2010年11月17日 (水) 掲載

◎NHKドラマ「坂の上の雲」函館でロケ

 NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」で、来年12月に放送予定の第3部の函館ロケが同市汐首町周辺の丘陵地で行われている。16日に報道陣を対象とした取材会が開かれ、陸軍軍人の児玉源太郎役の高橋英樹さんらが作品やロケ、函館について語った。

 同ドラマは、司馬遼太郎の長編歴史小説を3部構成で放送。第1部は昨年に放送され、第2部は今年12月5日から4回にわたって放送される。

 函館ロケでは、日露戦争で繰り広げられた「二〇三高地」の争奪戦を撮影した。明治時代の写真を基に候補地を探していたところ、地形が似ていることや周囲に民家がなく安全であることなどの理由で選ばれた。

 10月30日から撮影が始まり、高橋さんのほか、乃木希典役の柄本明さん、伊地知幸介役の村田雄浩さんのほか、俳優や地元からエキストラ40─110人が出演した。11月17日に終了する予定。

 柄本さんと村田さんは16日で撮影終了。柄本さんは「函館に二〇三高地に似た場所があり良かった」、村田さんは「曇りだったが(津軽海峡上に)日が出ており、ロケを歓迎してくれたようだ」、高橋さんは「食べ物がおいしく函館のロケは最高。戦闘当時同様に寒さが厳しく、良い撮影ができた。現在の平和な社会の礎を築いた100年前の出来事を見てほしい。撮影に協力してくれた人に感謝したい」と話していた。(山崎純一)



◎函館中央病院 電子カルテシステムに完全移行

 函館中央病院(函館市本町33、橋本友幸院長)はこのほど、電子カルテシステムに完全移行した。これによって数年前から取り組んできた診療に関するさまざまな情報の一元化が図られ、全科の情報共有が可能となった。

 同病院は2005年から、コンピューターを利用して診察内容を各部門に伝達する「オーダリングシステム」を導入。昨年7月には院内に電子カルテ推進委員会(委員長・藤田信行副院長)を立ち上げ、カルテの電子化に向けてシステムの構築を図ってきた。6月下旬から入院患者に対するカルテの電子化を先行実施し、10月31日からは外来患者に対しても開始した。情報の漏えいなど危機管理も図り、使用履歴の記録化やUSBメモリーなど別の媒体に診療情報を記録できないようにしている。

 函館市内では、一部の病院や診療所で電子カルテに移行しているものの、初期投資がかかるなどの理由で移行になかなか踏み切れないのが実情。

 紙のデータを電子化にする際、取り込み作業に手間がかかるなど課題はあるが、情報が共有されることによって医療の質の向上や診療録の紛失防止、地域医療との連携などのメリットが期待される。

 藤田副院長は「診療情報がオープンになるので医師の緊張感が保て、医療の標準化にもつながる。今の若手の医師は赴任先の病院の選択に電子カルテの運用を判断材料にしていて、医師獲得の切り札にもなる」と話す。今後は連携を結ぶ他の病院や診療所との情報共有化も進めていく。

 同病院はクリニカルインジケーター(臨床指標)を公表していく考えで、現在、実施に向け検討を進めている。(鈴木 潤)



◎実演販売、見て食べて満喫 江差でまんぷく茶屋・寄来所

 【江差】江差町本町の法華寺通り商店街の飲食店や小売店が、自慢の商品を実演販売する「第9回まんぷく茶屋・寄来所(よっこらしょ)」が16日夕に開かれた。

 イベントは商店主で組織する山ノ上商盛会(三国幸吉会長)の主催。商店街にあるコミュニティースペース・寄来所を中心に、各店自慢の商品を全品300円で販売した。菓子店によるどら焼きなどの実演販売をはじめ、サケのチャンチャン焼き、焼きおにぎり、ホルモン鍋などの味覚を大勢の買い物客が買い求めていた。

 地元のそば愛好家でつくる「そば辰・ゆがの会」(西海谷望会長)は、優れた食味と品質を誇る江差産そばの魅力をPRしようと、町内北部の鰔川地区で生産されたソバ粉を使った打ち立てのざるそばを提供。風味豊かな新そばが来場者に大好評だった。

