2010年10月5日 (火) 掲載

◎秋サケ漁 回復の兆し 水温下がり水揚げ伸びる

 9月8日の解禁直後から不調だった函館近海の秋サケ漁は、10月に入り、回復の兆しが見えてきた。サケが好む水温変化や来遊ピーク時期突入などがプラス材料となり、各地で水揚げが伸びている。専門研究機関は「今年は残暑の影響で、サケの来遊が1旬ずれていることも考えられる」と予測。漁業関係者は「目に見える形で漁が上向いてきたので、ほっとしている。これからが本番」と巻き返しに躍起だ。

 渡島海区漁業調整委員会の最新のまとめ(9月末現在)によると、渡島の定置網漁獲量は13万7680匹(過去5カ年平均25万7204匹)と例年を下回っているものの、長万部―森町砂原が6万8768匹(同6万7129匹)と豊漁傾向だ。

 解禁直後は13匹と極端に少なかった北斗上磯―松前は5013匹(同1万9402匹)と盛り返している。函館市南茅部地域でも、3日の水揚げが約1000匹と話題は明るい。サケがとれず、この日のイベント販売の可否が心配されていたが、地元漁師は「運良く朝は大漁だった。お客さんも喜んでくれた。このまま大漁が続いてほしい」と願う。

 9月中旬のサケ漁の不調は、記録的な猛暑で海水表面に熱がこもり、沿岸への来遊を遠ざけていた可能性が高いとされる。道総合研究機構さけます・内水面水産試験場道南支場は、水温が下がり始め、平年並みになってきたことを漁の復調の要因に挙げ、「サケが好む14―15度になれば、もっと漁は期待できる。寒気と適度なしけが大漁への条件」とみる。

 一方、河川ではサケが懸命に遡上(そじょう)しているという。同支場の研究職員は「河口によっては水温が20度とサケにとってはかなりの高温だが、産卵のために無理をしてでも遡上し、生命をつないでいる」と紹介する。(田中陽介)



◎作文コンクールで函館白百合学園高校生徒2人が上位入賞

 高校生らを対象とした全国クラスの作文コンクールで、函館白百合学園高校(吉田めぐみ校長)の生徒2人が相次いで上位に入賞した。NPO法人「仕事への架け橋」(東京)主催の「全国高校生・高等専修学校生『私のしごと』」で、3年の吉本早希さんが(18)が最高賞の文部科学大臣賞に次ぐJob賞(同法人賞)を受賞し、同校も優秀団体賞に選ばれた。大阪経済大(大阪市)が募集した「17歳のメッセージ」では、1年生の斉藤桃華さん(16)が金賞(5作品)に輝いた。2人は受賞を励みに飛躍を誓った。

 両コンクールとも先月審査が行われ、入賞者が発表された。

 「私のしごと」作文コンクールは、将来就きたい職業や理想の職業人などをテーマに、自分の思いをつづる。2005年に創設され、今年は全国各地から4002点が集まり、同校からは133人が応募した。

 吉本さんは今年5月にフィリピンでボランティア活動をしたのをきっかけに、非政府組織(NGO)の職員を目指すと決意。作文では、現地で見た貧困層や孤児の実態をつづりながら「恵まれない子供がこれ以上増えない世界をつくりたい」などと思いを伝えた。

 斉藤さんが応募した「17歳のメッセージ」は、今伝えたいこと、これからの自分などをテーマにしたコンクールで、全国各地から2万9236点の応募が寄せられた。金賞の斉藤さんはグランプリ(4作品)に次ぐ賞で、中学校卒業時に恩師から送られた言葉「君たちはわたしの宝」が自分の宝だということをつづった。

 吉本さん、斉藤さんとも「賞に選ばれるとは思っていなかった」と驚き、「自分の気持ちを素直に書いた」と振り返る。

 来春卒業する吉本さんは「NGO職員になる目標に向かってできる限りのことをしていきたい」とし、斉藤さんも「恩師の宝に恥じない生き方をしていきたい」と、ともに決意を新たにした。

