2010年11月2日 (火) 掲載

◎函館商工会議所、新会頭に松本氏就任

 函館商工会議所の臨時議員総会が1日、函館市大手町の函館国際ホテルで開かれ、高野洋蔵会頭(82)=道水会長=の退任と、松本栄一氏(70)=ホンダカーズ南北海道社長=の新会頭就任を承認した。新たな副会頭に佐藤祐幸氏(69)=佐藤木材工業会長=と永井英夫氏(58)=エスイーシー社長=を選任し、松本新体制が始動した。

 4期10年の長きにわたって会頭を務めた高野氏から重責を引き継いだ松本新会頭は「身の引き締まる思い」と述べた。長引く不況や人口流出、観光客の減少など函館が直面しているさまざまな課題について「厳しい状況を打開するため、守りではなく外へ向けた挑戦が必要。行政や関係機関とも連携しながら新しい時代に向かっていきたい」と展望を語った。

 5年後に控える北海道新幹線新函館駅(仮称)の開業に向け「首都圏との物理的な時間の短縮は大きなビジネスチャンス。これまでは道央圏に向けていた視点を東北や関東に移動する南進の政策が重要」と具体的な方向性を打ち出した。

 副会頭は新任の佐藤、永井氏と、留任する木村孝男氏=函館空港ビルデング社長=、石尾清広氏=イシオ食品社長=の計4人で、松本新体制を支えていく。

 松本氏は1940年、恵山町(現函館市)生まれ。函館商科短大(現函館短大)を卒業後、北海道ホンダモータース(札幌)に入社。2007年1月にホンダカーズ南北海道の社長に就任した。同会議所では、2008年から副会頭を務めていた。(小川俊之)



◎ロ大統領の北方領土訪問、函館でも反発や怒り

 「訪問は遺憾だ」「日本政府は毅然(きぜん)とした対応を」―。ロシアのメドベージェフ大統領が北方領土・国後島を訪問した1日、函館市内でも大統領の言動に対して反発や怒りの声が上がった。今回の事態となった起因を外交政策の弱さととらえ、日本政府を批判する声も相次いだ。

 北方領土復帰期成同盟渡島地方支部の駒井惇助事務局長(76)は「北方領土は旧ソ連時代から不法占拠している場所。大統領の訪問は不法占拠を自ら認め、戦争を肯定していることにもなる。日ロ間で平和条約締結の交渉をしている最中の訪問は非常に遺憾。厳重に抗議すべきだ」と力説。

 1993年10月にエリツィン大統領と細川首相(ともに当時)との間で結ばれた「東京宣言」に違反すると指摘し、「ロシアの軍艦が函館に先日来て、友好ムードが高まっている中で水を差すような行為。国民として怒るべき」と語気を強めた。

 日本政府に対するいら立ちや批判の声も多く聞かれ、全国樺太連盟函館支部の敦賀敬之支部長(72)は「得撫(うるっぷ)島ならまだしも、北方四島の、しかも国後に入られるとは」と驚き、「ロシアとは北方領土、中国とは尖閣諸島の問題を抱え、日本の外交の弱さに遺憾」と述べた。

 両親が樺太からの引き揚げ者だったという、はこだてギャラリーの落合良治社長(63)は「1日の国会の集中審議でこの問題が出ないのは、北方の漁場を開拓した、先人の労苦を与党も野党も分かっていない証しでは。ロシア側も戦後長い間、北方問題をはっきりさせたい気持ちがあるはず。日本政府がその気持ちに負けている」と政府の対応を批判。

 戦後65年が経過し、北方領土の返還運動の風化を懸念する声も。市内昭和の主婦、佐野淑子さん(70)は「領土問題は民主党政権になってから潮が引いていく感じがする。道民として当たらず障らずの姿勢はふに落ちないし、国はもちろん道ももう少し強く出てほしい」と語る。

 領土返還に向けて、長年署名活動を続ける北方領土返還運動渡島地方協力員会の花巻イシ会長(82)は「北方領土は日本の領土と信じて活動している。1人でも多く署名を集めて大きなうねりにつなげたい」と述べた。(鈴木 潤、千葉卓陽、山崎純一)