 イベントに合わせて、商店街のにぎわい創出に向けて、カメラ店の空き店舗を活用した「まちなか市場・寄伝家(よってけ)」も新たにオープン。町内で収穫されたダイコン、サツマイモ、キャベツ、山ゴボウなどの新鮮な野菜類が店頭にずらりと並び、晩夕飯の買い物に訪れた主婦や仕事帰りの人でにぎわった。

 大勢の買い物客を迎えて大忙しの様子だった出店者は「定期的なイベント開催を通じて商店街のにぎわいを作り出すことができれば」「町内経済は冷え込んでいるが商店街が元気になることで町全体の活性化につながる」と手応えを感じている様子だった。(松浦 純)


◎再仕分け 観光圏関連事業が「予算半減」 道南影響大きく

 政府の行政刷新会議が15日に行った事業仕分けの「再仕分け」で、道内5圏域が指定されている観光圏関連事業が「予算半減」と判定された。本年度「はこだて観光圏」が認定された道南18市町の関係者にとって影響は大きく、はこだて観光圏整備推進協議会(事務局・函館市)は「地方にとって厳しい判定だ」と困惑。来年度以降に向け、事業展開の見直しを図る方針だ。

 観光圏整備事業は、昨年11月の事業仕分け第1弾で8割程度の削減と判定されたが、国は本年度予算で前年度並みの5億4200万円を計上。

 国は2011年度の予算要求でも「観光地域づくりプラットフォーム支援事業」と名前を変え、同額の5億4200万円を求めたが、仕分け人からは「効果の検証がはっきりしないまま前年の事業を引き継ぎ、漠然と続ける懸念がある」などと“看板掛け替え”への批判が強まり、予算半減の上で抜本的見直しが必要と判定された。

 18市町で提案し、今年4月に採択された「はこだて観光圏」は道南の豊かな食をキーワードに、2014年度までの5年間で観光入り込み客数を08年度比20%増の1302万人、平均宿泊日数で同25%増の1・82日を目標に設定。各事業に国から上限40%の補助が受けられるため、北海道新幹線開業を前に滞在型観光促進への起爆剤として期待が高まっていた。

 同協議会によると、本年度は5月に札幌で開いた「みなみ北海道グルメパーク」や写真コンテストなど8事業を行い、国から約1350万円の補助金を受ける見通し。補助期間は原則2年間だが、今回の判定を受け、来年度以降の補助は不透明となった。

 同協議会事務局の市観光コンベンション部は「補助がなくなるわけではないが、事業の縮小も出てくる」と落胆の色を隠さない。国が来年度創設するプラットフォーム支援事業に合致した事業内容を研究するとし、「補助なしで、自前でできる事業を展開したい」と話している。(千葉卓陽)


◎地元食材で本格フレンチ 戸井高校生が調理

 戸井高校(佐藤敏行校長)は16日、マグロやタコなど地元の食材を使って本格フレンチを作る「地産地食調理実習」を開催した。函館短大付設調理師専門学校(柏木町)教頭の吉田徹さんが、「タコの頭のサラダ」や「戸井産本マグロとヤシの芽のゴマ風味」など4品の作り方を伝授。調理後には皆で味わった。

 同校で初めての取り組み。3年生20人が参加した。講義で吉田さんは「地産地食」をテーマに、自身の修業時代などのことを織り交ぜて語った。実習では吉田さんが実演してから、生徒が調理した。

 吉田さんは包丁の使い方についても丁寧に指導。エシャロットのみじん切りでは「一気に切るとおいしく色もきれいなみじん切りになります」とアドバイスし、キュウリの面取りでは「同じ形にしてから全部の種を取り、最後に面取りして」と効率的なやり方を指導した。

 生徒は、慣れない包丁さばきや味付けに苦労しながらも、随所でこつを聞きながら懸命に作業した。端場彩華さんは「盛り付けや切り方などが勉強になりました。覚えてまた挑戦したい」と話していた。(小泉まや)