2010年11月12日 (金) 掲載

◎冬備え函館も衣替え、五稜郭公園で雪つり

 函館市の五稜郭公園で11日、晩秋の風物詩「雪つり」の作業が始まった。この日は箱館奉行所前を訪れた観光客らが見守る中、同公園管理事務所の職員や市シルバー人材センターの作業員ら約15人がアカマツなどに縄を掛けていった。

 雪つりは、木に積もった雪の重みで枝が折れないようにするために行われる。各木に合った長さの竹を支柱に据え、頂点から円すい状に張った縄で枝をつる。同公園内では約30本を行う。

 毎年、立冬を過ぎたころに始めるが、今年は暖かく、1週間ほど遅れて開始したものの、この日は冷たい風が吹く中での作業となった。すべて終了するのに約3日かかるという。熊本市から旅行で来道した男性(21)は「雪つりは、テレビで見たことはあるが、本物は初めて。北国に来たと実感しました」と話していた。(山崎純一)



◎函館市、まちづくり3カ年計画策定

 函館市はこのほど、2011年度から3年間の事業や施策の指針となる「まちづくり3カ年計画」をまとめた。来年度から開始する事業として、磨光小学校と木直小学校の統合によるスクールバスの運行や、地域福祉推進のためのコーディネーター設置などを盛り込んでいる。

 市の新総合計画(2007―16年度)で示した施策を総合的、計画的に推進するための実施計画として毎年度ごとに策定しており、来年度予算編成の基本となる。実際の事業採択はその時々における優先度や財政状況に左右されるため、継続しているものや、今後想定される事業を掲載している。

 11年度新規事業のうち、市が事業主体となるのは過疎化が進む椴法華地区での集落維持対策やヒブワクチン、子宮頸がん接種費用の助成、中心市街地活性化基本計画の改定など12項目。国直轄事業としての実施を目指す函館港北ふ頭の整備なども盛り込んでいる。

 これらに加え、来年度を最終年度としている事業も少なくない。JR函館駅前市有地や旧図書館本館の活用策検討、第3子以降の保育料無料化検討などに一定のめどをつけるほか、市立障害児・者施設(ともえ学園、あおば学園、青柳学園)の複合施設や神山児童館(仮称)は来年度に建設工事を行い、12年度からの供用開始を目指す。

 このほか、函館水産・海洋都市総合研究センターの整備では来年度に実施設計と用地取得に取り組む方針。(千葉卓陽)



◎国境越えキムチ作り、乙部町商工会が本道・韓国の産学官連携に参画

 【乙部】乙部町商工会(三上岩雄会長)は、本道と韓国の産学官が連携して、道内産農水産物を活用したキムチの生産や販売に取り組む国際プロジェクトに参画することを決めた。今冬から町内企業を中心に本場・韓国の支援を受けながらキムチの試作に乗り出す方針だ。(松浦 純)

 プロジェクトは馬渕悟・道東海大教授が代表を務める北海道MDブランド研究会を中心に、道内の市町村、農漁協、物流・小売・食品関連の企業が参画。道南からの参加は同商工会のみ。韓国・高麗大学の李鎮奎教授を窓口に韓国政府のバックアップも得る。

 韓国内でも評価が高い北海道ブランド≠前面に押し出した販売戦略を基本に据え、道産食材の流通促進、日本国内でも健康食として注目されているキムチの消費拡大、食を通じた企業間や市町村レベルでの交流促進などの幅広い展開を検討する。韓国はキムチなどの韓食≠世界に売り出す国家プロジェクトを掲げている。原料となるスケトウダラやホタテなどの魚介類や野菜類など、優れた農水産物を供給する本道との連携に政府レベルでも強い意欲を示し、韓国農水省もプロジェクトへの支援に乗り出した。

 10月には三上会長らプロジェクトメンバーが韓国で現地視察を行い、キムチ工場の見学や国際シンポジウムに参加した。三上会長は「韓国は国を挙げてキムチを世界に売り出している。道内での販路開拓や韓国への逆輸出も視野に入れていきたい」とする。

