2010年11月20日 (土) 掲載

◎来月から家電エコポイント半減で駆け込み特需

 省エネ基準を満たした家電を購入すると進呈されるエコポイントが、12月からほぼ半減される。これを受け、函館市内の家電量販店は11月末までが買い得と判断する消費者の駆け込み需要でにぎわっている。各店とも制度の変更が公表された10月中ごろから売り上げが急増。エコポイント特設窓口を設け、購入からポイント申請の相談に追われている。

 同事業は地球温暖化対策の推進などを目的に、2009年5月から実施している。対象製品は地上デジタル放送対応テレビ、省エネ性能の高いエアコン、冷蔵庫の3種。購入者が「グリーン家電エコポイント事務局」に申請するとエコポイントが進呈され、環境に配慮した商品や商品券などに交換できる。

 猛暑により夏はエアコンを買い求める人が多かったが、現在のメーンはテレビ。来年7月に迫るアナログ放送終了と、付与率が他製品に比べ格段に高いことが理由。スーパーアウトレットベスト函館店(昭和1)では、テレビの売り上げが前年に比べて4―5倍となり、予想を大きく上回る伸び幅にメーカー、店側とも驚きを隠せない。「納品が12月でも今月中に購入すればポイントは従来通り付くので、早めに検討してほしい」と購入を促す。

 ポイントの交換については、地デジアンテナ工事の補助に充てたり、商品券に換える人が多い。コジマNew函館店(亀田本町55)では終日エコポイントについての問い合わせが殺到。「エコポイントを商品券に換えて、また買い物する―。これを何度も繰り返すお客様も多い」と話す。また、LED電球はエコポイントを使って実質半額で購入できるため、ヤマダ電機テックランド函館店(亀田本町66)では「最大寿命が20年で電気代も既存の約10分の1。半額で買える今が、換え時だと思う」と、エコを意識した光熱費の見直しを客に進めている。

 エコポイントは来年3月の終了に向けて、今後対象商品の幅を狭めるなど縮小予定。どの家電量販店も「事業予算に達した場合は打ち切られる可能性がある」と消費者心理をくすぐり、早期購入を促す。

 今月に入りテレビを買い換えた函館市内の30代の男性も、購入の決め手はポイント率の変更だったという。「買い換えたのはメーンのテレビとサブのテレビの各1台。エコポイントを使って子ども部屋のテレビを新たに買う予定」と話していた。(堀内法子)



◎垣ノ島遺跡、国の史跡指定へ

 文化審議会(西原鈴子会長)は19日、函館市南茅部地区にある垣ノ島遺跡(臼尻町)を新たに国の史跡に指定するよう文部科学相に答申した。来年2月下旬に正式に指定される見通し。同遺跡は縄文時代の集落跡が現存する全国でも貴重な史跡で、北海道と青森、秋田、岩手の4道県15遺跡で構成される「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界遺産への登録にも大きな弾みとなりそうだ。

 今回、史跡に新規指定するよう答申されたのは「富士山」(山梨県、静岡県など)など11件。函館市内の史跡指定は四稜郭(陣川町)、志苔館跡(志海苔町、赤坂町)、大船遺跡(大船町)に次いで4件目になる。

 垣ノ島遺跡は、縄文時代早期前半(約9000年前)から後期後半(約4000年前)までの約5000年の長期にわたり、集落が途切れることなく存在していた形跡が残るのが特長。集落の規模も南北に500b、東西に200bの約1万平方bに上り、国内有数の大きさを誇る。

 遺跡内には当時のごみ捨て場として使われ、全国でも珍しい「コ」の字型の盛土遺構(盛り土の建造物跡)も。駒ヶ岳が噴火した約5800年前と縄文後期後半には生活していた痕跡が一時消えるなど、北日本の縄文文化を知る上で重要な位置付けとなっている。

 市教委文化財課は同遺跡が長期間にわたり拠点集落として存在した理由を「海と山が近接し、海産資源や山の幸が豊富で食べ物に困らず、水の便も良かったためでは」と分析。盛土遺構については「遺構には当時使われていた土器が埋め込まれていて、物に宿る霊を鎮めようという祭祀(さいし)儀礼的要素もある」と話す。

 西尾正範函館市長は「市の縄文遺跡の重要性が認められたのは大変意義深く、縄文文化を活用した魅力的な地域づくりを推進していきたい」とコメント。市教委は縄文遺跡を保存・活用した生涯学習の推進や観光振興を進めたい考えで、「来年完成予定の縄文文化交流センター、史跡公園大船遺跡などに観光客の誘客につなげたい」としている。(黒田 寛)



