2010年10月8日 (金) 掲載

◎スケトウダラ初水揚げ

 噴火湾のスケトウダラ刺し網漁が6日解禁され、7日早朝、函館市南茅部地域の川汲漁港で初水揚げされた。近年の豊漁傾向で魚価は低迷。漁獲枠も加わり、関係者を取り巻く環境は厳しいが、「水揚げと値段をうまく調整して、まずは安全操業に努めたい」と漁業者は意気込んでいる。

 漁は資源確保のため、国が定める漁獲可能量(TAC、渡島・胆振・日高管内で4万6000d)の下で操業。昨シーズンは南茅部などで解禁直後から豊漁が続き、盛漁期前の1月下旬にTAC枠に近づき、終漁しなければならない事態に陥っていた。

 これを受け、今年は1日の解禁日を6日に延期する自主規制を図った。初日は同漁港から5隻が出漁し、南かやべ漁協によると初水揚げは平年よりやや多い約50トン、浜値は1キロ32―42円で、平年の半値近かった。

 6日夜に出漁し、7日午前4時に帰港した加我静夫さん(58)は「魚体、水揚げ量ともに出だしはいいが、TACの心配は尽きない」。ある漁業者は「効率良くするには魚卵が熟す厳冬期に漁のピークをもっていけばいいが、それまで沖に出ないわけには行かない。日々の生活がかかっているから」と複雑な表情を見せる。漁は例年、年明けの厳冬期に最盛期を迎える。(田中陽介)



◎渡島区の議員定数1減で道議ら来春の選挙戦「厳しくなる」

 道議会の議員定数について、各会派の代表者で構成する「議員定数検討協議会」は来春の改選に際し、議員定数を現行の106から104とし、2減することで合意した。渡島、オホーツク両総合振興局区(定数3)を各1減とする内容。渡島選挙区選出の道議や出馬予定者は来春の選挙戦を「厳しくなる」と受け止める一方、地方から定数が減っていく現状を「地域住民の声が道政に届かなくなる」と懸念している。

 定数削減をめぐっては、渡島、オホーツクの2減案を主張する自民党・道民会議と、両選挙区に後志総合振興局選挙区を加えた3減案を訴える民主党・道民連合との間で意見が対立。しかし「いつまでも反対していると現状維持の方向が強くなり、削減できなくなる」として民主側が折れた。7日の民主党・道民連合の議員総会で了承された。8日の定例道議会本会議に関係条例改正案を提出、可決する見通し。

 渡島総合振興局区は2007年(当時渡島支庁区)の前回選挙で4人が出馬し、岡田俊之氏(民主党)、川村正氏(自民党)、冨原亮氏(自民党)が当選。来春の改選には現職の岡田、冨原両氏の出馬が予想され、死去した川村氏の二男で、元道職員の川村主税氏も出馬を表明している。

 岡田氏は「厳しい選挙戦になる。後志が渡島と同じ条件であり、抜け落ちたことに多少の不満はあるが、削減が決まった以上、淡々と全力を尽くしていくしかない」と冷静に受け止める一方、札幌偏重の現状を疑問視する。「来年の改選後にでも協議会を立ち上げ、法改正に向けて議論する必要がある」と話す。

 冨原氏も「地方議員は“地域代表”の面が強い。今まで以上に責任が重くなるが、選挙でやることに変わりはない」。選挙区の広さにも触れ、「北海道は他県と違って面積が広く、地域課題もまちまち。定数にかかる権限を地方に移譲してもいいのでは。このままでは地方から議員がいなくなる」と訴える。

 出馬に向けて準備を進める川村氏は「課題が多い道南地方にとって、1議席減は厳しい事態。議員2人でカバーするのは大変だ」とする一方、「選挙戦は厳しいものとなることが予想されるが、渡島西部を中心に草の根運動を展開し、道南全域に支持を広げていくという方針に変わりはない」と冷静に語る。(千葉卓陽、松宮一郎)



◎市函・西谷さん道高文連書道展で最高賞

 市立函館高校書道部の西谷円花さん(2年)が、このほど岩見沢市で開かれた第44回全道高校書道展・研究大会(道高文連主催)で、最高賞の道高校文化連盟賞を受賞し、来年8月に福島県郡山市で開催される全国高校総合文化祭出場に推薦された。全道700作品の中から15作品、道南からは唯一選ばれ、西谷さんは「最初はとても信じられない気持だった。今は責任を感じている」と笑顔を見せている。

