2010年10月30日 (土) 掲載

◎箱館ハイカラ號あす運行終了

 夏の間、観光客らに親しまれた函館市電の復元電車「箱館ハイカラ號(ごう)」は31日で今期の運転を終了する。沿線では間もなく終わりを迎える今年の走行シーンを収めようと、鉄道ファンなどが写真撮影を楽しんでいる。

 ハイカラ號は1910年、千葉県で運行を開始し、台車は今年100年を迎えた。今年は4月15日から市内を走っており、市交通局ではさまざな記念グッズを販売して節目を祝った。

 赤を基調としたレトロな車体は、異国情緒あふれる函館の街並みと調和している。29日は西部地区の大三坂付近で、葉や実が真っ赤になったナナカマドの近くを通過。晩秋から初冬を迎えた街の色彩と共演していた。      (山崎純一)



◎あす初の青函温泉フォーラム

 温泉をキーワードに青函交流を深めよう―。青森県内の愛好家による「青函温泉観光フォーラムin函館」が、31日午後1時から函館市大森町2のサン・リフレ函館で初めて開かれる。両地域の温泉にまつわる基礎知識を問う「温泉検定」やセミナーを行う予定で、約1カ月後に迫った東北新幹線新青森開業を前に、ユニークな視点で青函交流のあり方を問う。主催者は多くの参加を呼び掛けている。

 温泉街の活性化に取り組む愛好家団体「温泉地活性化研究会」(事務局・青森市、谷口清和代表)が主催。

 12月4日に東北新幹線が全線開業し、2015年度には北海道新幹線新函館駅(仮称)の開業を控えることから、両地域の温泉や観光資源について、地域住民に再確認してもらおうと開く。

 同研究会は今回のフォーラムに合わせ、温泉の基礎知識や正しい入浴法、青函の観光資源などを題材とした「青函温泉観光検定」を行う。択一式50問(100点満点)で、「うち30問は湯の川や椴法華、浅虫、酸ケ湯などに関するもの。温泉マニアは必見」(谷口代表)。終了後すぐに答え合わせを行い、同研究会のメンバーが解説する。

 後半の温泉観光セミナーでは、谷口代表が新青森開業に向けた最新情報を報告するほか、同研究会の幹事2人が温泉による癒やしや、成分の分析表をテーマに話す。

 同研究会は2005、06年に函館市内で温泉にまつわるフォーラムを開いているが、新幹線に絡めた内容は初めて。谷口代表は「青函は温泉や港町など、似た背景を持っており、新幹線開業を契機により連携を深めていくべき。フォーラムで温泉や観光に関する知識を深め、交流を図っていきたい」と話している。

 入場無料。温泉検定の受験は定員50人(先着順)。問い合わせは同研究会電話080-6001-4126。(千葉卓陽)



◎山丁林業の澤村社長に 林野庁長官賞

 函館市金堀町8の山丁林業社長の澤村敏雄さん(81)が、森林の適正管理に努めたとして、本年度の林野庁長官賞を受賞することが決まった。渡島管内では唯一で、同管内からは7年ぶりの受賞。積極的な植樹や間伐に加え、人材育成にも力を入れてきたことが評価された。澤村さんは「大好きな山で仕事をしてきただけで、功績を残すようなことは何もしていないが、評価されるのは素直にありがたい」と喜んでいる。

 地域振興を掲げ、優秀な林業経営者を表彰する「農林水産祭参加全国林業経営推奨行事」として受賞が決まったもの。同賞は全国で11個人、5団体が選ばれ、道内からは澤村さんを含む2個人が射止めた。

 澤村さんは旧大野町(現北斗市)出身。地元の木材会社勤務を経て、30歳に独立し、電柱用のスギ丸太を本州へ出荷して戦後の復興を支えた。

 その後、電柱はコンクリートとなり、スギの需要は減少したが、「山をやぶにせず、地域に必要とされる存在にしなければならない」と計画的な山林経営を展開してきた。

 社有林は約150fに達し、そのうち人工林が53%を占める。時間を見つけては散策し、「100年、200年先にどう成長しているか楽しみ。長い時間だが、日々の成長を感じていると何とも言えない気持ちになる」と目を細める。

