2010年11月16日 (火) 掲載

◎未来大の中垣教授に市長賞 イグ・ノーベル賞受賞で

 今年9月、ユーモアにあふれる科学研究などに贈られる今年の「イグ・ノーベル賞」を公立はこだて未来大の中垣俊之教授(47)が受賞したことを受け、函館市の西尾正範市長は15日、その功績をたたえる市長賞を贈った。中垣教授は「市民にとって科学が身近なものになればうれしい」と喜びを語った。

 中垣教授は、アメーバ状の単細胞生物の粘菌が餌を得るために効率的なネットワークを形成することを発見。人間が鉄道網などを設計する際に粘菌の知恵≠ェ役立つとする研究内容が評価され、国内外の仲間9人の研究チームが同賞の「交通輸送計画賞」を共同受賞した。

 中垣教授らは2008年にも粘菌が迷路を解くのに最短距離を導き出す研究で同賞の「認知科学賞」を受賞している。今年4月に未来大に赴任した中垣教授は「冗談みたいな話だが、至って真面目な研究。粘菌の問題解決の仕方から人間が学ぶ余地も多く、新しい発見が社会に役立てば」と話した。

 今後は粘菌の行動原理を海洋生物にも生かす研究を目指すとし、「人間の知能と自然の知能が未来大で出合い、新たな情報処理などに活用できれば」と抱負を語った。西尾市長は「市民が科学に目を向ける明るい話題で、世界に向けて未来大の宣伝にもなる。この研究がいろいろとつながり、函館の水産海洋研究にも生かしてほしい」と期待した。

 イグ・ノーベル賞は1991年、米国のユーモア科学誌編集長だったマーク・エイブラハムズ氏が創設。本家の「ノーベル」と「イグノーブル(不名誉な、価値のない)」をもじった賞だが、学術価値のある研究が大半で、論文が欧米の一流科学誌に掲載されたものも多い。「人を笑わせ、そして考えさせた」ことが選考基準となっている。(森健太郎)



◎星野さん訃報 北島三郎さん「残念だ」

 知内出身の歌手・北島三郎さんの代表作「函館の女」などで知られる作詞家の星野哲郎さん(85)が15日、亡くなった。函館の歌謡曲愛好家からは、演歌作家の第一人者・星野さんの死を惜しむ声が上がった。また、北島さんはマスコミに対し「突然の訃報に驚き、悔しさと寂しさがあふれ、本当に残念な気持ちでいっぱいです」とコメントを発表した。

 星野さんは1952年、雑誌の作詞コンクールで入選した以降、北島さんの「函館の女」「兄弟仁義」、水前寺清子さんの「三百六十五歩のマーチ」などのヒット曲を数多く生み出した。

 函館にちなんだ歌謡曲のレコードなどを収集する「函館の歌謡曲コレクションの会」の大寺章吉会長は「函館の女」が発表された65年当時について「すごいインパクトがあった。この名曲で函館の知名度が全国区になった」と懐かしがる。4年前には復刻版のCDが発売されたほか、9人の演歌歌手もこの曲でCDを出しているという。大寺さんは「『函館の女』は今でも色あせず、誰からも愛される名曲。星野さんの死はあまりに早すぎる」とショックを隠せない様子だった。

 FMいるかのパーソナリティーを務める橋本孝さんは「一般庶民の感情に訴える作詞術はさすがだった。プロ中のプロが亡くなり本当に残念」と惜しむ。21日放送の「ハッシーの のんびり坂スタジオ」では、正午から約1時間、「星野哲郎特集」と題した番組を急きょ実施する予定。

 北島三郎さんのコメント(全文) 突然の訃報に驚き、悔しさと寂しさがあふれ、本当に残念な気持ちでいっぱいです。日本の歌謡界はもとより、たくさんの歌手の仲間たちにとりましても偉大なる作詞家、星野先生の旅立ちは、深い悲しみであり、涙していることでしょう。私にとりましても恩義、友情の絆の糸が切れ、辛く、心が傷みます。公演先よりお悔やみ申し上げ、ご冥福をお祈りいたします。(長内 健)



