了までのおあずけ—。トンネル工事に携わる関係者は、難工事を無事乗り切るため、いろいろな縁起を担いでいる。卵かけご飯を食べないといったこだわりの食事方法や独特の風習が多く、「危険を伴う仕事なので、このジンクスだけは譲れない。最新技術に加え、神頼みが重要。すべては安全のため」と日々現場で汗を流す。

 函館市南茅部地域の国道278号バイパス「尾札部道路」新豊崎トンネルでは20日、住民が工事現場見学会に参加。掘削の最先端部を見て回り、着実に進む工事状況を確認した。

 見学会で、参加者を戸惑わせる場面があった。トンネル内部に女性が入ろうとしたとき、「申し訳ない。工事期間中は、中に女性を入れないようにしているので、外で待っていてほしい」。工事責任者によると、山の神は女性なので、嫉妬の災いが起きないよう「女人禁制」の習わしという。

 新豊崎トンネル工事事務所の鈴木浩史所長(40)は「何も悪気はなく、われわれの思いを何とかくんでもらえないだろうか」と頭を下げ、トンネルマンならではの逸話を紹介。鈴木所長は、卵かけご飯が大好きだが、工事が始まると完了するまで一切食べない。「お茶漬けも食べない。崩れるを連想させるから」。

 ほかの作業員もうなずいて続ける。「この工事が無事終わり、バイパスが全線開通することは地域の喜びであり、われわれの楽しみでもある。大好きな卵かけご飯が食べられるから」と笑い声が響き、見学会は和やかな雰囲気に一変した。(田中陽介)


◎桧山沿岸に劇薬など危険な漂着物…打つ手なし

 【乙部、江差】日本海の桧山沿岸では、危険な劇薬が入ったポリ容器や、爆発の恐れもある信号弾など、危険な漂着物が発見されるケースが相次いでいる。大量の漂着ごみには中国語やハングルの表記も目立ち、海を越えて押し寄せる厄介者≠ノ住民も困惑を深めている。

 乙部町では19日、韓国製とみられる海難救命用の信号弾2発が未使用の状態で漂着した。同タイプの信号弾は松前町でも発見された。底部にあるピンを引くと、落下傘を着けたロケット弾が約300メートル上空に発射され、照明剤に着火すると3万カンデラ(1カンデラはろうそく1本の明かりに相当)の強烈な光が発生し、付近の船舶や航空機に遭難者の位置を知らせる仕組みという。ハングルや英語で使用方法や「火気厳禁」などの表記もあった。

 町内の漁船は使用しておらず、貨物船など外国籍の大型船舶が使用期限が切れたため、海に投棄した可能性があるという。保管に当たった乙部町では「爆発の恐れはないのか」「どうやって保管すれば」と、職員が困惑の表情を浮かべた。道外では暴発や誤発射で住民が重傷を負う事故も起きている。太平洋戦争中の不発弾と同じく爆発の恐れもある危険物として、江差署を通じて海上自衛隊函館基地隊が回収し、爆破処理を行う予定という。

 一方、桧山沿岸では2008年以降、冬から春にかけて、韓国製とみられるポリ容器の大量漂着も続いている。容量20リットル前後の青や白のポリタンクが中心で、漢字やハングルで「過酸化水素水」「硝酸」「硫酸」などの記載も見られる。桧山管内では、今年1月末には270個の容器が確認された。上ノ国町では何らかの薬品が入ったままの容器もあった。環境省によると2000年から09年までに、日本海を中心に全国で19万個近いポリ容器が回収されたという。

 韓国ではノリの養殖業者が、網の消毒に強酸性の薬剤を使用している。朝鮮半島で不法投棄された容器が、海流に乗って日本海北部まで流れ着いているようだ。道外では、薬品に触れた人がやけどを負う事故も続発している。また、海岸では韓国などでアナゴ漁に使われる円すい形のプラスチック容器も目立っている。

 大量の漂着ごみには打つ手がないのが現状だ。管内の漁業者は「薬品類が漁業にどんな影響を及ぼすのか分からない」と心配顔。沿岸の町では、住民による海岸清掃などの機会に処理を続けているが「いくら回収してもきりがない」「危険な漂着物もあるのでうかつに触れない」「処理費用もかさむので手が付けられない」などの悲鳴も上がっている。(松浦 純)



◎韓国訪問団帰函、函館に大韓航空などソウル便の利用増を要請

 函館市や地元経済界の代表らで構成する韓国観光客誘致訪問団(団長・高野洋蔵函館商工会議所会頭)が28日、4日間の日程を終え帰函した。函館—ソウル(仁川)線を運航している大韓航空や現地の旅行代理店を訪問した中で、函館側に対し、函館発の搭乗率向上を要請する意見などが出された。

 訪問団は高野会頭を団長に、市の谷沢広副市長や吉田崇仁市議会議長、函館国際観光コンベンション協会の木村孝男会長ら12人で構成。大韓航空のほか、大手旅行代理店や市と姉妹都市提携交渉を進める高陽(コヤン)市などを訪問した。

 関係者によると、大韓航空に対しては増便を求める要望書を提出。同社からは函館—ソウル線の搭乗率が82・6%(今年1—9月)と好調なことから「持続可能な路線に発展した」との見解が示された一方、日本人の利用が少ない函館発便の搭乗率向上について努力を求める声が出されたという。半面、旅行代理店からは搭乗率の高さからツアーが組みにくく、増便を求める意見も出た。

 函館商工会議所は「現地では函館の魅力が高まっていると感じた。こちらからも観光客を送り、相乗効果を高めなくては」と話す。また、大韓航空函館支店の岸田茂支店長は増便に関し「少なくとも1年程度は様子見が必要で、現時点ではまだ白紙の状態。函館からの送客が少ない現状では難しい」と指摘した。

 年内の姉妹都市提携調印で合意した高陽市からは、キム・インジュ副市長や、観光担当者ら4人が11月9日に来函して状況を視察するとともに、同月下旬をめどに具体的な調印期日を決めることで一致した。チェ・ソン市長の来函は「12月下旬になる見通し」(市企画部)という。(千葉卓陽、森健太郎)