2010年11月19日 (金) 掲載

◎「海炭市叙景」完成試写会に900人

 函館出身の作家、佐藤泰志(1949—90年)の小説を函館市民の手で映画化した「海炭市叙景」の完成披露試写会が18日、市芸術ホールで開かれた。同映画製作実行委員会の菅原和博委員長、熊切和嘉監督、俳優の小林薫さん、谷村美月さんの4人の舞台あいさつも行われ、熊切監督は「函館の皆さんから、あり得ないぐらいご支援を頂いたおかげで完成できた。あとは見てもらうだけです」と礼を述べた。

 この日の試写会は、映画製作に対する募金や協賛、キャスト出演などで協力した人が招かれ、昼夜の2回上映で計900人が来場した。

 舞台あいさつ前に行われた記者会見で熊切監督は「佐藤さんのまなざしを共感できる映画となった。ご覧いただき、それぞれの登場人物に思いをはせてほしい」と作品への思いを語った。小林さんは「一般の人が映画製作に携わる機会はまれ。この映画に対し、多大な尽力をした函館の人にとって、良い時間となったと思う」。谷村さんは「これほど演じることに集中できた環境は、これまでになかった」とロケに協力した市民らにメッセージを語った。

 舞台あいさつでは菅原委員長が「皆さんの協力のおかげでこの日を迎えられた。今日は第1の完成で、映画は見てもらうことで初めて生まれ育つ」と謝辞。南さんは「映画を見たら優しい気持ちで家に帰れるので、余韻を楽しんで」と呼び掛け、小林さんも「東京で映画人の間では名作と評判がある。さらに函館での好評が東京まで届くように応援してほしい」と上映後の来場を呼び掛けていた。

 上演後は会場から拍手が沸き起こり、教師役で出演した八雲町の自営業、佐藤之信さん(55)は「出演者すべての存在感、函館の生活感、人のいとおしさの全てが描かれている。函館の人は皆、共感できると思うので見てほしい」と話していた。

 同映画の先行上映は27日から、市内本町22のシネマアイリスで開かれる。(山崎純一)



◎新青森—八戸間の新幹線試乗会、函館開業へ期待高まる

 来月4日に控える東北新幹線の新青森駅開業。JR北海道が17日に開いた新青森—八戸間の新幹線試乗会には道南の自治体や経済界からも67人が参加した。新幹線のスピードや利便性によって本道と本州がより近くなる≠アとを体感。現実味を増す5年後の北海道新幹線新函館駅(仮称)開業をにらみ、道南の関係者にも期待が高まっている。

 試乗したE2系の「はやて」は現在の東北新幹線の主力車両。最速で函館からは東京まで5時間44分、仙台まで4時間1分、盛岡まで3時間11分で結び、平均で20分ほど短縮される。JR北海道では、新青森駅の開業効果で函館—青森間の在来線の年間利用者は開業前に比べて6%(6万6000人)増を見込んでいる。

 「速さもさることながら、滑るように走る感覚で安定していた。振動がほとんどなく、特急では難しかった車中で資料にまっすぐマーカーを引くこともできる」。学生時代以来約30年ぶりに新幹線に乗った函館市企画管理課の川手直樹課長は、函館に迫る新幹線時代を実感した。

 一方、新青森駅前周辺は施設や商店がほとんどなく、区画整理された更地の状態が目立った。試乗会に参加した同課の川瀬真喜子主事も「駅舎が立派なだけに駅前は少し寂しい気がした。5年後の新函館の姿を思い浮かべ、メリット、デメリットを両方検討しなければ」と気を引き締める。

 試乗会で八戸駅の西野重俊駅長は「新青森開業で北海道は近くなる。八戸から北海道に行く人が増え、北海道から八戸にもたくさん来てほしい」と交流人口の拡大に期待を示した。青森県観光連盟の九戸真樹専務理事も「開業で青森の独り勝ちではなく、青函エリアとして一緒に連携しなければ」。

 現地を視察した函館商工会議所の桜井健治常務理事も「実際に乗ると長年の夢が現実のものとして感じられた。青函がタッグを組んでお互いの魅力を相乗的に高める工夫が今から必要」と話す。新青森駅開業まで残り2週間余り。新青森開業が函館への誘客にも起爆剤となるか。今後の青函連携にかかっている。(森健太郎)