◎函館市長賞「わたしは尿道」 イルミナシオン映画祭

 函館港イルミナシオン映画祭実行委員会は15日、「第14回シナリオ大賞」のグランプリ(函館市長賞)に、茨城在住の渡邊由香さんが書いた「わたしは尿道」に決定したと発表した。

 今年は225本の応募があり、同委員会によって選考した10作品を、今月5日に荒俣宏さん(作家)、加藤正人さん(脚本家)ら4人が最終審査を行った。

 渡邊さんの作品は、主人公が製薬会社の泌尿器・排尿改善薬研究チームに配属され、挫折感を味わうも、社会人・研究員として成長していく物語。渡邊さんは「泌尿器疾患に戸惑ったのは私。患者の辛さ、創製の難しさ、誰もが老後に可能ある問題にも関わらず、口にしがたい風潮を映画にしたいと思いました。私ならではの発想で、伝えたい気持ちは負けないと意気込みました」と喜びのコメントを発表した。

 同大賞は、函館の街から映画及びその人材を発掘・発信しようと「函館港イルミナシオン映画祭」に関連して1996年度より設けられている。今までに「パコダテ人」(前田哲監督、第4回準グランプリ作品)など、長編・短編を合わせて10本のシナリオが映画・映像化され、現在も1作品が製作途中。

 今年の準グランプリは中村公彦さんの「指先に咲いた花」、審査員奨励賞は澤田サンダーさんの「暗闇の中に光る」が選ばれた。授賞式は12月3日、市内の金森ホールで行われる。(堀内法子)


◎「坂本龍馬像」除幕式に600人

 北海道坂本龍馬記念館(函館市末広町8)の開館1周年を記念し、同館向かいに建立された「坂本龍馬像」の除幕式が14日、開かれた。関係者ら約600人が出席し、幕末志士の開拓精神が表現された銅像の完成を祝った。

 坂本家9代目当主坂本登さん(73)が実行委員長を務める「函館に坂本龍馬像を建てる会」が建立計画を具体化。長崎市の龍馬像を手掛けた彫刻家の山崎和國さん(75)が製作した。1700万円の建設費用のすべては市民らからの募金でまかなわれた。

 像の高さは台座部分が2・5メートル、銅像部分が3・5メートルの計6メートル。「たとえ一人でも開拓を…」という強い精神を天高く指す右手で表現し、左手には国際法律書「万国公法」を持ち、常に先を見据えて行動した龍馬を象徴するデザイン。

 除幕式では、修拔(ばつ)式の後、来賓ら11人が像の除幕を行い、姿が現れると大きな拍手が起こった。制作と像を寄贈した山崎さんには、三輪貞治同館長らから感謝状が贈られた。函館青柳小、函館潮見中、函館西高校それぞれの吹奏学部が「龍馬伝のテーマ」などを披露し、式を盛り上げた。

 坂本さんは「蝦夷地開拓は成し遂げられなかったが、龍馬の像がゆかりの地、函館に建立されたことはとてもうれしい。函館の新たなシンボルになってくれれば」と話していた。(小杉貴洋)


◎絶景楽しみカレー堪能

 函館山ロープウェイの2010市民感謝祭が14日、開かれた。ロープウェーの無料搭乗や名物となっている100円カレー、さまざまなイベントを目当てに、市民ら約1万4000人が足を運び、終日にぎわった。

 同感謝祭は日ごろ、観光客らでにぎわう市民の共通財産「函館山」にあるロープウェーを地元の人にも親しんでもらい、同社の感謝の気持ちを伝えようと1989年から行われており、今年で22回目。

 来場者の1番乗りは午前7時すぎ。同10時のオープンには700人の列が出来た。日中でも絶景を堪能しながらの空中散歩を楽しん人たちは、1000食限定の100円カレーの整理券に列を成した。すべての配布が終わったのは1時間という速さ。そのおいしさを味わった人たちは笑顔を見せていた。

 このほか、お楽しみ抽選会や短編アニメの無料上映会なども開かれた。家族や友達などと訪れた石原琉璃君(5)は「カレーがおいしかった。虹もかかっていて景色もきれいだった」と話していた。(小杉貴洋)