 西谷さんは江差町生まれ。祖母で書家の西谷浩舟さんの影響を受け、小さいころから習字を始め、高校から本格的に書に取り組もうと同校へ入学。下宿生活を送り、毎日書道展など全国的に活躍する鈴木孝徳教諭から指導を受け、日々練習に励んできた。「受賞を家族に話したら、大きな声で喜んでくれた」と話す。

 発表作は中国・後漢の時代に岩に彫られた「楊淮表紀(ようわいひょうき)」の臨書。流麗で直線的な隷(れい)書は、今後の活動にもつながるとして選んだ。8月の函館支部大会出品に向け、7月から書き始めた。しかし、同月に虫垂炎で入院し、練習が遅れた。「復帰後、最初は焦ったが、集中力が増した」と話す。

 何十枚もしたためた中で、出品する1枚を選んだ。鈴木教諭は「たくさん書いた中で生命感に優れていた」と話す。西谷さんは「『楊』の渇筆がうまくでき、苦手だった『諱』もリズム良く書けた1枚だった」と振り返る。全道でも高く評価され、市立函館高となってからは初めての受賞となった。

 鈴木教諭は「練習を続けるという才能でつかんだチャンスを大切に、多くの人と交流し、たくさんのことを吸収してほしい」と話す。作品は来年3月までに提出するが、石谷さんは「力強く、リズムも良く、字に硬さがない創作に取り組みたい」と意欲を見せている。(山崎純一)


◎小説「海炭市叙景」の文庫版発売

 函館出身の作家、佐藤泰志(1949―90年)の小説「海炭市叙景」の文庫版が全国発売され、函館市内の書店でも7日から店頭に並んだ。約20年ぶりの復刊を待ち望んでいたファンも多く、予約販売は好調で、初日は朝一番で購入した人も目立った。同名映画の公開も控える同作は、文庫化が追い風となり、ますます“海炭市熱”がヒートアップしている。

 同作は函館をモデルにした架空都市「海炭市」で生きる市井の人々を描いた作品で、18章で構成されている。今回の文庫化は同映画製作実行委の悲願でもあり、市民らの要望に応える形で発刊元の小学館が発売を決めた。

 市内の書店では輸送の関係もあり、発売から1日遅れの7日に店頭販売が始まった。くまざわ書店函館ポールスター店(港町1)では、注目度の高さを受けて100部を入荷。商品は特設ワゴンに乗せられ、店内入り口の目立つ場所に配置された。同店は「発売の2―3日前から予約が急に多くなり、当日も開店時間直後に来店して購入する人もいました」と話す。

 文教堂書店函館昭和店(昭和1)は50部を用意した。やはり商品に関する問い合わせが多かったといい、「映画の公開で注目も高まり、文庫版とあって値段も手ごろなので手を伸ばす人が増えているのでは」と分析する。

 三省堂書店函館店(川原町4)では、仕入れた30部のうち予約分を除いて約10部が売れたという。同店では「文庫化決定前から問い合わせがあったが、今までは全集しか販売されていなかった。同作を単体で楽しめるようになったので、ぜひこの機会に」と勧めている。(小杉貴洋)



◎コンコードへの交流訪問団壮行式

 【七飯】米国マサチューセッツ州コンコード町への姉妹都市交流訪問団(団長・馬場修一副町長、団員14人)の壮行式が7日、町役場で開かれた。一行は11日から21日までの11日間の日程で、現地でホームステイをしながら交流を深める。中宮安一町長は「期待がいっぱいある中で、不安もあると思う。しっかり楽しんできて」と激励した。

 両町は1997年に姉妹都市提携を締結。公式訪問は16回目で、七飯、大中山、大沼中学校と七飯高校の生徒計8人と引率教諭、町民代表の社会人3人、町職員ら計14人で訪問団を構成し、8月から事前研修として、七飯の歴史や文化について学んできた。

 生徒たちはコンコードで6日間、ホームステイをしながら、七飯高校の姉妹校でもあるカーライル高校に通学。現地の文化や歴史を学ぶほか、ボスdやニューヨークを視察する。

 壮行式で生徒たちは「コンコードに行くのが夢で、うれしい」「音楽を通じた交流を深めてきたい」などと抱負を語った。団長の馬場副町長は「七飯を代表する友好親善大使として、これまで築いた両町のきずなをより強いものにしたい」と述べた。

 大中山中学校2年の橋本一空君(14)は「海外に行くのは初めて。楽しむことを忘れずに、アメリカの歴史や文化を学んできたい」と話していた。(今井正一)