 町内では、食品会社のはまなすフーズが、商品試作の準備を進めている。韓国側からレシピや唐辛子など原料の提供を受けるほか、韓国の代表的なキムチ製造会社から指導者を招いてノウハウを学ぶという。同商工会は、町内産タラコのブランド化や、福岡県の企業と連携した辛子めんたいこの開発にも取り組んでいる。敦賀正春事務局長は「キムチの生産ノウハウを辛子めんたいこの製造にも反映したい」と話す。寺島光一郎町長も「韓国では食の安全に対する意識が高まり、消費者はコストが安い中国産よりも日本産の食品を求めている。生産が軌道に乗れば韓国への輸出を含めた展開も可能になるはず」と期待感を示している。


◎西部地区教育芸術祭が開幕

 西部地区の保育園から大学までの5教育機関と7町会が参加する「第4回函館市西部地区教育芸術祭」(同教育芸術推進協議会主催)が11日に開幕した。初日は函館西中学校で舞台部門の発表を行い、5つの教育機関の子どもや学生約370人が、歌や吹奏楽演奏を披露。最後は来場した地域住民も含めた全員が心をひとつに「函館賛歌」を熱唱した。

 同協議会は、地域ぐるみで未来を担う子どもを育成する目的で2007年に発足。会長を務める西中の信夫恵美子校長は「たくさんの皆さんの協力によって開催できる。若い皆さんが心豊かに、健やかに成長してほしいという願いがこもっています」とあいさつした。

 駒止保育園は、園児24人が和太鼓の演奏とヨサコイを踊り、力強く太鼓を打ち鳴らす姿に、大きな拍手が送られた。弥生小学校3―6年は「音楽のおくりもの」を、ロシア極東国立総合大学函館校の学生は「カリーナが咲いてるよ」を合唱。西高校吹奏楽局は「アニメヒロインメドレー」など4曲を披露し、全体の合唱曲「ひょっこりひょうたん島」などの演奏で会場を盛り上げた。

 展示部門は12―15日の午前9時から午後7時(最終日は午後5時まで)に、市地域交流まちづくりセンター(末広町4)で開催する。絵画や書道、陶芸、民族衣装、工芸品など、関係団体が多彩な作品を出品する。入場無料。同協議会事務局は「たくさんの人にきてもらい、この地域に住んでいる子どもから大人までの取り組みを知ってほしい」と話している。(小泉まや)


◎道労働委員会が管内の労働組合など訪問

 北海道労働委員会は10日、労使間の紛争解決を支援する労働委員会制度の周知を図ろうと、渡島管内の労働組合などを訪問。公・労・使の各委員が要請文を手渡し、同制度の積極的な活用を呼びかけた。

 同委員会の公益委員、浅水正氏(弁護士)と労働者委員の石山和明氏(太平洋工業室蘭労組相談役)、使用者委員の野崎隆夫氏(函館経営者協会参与)が周知活動に取り組んだ。連合北海道函館地区連合会や全労連・函館地方労働組合会議、渡島総合振興局、法テラス函館を訪れた。

 一行は、公平な第三者機関として、労働基本権の保護と労使関係の安定、正常化を図る行政機関であることに触れ、「問題発生時に迅速かつ円満に解決できるようサポートしたい」と専門家が対応する労働相談窓口を紹介。利用は無料で、申請書や申し立て書作成の手伝い、札幌近郊以外では現地に出向いてあっせんをしていることを伝えた。

 渡島総合振興局では寺山朗局長ら幹部職員と地域経済や雇用・労働情勢について意見交換。同委員会が各総合振興局(振興局)の労働相談所と連携する「あっせん制度」の周知で、労使紛争の解決に向けた支援強化を確認した。

 この周知活動は初めての試みで、12日も実施。道商工会議所連合会道南支所と函館商工会議所、函館経営者協会を訪問する。

 労働相談はTEL0120-816105(平日の午前9時―午後8時)。あっせん申請は同委員会事務局TEL011-204-5667(同午前8時45分―午後5時半)(田中陽介)