2010年10月6日 (水) 掲載

◎大型修繕ドック運用開始 函館どつく

 函館どつく函館造船所(函館市弁天町)で5日、新たな修繕用第3ドックの運用開始に伴う注水式が行われた。新ドックでは最大23万DWT(載化重量トン)の大型船の修理が可能となり、今後は国内外の大型フェリーや大型外航船などの受注拡大が期待される。

 同社ではこれまで、最大入渠(にゅうきょ)能力1万7100DWTの第1ドックと、同9000トンの第2ドックを稼働し、1万トンクラスまでの小型船の修繕を中心に行ってきた。しかし世界的に大型船の補修需要が拡大していることを受け、1979年に閉鎖した旧ドック跡地に2009年から約50億円かけて新しい修繕用ドックを建設してきた。

 新ドックは長さ308メートル、幅54メートルまでの大型船の入渠が可能で、70トンのジブクレーンが付帯。すでに今月上旬には日本郵船が所有し、太平洋汽船が管理する9万1439DWTの石炭積載貨物船「能代丸」の入船が決まっている。

 注水式には関係者ら約70人が出席。同社の岡田英雄社長や西尾正範函館市長ら6人によるテープカットに続き、クレーンに釣られたくす玉が割られると、ドッグ内に一気に海水が流れ込み、ぐんぐんと水位が上がっていった。

 西尾市長は「昨年はゴライアスクレーンが撤去され寂しい思いもあったが、新たなドックの完成は函館の今後の経済発展にも多いに寄与してくれると信じている」と期待を込めた。岡田社長は「船舶の建造、橋梁および産業機械製作とともに函館どつくの3つの柱である艦艇・一般船の修繕部門が新ドックの完成によって強化された。今後は数多くの修理受注を目指していきたい」と語った。(小川俊之)



◎「海炭市叙景」文庫本発売

 また一つ、夢かなう—。函館出身の作家、故佐藤泰志(1949—90年)の小説「海炭市叙景」が、同作の映画化に携わった製作実行委や市民らの熱い要望に応えて、約20年ぶりに文庫版として6日から発売される。函館市内を中心に、道内の予約販売が予想を上回る反響で、初版は文庫本としては異例の1万5000部に決定した。同実行委の菅原和博委員長は「映画化に続き、文庫化という私たちの夢がまた一つ叶った。6日は記念すべき日になる」と喜んでいる。

 同作は函館を彷彿(ほうふつ)とさせる架空都市「海炭市」で生きる人たちを描いた作品。今年6月に映画が完成し、11月27日の函館を皮切りに全国約60館での公開が決まっている。

 発刊は小学館(東京)で、同社の村井康司さん(52)が以前読んだことのあった同作の映画化を、ネット上で各々が意見などをつぶやく「ツイッター」で知り、物語の素晴らしさをたくさんの人に知ってもらいたいと復刊に向けて尽力し、発売にこぎつけた。同社によると、函館市内の大型書店では通常の3倍にあたる50—100部を注文する店も多く、村井さんは「公開を控えているので、もっと反響は大きくなるはず。2版、3版と続けられれば」と期待を込める。

 映画化が決まってから問い合わせが多くなったという文教堂書店函館テーオー店(梁川町10)は「反響も大きく映画公開など話題性も十分。特設コーナーを設けて盛り上げたい」と話す。価格は税込み650円。市内の大型書店を中心に販売される。(小杉貴洋)

 



◎幕末ロマン香る味に

 コーヒー製造販売などの美鈴商事(函館市上湯川町、鈴木修平社長)は、約140年前の幕末当時、函館で飲まれていたとされるコーヒーを再現した「箱館奉行所珈琲(コーヒー)」を発売した。函館発祥で、コーヒー店として道内最古の歴史を持つ同社は「函館の歴史と伝統、ロマンを味わって」とPRしている。

 今年7月に国の特別史跡・五稜郭跡内に復元された箱館奉行所のオープンを記念して企画した。開発担当者が函館にコーヒーが輸入されたことを記した古い文献をひも解き、オランダから持ち込まれたアラビカ種と推定。今回は中でもグレードの高い現在のインドネシア産の豆を選んだ。

 当時は薬用として飲まれたという記述を基に、やや深めに焙煎した中びきの豆は、苦味が強く、深いコクがあるのが特長。白いパッケージにはスケッチ風の奉行所の外観に、函館とコーヒーのかかわりについてのエピソードを添えた。一缶170グラム入りで、945円(税込み)。

 同社営業部は「観光客の土産品としてはもちろん、地元市民にも味わってほしい自信作。箱館奉行が飲んでいたとされる歴史ロマンに思いをはせて」としている。同社の直営店のほか、奉行所前の売店や函館駅、函館空港内の土産品店などで取り扱っている。問い合わせは同社TEL0138・57・2233。(森健太郎)


◎道縦貫自動車道「火入れ式」

 【八雲】道縦貫自動車道(道央自動車道)落部—森間(20・2キロ)の舗装工事用プラントを稼働させる「火入れ式」が5日、八雲町東野の落部インターチェンジ近くの工事現場で行われた。東日本高速道路道支社や自治体の首長ら約100人が出席。稼働スイッチが押され、来秋の開通に向け、舗装工事が本格化した。

 同区間は八雲町と森町にまたがり、用地取得や鷲ノ木遺跡の地下トンネル工事が順調に進んだため、予定よりも1年早く開通する見通しとなっている。災害発生時における国道通行止めの代替路線としての役割も大きく、沿線地域はこの前倒し開通を歓迎している。

 川代義夫八雲町長は「順調な工事は喜ばしく、いずれは函館までつながってもらいたい」、佐藤克男森町長は「新鮮な特産品をいち早く各地へ届けるには高速道路が必要」と早期完成への期待を強調。同支社の畠中耕三建設事業部長は「高品質な高速道路を一日でも早く開通させたい」と述べた。

 プラントのアスファルトを製造する主要部は高さ17・5メートルで、一日に最大1000トンを生産。地元噴火湾のホタテ貝粉末が材料に加えられ、排水と耐久性に優れた高機能舗装を採用する。舗装工事は路面の氷結や降雪時を避けて行う。同区間事業費525億円のうち、約30億円が充てられている。(田中陽介)



◎アイデア出し合い「一休み公園」整備

 【江差】道建築士会桧山支部(若浜崇支部長)などは、江差町本町20にある遊休町有地を活用したポケットパーク(小公園)「一休み公園」を整備するボランティア活動を行った。

 小公園の整備は、同支部の呼び掛けで、桧山振興局、江差町、厚沢部町のほか、町内の美化活動に取り組んでいる、いにしえ街道華の会(高野政夫会長)や江差小の児童、北海道工業大学(札幌)の学生らが参加した。町有地は江差保健所の庁舎向かいにあり、町が地権者から寄付を受けてから、活用方法が課題になっていた。 町内の美しい景観作りを進めながら、地域住民の憩いの場として活用しようと、アイデアを出し合いながら小公園を整備。玉砂利を敷いた公園内には、同支部がカモメをかたどった花壇を設置したほか、同小の児童が木製テーブルや丸太製のいすにカモメやニシンの絵を描いた。

 華の会のメンバーは、シンボルとなつタワラグミの木や公園の銘板を提供。公園内に設置した掲示板は、同小の行事や絵画などの作品を発表する場としても活用するという。公園は法華寺通り商店街をはじめ、町内の観光スポットに近く、地域住民からは「買い物客や観光客が休憩したり、住民が交流を深める場として活用できる」と歓迎の声も上がっている。(松浦 純)