◎アンテナショップ「ぷらっと江差」26日にオープン

 【江差】江差町本町の空き店舗を活用したアンテナショップ「ぷらっと江差」が26日にオープンする。優れた地場産食材のPRとともに、市場には出回りにくい規格外の農水産物の販売ルートの開拓を目指す。店舗では町内の事業者が試作した加工食品なども提供。食味への評価や値ごろ感など消費者の反応を探り、農水産物の消費拡大や地域活性化の目玉となる、新たなご当地グルメ≠フ開発につなげたい考えだ。

 アンテナショップは、地域ブランド品の開発や地場産品の販路開拓などを支援する、厚労省の地域雇用創造実現事業を活用。道道江差停車場線に面した商店街にある「旧かねきち食堂」(本町100)の空き店舗を利用する。町地域雇用創造協議会(会長・濱谷一治町長)が開設し、江差商工会(飯田隆一会長)に運営託する。事業期間は2012年3月まで。

 店舗内では、地場産の農水産物を生かした「いかめし」「ぬかぼっけ」「サケの山漬け」「いかバーグ」などの加工食品の販売や試食をはじめ、食材や調理方法などのPRを行う。町内の事業者が開発した加工食品などの試食は、毎日2—3品の商品を提供してもらい、アンケート調査などを通じて、消費者の好みや売れ筋商品などのマーケティング情報を収集。出店者に新商品の開発や既存商品の改善に向けたヒントとなる情報を提供する。

 また、スーパーなどの市場には出回らない規格外の農産物をはじめ、漁獲量が少ないため一般の流通ルートには乗せにくい魚介類などの直販にも取り組み、生産者の経営向上や地産地消に向けた機運を盛り上げたい考えだ。

 営業時間は、月曜から土曜までの午前10時—午後6時まで。26日のオープンから3日間は、先着約150人を対象に加工食品などのプレゼントもある。問い合わせは同商工会TEL0139・52・0531、協議会事務局の町産業振興課TEL0139・52・1020へ。(松浦 純)


◎「ボジョレ・ヌーボー」解禁、市民ら新酒ワイン満喫

 フランス・ボジョレ地方の新酒ワイン「ボジョレ・ヌーボー」が解禁された18日、函館市内の飲食店やホテルでは解禁を心待ちにしていたワインファンが集い、新酒の味わいを堪能した。

 同市末広町のレストラン五島軒では、函館日仏協会(若山直会長)の主催で「ボジョレ・ヌーボーを楽しむ会」が開かれ、会員を中心に約60人が参加。ワインや料理に舌鼓を打った。

 開式にあたり、若山会長は「昨日の夜に日付が変わって飲んだ人もいるかもしれないが、今日が本番。ワインを飲みながらどんどん交流して、楽しい夜を過ごしましょう」とあいさつ。パーティーはにぎやかに始まり、参加者らは用意された数種のボジョレを飲み比べて楽しんだ。ワインは会員でもあるワインショップ・ワダの和田一明代表が用意。フランス各地方のチーズ10種類もテーブルに並び、フランスの味わいを求めて列を作っていた。

 市内から参加した寺沢陽子さん(41)は「家でも家族でワインを飲みます。ペットボトルのボジョレ・ヌーボーも飲みましたが、瓶入りとほとんど変わりないのでびっくり。チーズとも相性抜群で、おいしい。家では間もなく到着する船便をゆっくり楽しむ予定」と笑顔で話していた。(堀内法子)


◎めぐみ幼稚園で星空上映会

 函館めぐみ幼稚園(山西道郎園長)の年長児約90人が18日、函館プラネタリウム館(函館市亀田中野町62)で行われた秋の星空上映会を楽しんだ。

 同館はNPO法人函館プラネタリウムの会(村井茂理事長)が空き家を整備し、8月にオープン。定期的に上映会や星空の観望会などを開いている。今回の上映会は同園の依頼に応じて開催した。

 上映会は3回に分けて行い、園児はグループごとに順番に観賞。エアドームが設置された室内が暗くなると、今の時期と同じ夜空がドームに投影され、ペガサス座やアンドロメダ座、うお座などが登場。園児たちは「すごい」「きれい」と歓声を上げながら見入っていた。村井理事長は「幼稚園児向けのやさしい内容で上映した。喜んでくれたのが何より」と話した。

 同会は毎月1回、上映会と観望会を行っていて、随時、参加者を募っている。問い合わせは同会事務局分室TEL0138・47・3163(みはら歯科矯正クリニック)。(鈴木 潤)