 豊かな経験を生かし、道認定の「指導林家」としても活躍。各地で後継者育成や育樹活動の講師役をボランティアでこなし、28日には社有林で指導林家を対象にした現地研修会で案内役を務めた。

 渡島東部地区指導林家連絡協の石井美智磨会長は「われわれにとってこの賞は『ノーベル賞』にも匹敵する。澤村さんの仕事にかける思いを学んでいきたい」と同研修会で参加者に呼び掛けた。

 表彰式は11月17日に東京で行われる。澤村さんは「私以上に林業に努力する関係者が多い中で恐縮だが、いつも応援してきてくれた仲間とこの喜びを分かち合えれば」と話している。(田中陽介)


◎国立病院に乳がんサポートグループ発足

 国立病院機構函館病院(石坂昌則院長)は29日、乳がん患者サポートグループ「おしゃべり会(仮称)」を立ち上げ、同病院で初めての会合を開いた。同じ悩みや不安を抱える患者同士が打ち解け合い、前向きな姿勢で治療に臨んでもらおうと、相談支援室の看護師らが企画。2日には函館五稜郭病院(老松寛病院長)も同様の趣旨で、乳がん患者を対象にしたセルフケアグループを発足させており、治療とは別に精神的なサポートをする取り組みが函館市内の総合病院で広がりつつある。

 初回のおしゃべり会には、市内、近隣から通院する患者6人が参加した。冒頭、石坂院長が「和気あいあいの雰囲気の中でがんについて勉強してもらえれば」とあいさつ。次いで、担当看護師が会の趣旨を説明し、対象が乳がん患者とその家族であることや、同病院の通院患者以外も受け入れることなどを伝えた。改行 専門医によるミニ講座も開かれ、小室一輝外科医長が乳がん治療の最新情報や術後の副作用のリンパ浮腫について説明。「自分がどのタイプのがんで、どのような治療を受けているのか覚えておいてほしい」と述べた。

 その後、職員らも交えて親ぼく会に移り、参加者は自分の趣味について話したり、小室医長に個別に質問していた。

 参加者からは「受診時になかなか聞けないことを聞けてよかった」「気分が楽になった」といった声が聞かれた。

 同支援室は「治療のことだけでなく、患者の要望に応じて栄養や薬、医療費のことなどについても話をしていきたい」としている。(鈴木 潤)



◎スイーツフェスタ 来年も開催

 9月に函館・近郊の菓子を一堂に集めたイベント「はこだてスイーツフェスタ」の実行委(委員長・若山直五島軒社長)は、来年も引き続きイベントを開催する方針を決めた。出店者、来場者双方から次回の開催を望む声が強く、実行委は「さらなる函館のスイーツのイメージアップにつなげたい」としている。

 22日に開かれた実行委の総括会議で、来年も引き続き開催することで合意した。時期や場所など詳細は未定だが、今回のフェスタに150万円の予算を計上した函館市も継続開催に意欲的で、「地元スイーツの消費拡大やイメージアップに大きな成果があった」と分析する。

 会議では3日間の来場者数が当初目標の1・6倍の1万5000人に達し、総売上額が665万円に上ったことを報告。出店者向けのアンケートでは、「出店して良かった」が全体の84%を占め、「店舗のPRになった」「他店を見て勉強になった」との声も。次回の開催については68%が出店を希望し、検討するが32%と前向きな回答が目立った。

 一方、来場者へのアンケートでは、客層として20―30代の女性が半数近くを占めたほか、和菓子より洋菓子に人気が集中している実態が浮かんだ。回答者全体の75・9%が「また来たい」と答え、次回の開催を望む声や「小さな店も含めて出店数を増やしてほしい」との意見もあった。

 市商業振興課は「市民がスイーツに高い関心を持っている表れで、地域の経済振興やブランド化にもなる」と説明。出店した風月堂の小川一彦社長は「最初は半信半疑だったが、予想以上の客入りで驚いている。普段店を知らない人へのPR効果もあり、一般消費者のスイーツへの注目度を再認識した。次回もぜひ参加したい」と話した。 (森健太郎)