2010年11月13日 (土) 掲載

◎道南、北東北のうまいものずらり

 函館湯の川グランドホテル(函館市湯川町3)で12日、「湯の川うまいもの祭り」が開かれた。道南と青森、秋田を代表する海や山の幸を使った郷土料理がずらりと並び、来場者を楽しませた。

 「B級グルメ」と呼ばれる、地元でしか味わえない個性的な料理が注目を集める中、函館にいながら北東北の味覚を存分に楽しんでもらおうと企画。会場には青森の「せんべい汁」「十和田バラ焼き」「ほたての貝焼き」「つゆ焼そば」、秋田の「稲庭うどん」「きりたんぽ鍋」「ハタハタの一夜干し」などがずらりと並んだ。また道南の味覚として「戸井産のブリ」「サケのチャンチャン焼き」「ジャガイモグラタン」なども登場し、バイキング形式で提供された。

 初めて見る料理も多く、約100人の来場者は、真剣な表情で品定めをしながら、お気に入りの料理を選択。函館市港町の佐藤幸雄さん(63)は「せんべい汁は初めて食べたがおいしかった。各地の料理が一度に食べられるので、旅行気分を味わうことができ得した気持ち」と喜んでいた。

 調理を担当した葛西賢シェフは「函館の人たちに北東北の料理の魅力を知ってもらえれてうれしい。今後もこのような企画を行っていきたい」と話していた。(小川俊之)



◎TPP参加 道南の農業団体からも懸念の声

 政府が関税の原則撤廃を目指す環太平洋連携協定(TPP)の交渉に参加する方針を打ち出したことを受け、道南の農業団体からも、海外産の安価な農水産物の流入に伴う影響を懸念する声が上がっている。一方で「世界から孤立を避けるべきで、国の立場も分からないではない。消費者自身の見極めが重要になる」との意見もある。

 新函館農協営農販売部の二本柳寛部長は「国を挙げて自給率向上を図ろうとしていた矢先に、協定に同意できるわけがない。競争力を声高にしているが、それ以前の問題」と指摘する。同農協の年間生産額は270億円だが、TPP加盟では80億円の減収になるとの見通しもあり、「農家だけでなく、多くの関連業者が大打撃を受ける。地域全体をつぶすことになる」と批判。組織として関係機関に断固反対を訴えていくという。

 函館市漁協の高谷広行専務理事は「今ここで賛成、反対と明確な答えを求めるより、冷静に現状を把握しなければならない」と前置きした上で「TPPに加わった場合、道南の漁業への打撃は果てしないのは確かだ。特にコンブは深刻で、輸入に押されかねない。マイナス面が多くなる」と懸念する。同漁協は漁連と連携して、問題解決に向けた国への意見や協議を今後重ねる。

 消費者団体も冷静に功罪両方を見つめている。衣食住の勉強会で家計のやりくりなどについて学ぶ「函館友の会」のメンバー、林千鶴子さん(63)は「海外からの安価な商品が出回れば、家計を助けるかもしれないが、長い目で見れば地元生産者や商店を見放すことになる可能性が高い」と客観的に問題を注視する。一方で「国の立場も十分理解はできるが、友の会としては、安心安全の『地産地消』にこだわっていく姿勢は変わらない。私自身、主婦の立場からは消費者自らが問題の本質を見抜くことが大事だと思う」と話している。(田中陽介)



◎西高2年・加藤さん最高賞…「北海道学び推進月間」標語・ポスターコンクール

 道教育委員会が行った本年度の「北海道学び推進月間」標語・ポスターコンクールで、函館西高校の加藤春香さん(2年)が、最高賞の優秀作品に選ばれた。勉強する生徒の背景に警察官や調理師など仕事する青年の姿をさわやかに描いた作品で、表現力の豊かさが評価された。全道の小中高校や教育委員会にポスター化して配布され、掲示される。

 道は昨年、4月と11月を学び推進月間と制定。コンクールは昨年度に続き2回目で、全道の小中高校生から標語部門には983点、ポスター部門には122点の応募があった。優秀作品は両部門とも1点ずつ。入選作品は、標語は小・中・高校で各4点、特別支援学校が1点、ポスターは全体で6点を選出した。