◎棒二森屋でレジ袋有料化始まる

 函館市若松町の百貨店「棒二森屋」(安藤正和店長)は1日から、本館地下の食品館でレジ袋の有料化を始めた。市内の大型百貨店では初めてで、買い物客からは「他店と同じで違和感はない」という声が上がる一方で、「ごみ袋代わりに利用していたので残念」との意見もあった。

 市、函館消費者協会と流通業者がレジ袋削減を目的に2008年9月に結んだ「3者協定」に同店も参加。1枚につき5円で販売する。同店営業企画部は「環境保護が第一の目的。レジ袋の収益も福祉などに活用したい」と話す。

 食品館の売り場では、レジ袋有料化に伴う大きな変化はなかったが、来店客の声もさまざま。レジ袋を購入した市内の近藤敬子さん(43)は「ほかのスーパーでも有料なので、特に不便とは感じない」と気にならない様子。マイバッグを持参した市内の主婦、笠井優子さんは「環境に配慮し、買い物に行く時は常にバッグを持ち歩いているが、ごみ袋も高いので無料のほうが助かる」という声も聞こえた。

 同店はホームページなどで有料化を告知。買い物客の反応を見て今後の対応を検討する方針。(黒田 寛)


◎駒ケ岳、今年7891人登山

 【森】小噴火による規制から今年、12年ぶりに山開きした駒ケ岳(標高1131メートル)の登山者状況が1日、まとまった。6月19日から10月末までの入山届け出数は1万375人で、そのうち7891人が登山した。期間中は大きな事故やけが人などもなく、森、函館、七飯、鹿部の4市町でつくる駒ケ岳火山防災会議協議会は「この統計を基に来年以降の登山規制について具体的に詰めたい」と関係機関と協議に入る。

 噴火の恐れがあるため1998年10月から入山禁止となっていたが、2000年以降、火山活動が静穏であることから、4登山道のうち赤井川ルート(森町)のみ入山規制を解除した。

 各月の登山者は、6月が539人、7月1555人、8月1253人、9月1941人、10月2603人だった。

 内訳は、札幌・道央圏を主に道内が4071人と5割を占め、次いで函館市が1823人、道外は1033人、森町は453人、七飯町が405人、鹿部町106人だった。

 登山道の開放は原則土曜、日曜、祝日に限定。午前9時―午後3時までで、3日前までに届け出が必要だったが、「本州からの登山者に周知が行き届いておらず、『なぜ登らせないんだ』と強い口調で迫られ、対応に苦慮する場面もあった」と関係者。

 同協議会の事務局を務める森町防災交通課は「まずは無事に山開きを終えられたことにほっとしている。全国各地から大勢の愛好家が登山してくれたことも喜ばしい」とする一方、「入山手続きを把握せず、前日に登山をしたいという問い合わせもあった。事故防止やモラルの観点で課題が残った。この一年をじっくり振り返り、今後に生かしたい」としている。(田中陽介)


◎台湾で函館フェア大人気

 台湾中部に位置する彰化県のスーパーマーケットで、函館の特産品を集めた「函館フェア」がこのほど開かれた。函館市と市内中小企業が貿易振興策の一環として継続的に進めているもので、スイーツや水産加工品などが人気を集めた。

 函館フェアは、彰化県内で店舗展開する高級日本食スーパー「裕毛屋」が今年1、7月に開いており、今回で3度目。市内中小企業などで組織する函館海外市場販促振興会(HOMA)の参加企業のうち、市内の昭和製菓、函館酪農公社、エビスパックが参加した。

 昭和製菓はタルトやケーキ、酪農公社はアイスクリーム、ヨーグルト、エビスパックはイカ飯などをそれぞれ販売した。函館産の商品が同スーパーで継続して販売されていることも手伝って人気は高く、市経済部は「持ってきた品物はほとんど売れた」と話す。

 同スーパーでは、フェア開催に合わせてのぼりや看板を作製するなどPRに力を入れ始めており、現地で旧正月の直前にあたる来年1月にも開催が決まっている。

 市経済部は「食料品の定着には時間がかかる」とし、地場産品の浸透に継続して取り組む方針。「販売方法も現地の食生活の動向に合わせた工夫が必要」としている。(千葉卓陽)