 「私のしごと」の表彰式は今月17日に東京都千代田区のアルカディア市ケ谷で行われ、吉本さんは式後のジョブサミットにも出席予定。「17歳のメッセージ」は来月6日に同大学で行われる。(鈴木 潤)



◎箱館奉行所復元工事 瓦担当者に感謝状

 函館市は4日、今年7月にオープンした箱館奉行所の復元工事に携わった福井県瓦工業協同組合の新谷孝雄理事長(63)、鬼瓦を作った鬼師の西郡正義さん(82)=福井県あわら市=、瓦ふき職人の渡辺権蔵さん(63)=同県越前町=の3人に感謝状を贈った。西尾正範市長は「伝統ある技術を駆使していただきありがとうございます」と感謝の意を伝えた。

 約3万8000枚製造された瓦は、20種類の試作品から最終的に4種類に決定した。当時の色合いを出すのは、現在の機械化された手法では非常に困難で、鉄分やマンガンなどの含有物の量と、うわ薬を微調整して作りあげた。

 新谷理事長は「大量の枚数の瓦を作りあげるのと、当時の写真を見ながら設計通りに復元することにとても苦労したが、やりがいがあった」と振り返った。

 渡辺さんは、同じ瓦を2枚続けて使わないなど、職人として培った技術で屋根ふきを行った。西郡さんは、設計を担当した文化財保存計画協会と何度も話し合いを重ね、歴史に忠実な鬼瓦を作りあげた。

 奉行所復元に関わったことについて西郡さんは「すばらしい仕事をさせてもらい、職人冥利(みょうり)に尽きる」、渡辺さんは「奉行所に携わることができて学ぶことが多かった」と笑顔で話していた。(黒田 寛)


◎秋の交通安全運動 期間中に事故45件 七飯では死亡事故も

 道警函館方面本部は1日、秋の全国交通安全運動(9月21―30日)期間中の交通事故発生状況をまとめた。発生件数は45件(前年51件)で、昨年なかった死亡事故が七飯町で1件起きている。例年、10月は市街地の交差点での車同士の追突や、車と自転車の衝突事故が多くなることから、函本交通課では「特に通勤・通学や夕暮れ時間帯には安全確認を徹底してほしい」と呼びかけている。

 死亡事故は26日に七飯町内の国道5号で発生。オートバイを運転していた男性が転倒し、亡くなった。負傷者は50人(同63人)だった。

 事故の発生場所では、市街地交差点が28件(62.2%)と半数以上を占めた。事故形態のトップは車両同士の追突事故17件(37.8%)で、次いで車同士の出合い頭の衝突事故、対自転車事故だった。



◎函館商工会議所の新1号議員50社確定

 10月31日の任期満了に伴う函館商工会議所(高野洋蔵会頭)の新しい1号議員50社が確定した。このうち新任は浜津会計事務所、中山薬品商会、ヤマサ宮原、はこだてティーエムオー、丸み佐藤商店、北海道輸送、ホーム企画、前側石油の8社。これによってすでに決定している2号議員35社、3号議員15社を合わせて全議員100社が確定し、次期会頭に内定している松本栄一現副会頭の下、11月から新体制がスタートする。

 1号議員50社は次の通り。(届け出順)

 ▽竹田食品、函館水産市場仲卸協同組合、函館地方電気工事協同組合、今井工務店、アドバンス、はこせき、成沢機器、長門出版社、道南食肉センター、キザイ産業、高橋組、函館トヨペット、みちのく銀行函館支店、函館日産自動車、函館中央自動車学校、博善社、函館運送、函館国際ホテル、函館平安システム、ニシカワ産業、村山ギソー、SHR函館、工藤組、函館タクシー、松本組、富士サルベージ、リージャスト、丸勝林業、佐藤木材工業、中合棒二森屋店、浜津会計事務所、中山薬品商会、ヤマサ宮原、薄田測量設計事務所、日本通運函館支店、はこだてわいん、美鈴商事、古清商店、カネス杉澤事業所、メデック、橘水産、はこだてティーエムオー、丸み佐藤商店、北海道輸送、トヨタカローラ函館、ホーム企画、前側石油、ホテル函館ロイヤル、函館酪農公社、日新産業