 12日は渡島教育局の和田基興局長が同校を訪問し、加藤さんに表彰状と完成したポスターを伝達。和田局長は「大変きれいで素晴らしいポスターです」と評した。

 加藤さんは中学校から美術部に所属し、高校では初めてコンクールに応募した。当初はデザインに苦労したが、「勉強をすることで未来の選択肢を広げるイメージで、いろいろな職業の人を描いた」と工夫した様子を説明。「短い期間に作ったので反省点もあるが、たくさんの人に見てもらえてうれしい」と喜ぶ。

 このほか道南からは、同じポスター部門で、桧山北高校の佐藤百華さん(1年)と渥美麻衣さん(3年)がそれぞれ入賞に選ばれた。佐藤さんは「意欲的に本を読む子は、将来も雰囲気も輝いている」と伝えようと、鉛筆と本を持つ子どもの姿を描いた。渥美さんは「身近なものから多くのことが学べる」とのメッセージを込め、紅葉した葉を持つ笑顔の子ども表現した。

 標語部門では、松前大島小学校の曽我えれなさん(6年)が「人生の 土台をしっかり 勉強で」の作品で入選となった。(小泉まや)


◎公共工事を前倒し発注へ…景気浮揚策で西尾市長

 本年度4回目の移動市長室(函館市、市町会連合会主催)が12日夜、恵山コミュニティセンターで開かれた。東部地区の住民約70人が来場した中、西尾正範市長は緊急経済対策として、本年度補正予算で公共工事を前倒し発注する考えを示した。

 1967年に始まった移動市長室は今回で通算100回目。2004年に合併した旧4町村地区(45町)を対象に実施し、市側は西尾市長のほか副市長2人、4支所長らが出席した。

 西尾市長は市政報告で、景気浮揚策について「12月には補正予算で3億円程度、公共工事を前倒しすることを考えている。90件以上発注して、少しでも景気を上げたい」と述べた。

 住民からは、北海道新幹線札幌延伸時の函館駅—新函館駅(仮称)の経営分離問題について質問が上がった。市長は「署名を提出した際にJR北海道はできないと答え、その状態が今も続いている。わたしの立場としては、最終的にはJRがやっていただけると思っている」とした。

 また、道教委が2015年3月末で戸井高校を廃止するとした点について、市長は「一律の基準でやめていくことは地域の衰退につながる」と道教委の方針を批判し、「いろいろな方法を探りながら、何としても残す方向で整理し、早期に結論を出したい」と意欲を示した。(千葉卓陽)


◎オンパク来月4日開幕

 湯の川温泉を舞台にした体験型イベント「第6回はこだて湯の川温泉泊覧会(オンパク)」(実行委主催)が12月4日から開かれる。東北新幹線新青森駅開業に合わせてのスタートで、初めて12月に開催。同12日までの9日間、39のプログラムすべてに温泉に入浴できる特典が付き、主に地元の女性客向けの企画を増やした。

 今年は昨年同様、9日間の日程だが、プログラムを昨年より6つ増やし、「将来的に宿泊につながるよう湯の川温泉で楽しめる企画を増やした」(実行委)。新青森駅開業に合わせ、開業当日には現地で新幹線利用客にもイベントをPRし、新たな需要の取り込みも図る。

 初企画の「温泉スリッパ卓球」や「女将(おかみ)の日本舞踊」など温泉街ならではのプログラムのほか、人気の料理や陶芸などの教室、ネイルアートや占い、エステなど女性を意識した癒やし系≠フ企画も。全体の定員は820人で、半数以上が新企画。新幹線需要もにらみ、後半にプログラムを充実させた。

 金道太朗実行委員長は「旅行形態が団体から個人に移行する中、意思決定の主導権を持つ女性が楽しめる企画を数多く用意した。あらためて地元のお客さまにも湯の川らしさを体験してもらい、参加者から魅力を発信してもらえるような口コミ効果も期待したい」としている。

 プログラムの詳細をまとめたA5判(オールカラー)のガイドブックは計2万部作製。函館湯の川旅館協同組合加盟のホテル・旅館22施設をはじめ、市役所や市内のデパートなどで配布している。予約は今月21日午前9時から、専用ダイヤル(TEL0138・36・2333)またはホームページ(http://hakodate.onpaku.org/)で受け付ける。問い合わせはオンパク事務局TEL0138・57・8988。(森健太郎)