◎工藤寿樹氏が函館市長選出馬表明

 前函館市副市長の工藤寿樹氏(60)は19日、市内のホテルで会見を開き、来年4月に行われる函館市長選への立候補を正式に表明した。工藤氏は「まちづくりの理念やビジョンを明確に示し、何としても函館を元気な街に変え、よみがえらせたい」と述べ、地元経済の再生と市財政の再建を重点的に進めるとした。市長選への出馬表明は工藤氏が初めて。

 工藤氏は会見で、西尾正範市長(61)の市政運営について「軽率な言動や思いつきで、場当たり的なことが繰り返されている。誕生して3年半たっても何ら有効な手が打たれていない」と批判。

 出馬に当たり、スローガンを「函館の明日を変える」「改革と挑戦」と紹介。施策の柱として@経済再生A市財政の再建B日本一の福祉都市C子どもたちと若者の未来を拓くD市民が誇れる美しいまちを目指す―を挙げ、年明けにも具体的な政策を打ち出す考え。

 2015年度の北海道新幹線新函館駅(仮称)開業に向けて、大門地区の活性化に取り組む考えを示す一方、西尾市政による医学部設置構想については「あればいいが、何のために作るのかはっきりしない」と慎重な姿勢を示した。

 また、市の財務体質改善に向けて大胆な行財政改革を行うとし、市長の給料50%カットや不要不急事業の廃止、退職手当債や行政改革推進債など「赤字穴埋め」のための借金を控えるとした。

 工藤氏は1949年11月、乙部町生まれ。函館ラ・サール高、早大法学部卒。1973年に旧亀田市に採用され、函館市との合併後は財務部長、企画部長などを経て2006年4月に助役。07年4月から地方自治法改正により副市長となり、昨年12月に辞職した。(千葉卓陽)


◎函館市、職員給与0.1%下げへ

 函館市は19日、市職員の給料を月額平均0.1%引き下げる方針を発表した。削減はすでに市労働組合連合会(市労連)と基本合意しており、26日に開く市議会第2回臨時会に関係条例の改正案を提案し、可決されれば12月から実施する。

 8月の人事院勧告を受けた措置で、市職員約3400人(医師を除く)を対象に月額を平均0.1%減額するとともに、課長職以上の管理職は55歳に達した後の翌年度から月額1.5%減額する。

 また特別職と職員の賞与(ボーナス)を0.2カ月分削減。夏の賞与はすでに1.95カ月分が凍結されており、12月に支給される冬の賞与でカット。今回の改正でボーナスは年間3.95カ月となり、市人事課によると、年収は職員平均で年間約7―8万円の減額となる。

 臨時会では、緊急経済対策として公共工事の発注前倒しなどを盛り込んだ本年度一般会計補正予算案など、議案7件を提出する。(千葉卓陽)


◎函商高会計ビジネス科1年生、電卓検定3級以上に全員合格

 函館商高校(滝田進校長)会計ビジネス科の1年生40人全員がこのほど、日本電卓技能検定協会(東京、安部辰志理事長)の電卓検定で3級以上を取得した。19日、安部理事長が来校し、生徒に合格証書を授与した。

 同科は本年度に新設された教育課程で、簿記会計などの基礎技能として電卓の習熟に取り組む。

 7月と9月に電卓検定が行われ、1級に32人、残り8人も2級、3級に合格。さらに小松麻梨乃さん(15)が6段(正速士六段)を取得したのをはじめ、11人が有段者となった。小松さんは「さらに上を目指していきたい」と意欲をみせる。

 同科の電卓の授業では、利き手と異なる左手の入力を励行し、問題を連続して正解する練習に取り組む。同科の生徒が主力の簿記同好会が、先に開かれた全日本電卓競技大会全道大会で、初出場ながら団体競技で優勝を果たしている。

 同協会によると「高校に入学してからわずか半年という短い期間での段位取得は全国的にも珍しい」としている。

 この日来校した安部理事長は同科の授業を見学した後、生徒に合格証書を手渡した。また、特別授業も行い、「電卓は根気、集中力、正確さが必要で、人として歩むべき道を教えてくれる。今の勉強が生かされる仕事に就けることを願っている」と激励した。

 同科の生徒は21日に行われる日商簿記の3級試験に挑戦する。大谷美奈さん(16)は「安部理事長の話したことを心に刻み、合格目指して頑張ります」と意気込みを見せていた。(鈴木 潤)