2010年11月24日(水) 掲載

◎新鮮農産物を直売 桧山南部女性農業者グループ祭り

 【江差】桧山南部で活躍している12の女性農業者グループが、各町自慢の農産物や手作りの加工品を持ち寄り、手ごろな価格で地元の消費者に提供する「第6回桧山南部女性農業者グループ祭り」が23日、江差町の桧山地域人材開発センター・まなびっくで開かれた。農業に携わる女性と市街地の消費者が農産物の直売を通じて交流した。
 江差、上ノ国、乙部の3町と八雲町熊石の女性農業者でつくる「桧山南部女性農業者グループネットワーク」の主催。新鮮な農産物が安価で手に入ることから消費者の人気を集めている。生産者同士の交流を進めようと地元の水産業者も出店した。
 会場には、午前11時の開場前から大勢の買い物客が詰めかけた。出店ブースには、ジャガイモ、キャベツ、ナガイモ、豆類、山ゴボウなどの農産物を中心に、女性陣が腕によりをかけた、漬け物、かたこもちなど農村部に伝わる伝統的な菓子類、みそ、ジャムなどの手作りの加工品が所狭しと並び、お目当ての商品を求める大勢の人が詰め掛けた。
 また、女性が農作業に使うため、かわいらしい生地で手縫いした腕カバーや帽子などの販売も行われ、江差町の主婦(63)は「家庭菜園での農作業に使います」と大喜びの様子だった。(松浦 純)



◎歯の装着治療、1日で終了。吉田歯科口腔外科

 吉田歯科口腔外科(函館市湯川町1、吉田康仁院長)は10月から、道南の歯科では初となる、歯科用の「CAD・CAM(コンピューター利用設計・コンピューター支援製造)システム」を導入した。同システムは、口腔内に装着する歯の修復物や、補綴物(ほてつぶつ)を、コンピューター制御により設計から製作する。数日から1週間以上必要としていた装着の治療が、システムの導入によって1日で終了できるようになった。

 修復物や補綴物は通常、歯科技工士が手作業で製作し、同歯科でもシステムを導入するまでは歯科技工士が作っていた。

 修復物などの材料は、変色しないセラミック(陶材)を使用。同システムでは、セラミックのブロックを削って製作する。事前の歯の型取りが不要で、歯を削った後、歯科技工士が3D光学カメラで口腔内を撮影。その後、パソコンの画面に映し出された映像を見ながら修復物や補綴物を自動設計し、さらに連動したミリング(削り)マシーンが自動製作する仕組みで、所要時間は1時間程度。

 吉田院長は「作業効率が図られ、少数の歯なら治療は1日で終了する。治療の中でも不評の歯の型取りがなくなり、何度も通院する必要がなくなる」とメリットを話す。

 この治療は現在、保険外診療となっている。

 同歯科は27日午後1時半から、函館国際ホテル(大手町5)で市民講座を開講し、システムの実演を行う。定員30人。入場無料。申し込み、問い合わせは同歯科TEL0138・59・3918。(鈴木 潤)



◎企画「地域と生きる 太平洋セメント−上磯工場のいま−」(下)

 太平洋セメントは今年、土佐、大分など3工場でのセメント生産を中止し、人員も700人以上を削減する経営合理化を進めた。社内全体で生産数量の再分配が行われ、上磯工場は10月から、約3年ぶりにロータリーキルン3基体制での生産を再開した。自社内各工場間でのコスト削減競争も厳しさを増し、同工場の優位性が揺らいだこともあったが、さらなる生産効率を高める取り組みで立て直しを進めている。

 工場内では、廃棄物を受け入れる窯尻投入設備などの新設が進む。さらに天然資源の代替原料としてリサイクル資源の活用が進んだことで、粘土などの乾燥用に使用していたキルンの廃熱が余剰となった。この廃熱を利用した発電設備を3基のキルンごとに建設中で、来年11月までに完成する。

 廃熱発電稼働後は、3基の設備で工場全体の25%の電力を確保。現在使用しているディーゼル発電設備は廃止とするが、石炭焚(だ)きの自家発電設備と合わせ、9割以上の電力を工場内で賄えることになる。省エネ効果は重油換算で年2万6550キロリットル、6万7000トンの二酸化炭素削減効果もある。

 埋蔵量は国内屈指の23億トンといわれる峩朗鉱山でも石灰石の安定生産に向けた動きが盛んで、セメント原料や骨材用として、毎日2万トンが掘り出されている。今年2月には第3立坑が完成し、今後100年分となる約6億トンの採掘を可能とした。

 国内需要の落ち込みは続くが、世界全体のセメント生産量は右肩上がりだ。高品質の日本製品の需要は高く、同工場は、1998年以来中止していた輸出を昨年から再開。東南アジアや香港、中近東向けに昨年は55万トン、今年は100万トンの出荷を見込んでいる。

 しかしながら、次なる脅威も迫る。2009年の全世界のセメント生産数量は30億トンで、このうち54・6%に当たる16億3700トンが中国で生産された。いずれ、中国の経済成長が一段落すれば、中国産の安いセメントが市場に出回ることも予想される。

 北林勇一工場長(55)は「製品品質はいずれ追いつかれるが、廃棄物を利用する環境技術に優位性がある。特に一般廃棄物を使用して、安定した品質の製品をつくることは、市民生活と密着した『人にやさしいセメント』として評価され、世界を相手に戦える競争力を持つことになる」とする。

 同工場は、120年にわたり、地域経済をけん引し続けた。これからは資源循環型社会において、地域とより密接した役割を担うことが期待される。北斗市の滝口直人副市長は「明治の時代から地域経済を支え、すそ野も広い。市民にとって誇れる企業として、これからも発展してもらいたい」としている。(今井正一) 


◎西部地区まちづくり交付金事業「おおむね妥当」と結論

 西部地区の景観形成に向けた国のまちづくり交付金事業を評価する函館市の「まちづくり交付金評価委員会」(委員長・岡本誠公立はこだて未来大教授)の会合が22日、同大(亀田中野町)で開かれた。委員5人が出席し、市が試算した取り組み成果の評価値について意見を交わした。

 市が西部地区の活性化を目指し、2006年度から5年計画で進めるまちづくり交付金を活用した「都市再生整備計画」の一環。今年が計画の最終年度に当たることから、入り込み観光客数や居住者の満足度について数値化した目標と成果の妥当性を話し合った。

 市は成果の指標として本年度の1、景観形成建築物等件数2、地域来訪観光客数3、居住環境満足度—の3点を挙げ、2については目標値を上回る436万5000人。1と3は目標値を下回ったが、改善傾向があるとした。これに対し、市が推計した観光客数の算定根拠について疑義を唱える委員もいた。

 今後のまちづくり方策としては、未指定の伝統的建造物などの指定化や、市とNPOの連携強化などの指摘が出たが、最終的に計画の評価については「おおむね妥当」と結論付けた。市は今後、今回の会合で出た意見を「事後評価シート(原案)」に書面で添付し、12月中に国に提出する。(森健太郎)


◎函館新聞教育面コラム 小笠原さんの本が完売

 元道教育庁指導参事で前函館大学学長の小笠原愈さん(73)が、函館新聞教育面に連載中の「小笠原先生のひとりごと」をまとめ、自費出版したコラム集「家庭、学校、地域への提言」がこのほど、発行した約400冊を完売した。教育関係者ばかりでなく、地域住民も購入した。小笠原さんは「一般の人に著書を読んでもらったのは初めてで、大変責任を感じました」と話している。

 小笠原さんは2008年2月から毎月2回、本紙教育面でコラムを連載中。「地域振興に寄与したい」との思いで長年の教職員経験を生かして始めたが、50回目を迎えた集大成として今春、1冊の本にまとめた。本は「家庭への提言」「学校への提言」「地域への提言」の3章からなり、学校だけでなく家庭や地域などが教育にかかわる心構えなどを詳しく説明した。

 春に発売し、10月に完売した。購入者は教員が圧倒的だが、学生や子育て中の保護者なども多数いたという。自宅で注文の電話を受けたが、購入者の大半は面識のない人で、「貴重な感想や色意見もいただき、これから書き続ける参考になりました」と感謝する。

 今後は地域と学校教育のつながりについてをテーマに考えており、「読者の期待に応えた内容にしていきたい」と話している。(小泉まや)