2010年11月26日 (金) 掲載

◎国産第1号の復元ストーブ火入れ式

 国産第1号の復元ストーブの火入れ式が25日、函館市末広町13の箱館高田屋嘉兵衛資料館で行われた。函館大谷幼稚園(元町)の園児13人をはじめ、関係者など約50人が参加。日本初のストーブに火入れを行った約150年前に思いをはせた。

 函館に入港していた英国船のストーブを見本に、箱館奉行の命を受けて1856年(安政3)に日本最初のストーブが完成。ストーブを初めて試しだきしたのが11月25日とされる。この日を記念してストーブの日実行委員会(石塚與喜雄委員長)が「ストーブの日」を制定し、以来毎年火入れ式を行っている。

 石塚委員長はストーブ誕生の時代背景などを説明しながら、「私たちを暖かく包んでくれるストーブのように郷土を大切にしていこう」とあいさつした。

 着火はストーブ復元に尽力した故・会田金吾さんの次女、木幡有美子さんが行い、続いて園児らもストーブの前で石打ちを体験。園児らは初めて持つ火打ち石に「重たいね」と言いながらも「火がパチパチあったかい」と笑顔。

 木幡さんは「道南の歴史研究に熱心だった父は、ストーブの会立ち上げにも楽しんで活動していた。たくさんの人に集まっていただいて、喜んでいると思う」と感慨深げに話していた。(堀内法子)



◎世界一のキムチ目指す! 日韓の産学官連携事業が始動

 【乙部】日韓両国の産学官が連携して道内産の農水産物を活用したキムチ生産を目指す国際プロジェクトの一環で25日、乙部町商工会(三上岩雄会長)が招いた本場・韓国の大手キムチ業者が乙部入りした。町内産のスケトウダラやユリ根などの食材を生かしたキムチの試作が本格的にスタートした。

 ソウル市の大手キムチメーカー・百年土種参鶏湯の朴良美社長ら3人が25日、本場の韓国野菜や唐辛子などの調味料を携え、町内の食品会社・はまなすフーズを訪問。朴社長は自らキムチ漬けの腕を振るい、女性従業員に本場のノウハウを伝授した。

 韓国産と道内産の唐辛子を地場産の白菜などに練り込み、町内産のスケトウダラを原料とする辛子めんたいこや特産のユリ根なども漬け込んだ。また、早朝からの漁を終えて乙部漁港に帰港した漁船から荷揚げしたばかりのスケトウも食材として活用。朴社長は「スケトウは韓国で人気があるがとても高価だ。こんなに新鮮なスケトウは手に入らない。水揚げ直後のスケトウを使えば、本場の韓国にもない超高級なキムチができる」とし、乙部産キムチの高付加価値化にも強い期待を示した。

 同商工会は、白菜、長芋、大根などの地場産野菜を活用したキムチ生産を検討している。三上会長は「乙部は韓国と気候が似ておりキムチ生産に最適だ。キムチを新しい特産品に育てたい。雇用確保や農漁業者への波及効果も大きい」と意気込みをみせた。

 関税の原則撤廃を目指す環太平洋連携協定(TPP)をめぐり、道内では農漁業者を中心に懸念が高まっているが、三上会長は「スケトウなどの地場産食材の付加価値を生かせば新たな国際競争力が得られる。日本一の品質を誇る乙部のスケトウやタラコを活用すれば世界一≠フキムチを作ることも夢ではない」とし、TPP参加を前向きにとらえ、地場産業の活性化など新たな展開にチャレンジすべきと力を込める。

 国際プロジェクトは、馬渕悟・道東海大教授が代表を務める「北海道MDブランド研究会」を中心に、道内の市町村、農漁協、物流、小売、漬物などの食品加工に関連する企業などが参画。本道との経済交流に強い意欲を示す韓国政府もプロジェクトを全面的に支援する方針を示している。(松浦 純)



◎中国人富裕層の観光客誘致学ぶ

 中国人富裕層の旅行者を本道・函館に誘致するために必要なことを学ぶ「海外富裕層旅行者の受け入れノウハウを学ぶ 中国人観光客が求める北海道像とは〜リピーターを創出するために〜」が25日、サン・リフレ函館で開かれた。中国の事情に詳しいDLC日中ビジネスコンサルティング(福岡)社長の青木麗子さんが、本道や函館観光の課題などを話した。

 海外富裕層の観光客向けに無料外国語サービスなどをする道ラグジュアリー・トラベルセンター(札幌)が主催し、観光業など約30人が参加した。

 青木さんは、今年夏に上海の旅行情報誌が行った「日本で一番行きたい場所」のアンケートで、北海道が1位だったことを紹介。オホーツクなどでロケを行った中国映画「非誠勿擾」の影響で、「北海道の自然という情報発信があったおかげ」と、プロモーションの重要を挙げた。

 前日に函館市内を巡って感じたことに「外国人に来て良かったと思わせるには、異国情緒ある街の中心に、日本の文化的なものを整備することが大切」とし、古民家を活用するなど外国人が喜ぶ物を整備することを勧め、「点として存在するが面として育て、国際的競争力が高く、滞在時間が多くなる魅力ある街づくりを」と述べた。

 また、中国でも修学旅行が行われており、教育委員会などが連携を密にして誘致活動を進めることや、芸術的な土産品、航空路の充実を訴えた。最後に「中国人の本心は日本に強い憧れを持っている。函館だけでなく、北海道全体を回ってもらい、良さを広めてもらう工夫を続けてほしい」と話した。(山崎純一)


◎函館市、韓国・高陽市と来月24日に姉妹都市提携

 函館市の西尾正範市長は25日の定例会見で、韓国の高陽(コヤン)市と、クリスマスイブの12月24日に市内で姉妹都市提携を結ぶことを発表した。当日には市民向けのPRイベントなども企画しており、西尾市長は姉妹都市提携による交流進展に期待を寄せた。

 函館市と海外都市との姉妹提携は高陽市で5番目。このほか天津市(中国)と友好交流都市提携を結んでいる。

 高陽市との提携交渉では、10月に谷沢広副市長が同市を訪れ、年内の調印を要請。これを受けて今月9日に同市の金仁圭(キム・インギュ)副市長が来函し、崔星(チェ・ソン)市長の訪問について「12月23日か24日としたい」との意向を示し、両市間で調整を進めていた。

 市国際課によると、崔市長は23日に来函し、翌24日に函館国際ホテルで調印式と祝賀会を行う。祝賀会後には市民向けイベントとして、韓国の事情に詳しいラジオパーソナリティーを招いたトークショーを行う計画が持ち上がっている。当日ははこだてクリスマスファンタジーの最終日前日に当たることから「崔市長に点灯式に参加してもらい、冬のイベントを知ってもらえれば」としている。

 高陽市について西尾市長は「韓国最大のコンベンションホールを持ち、発展し続けている印象がある。青少年の文化・スポーツや経済、観光交流など活発な交流が進むと期待している」と述べた。

 一方、市長は北朝鮮軍による韓国の延坪島(ヨンピョンド)への砲撃事件に関し、崔市長に対して安全を願うとの手紙を送ったことを明らかにし、「このまま収まれば(提携は)予定通り進むということでやりとりしている」として問題収束を願った。(千葉卓陽)


◎大型小売店4労組が老人ホームに車いす

 函館市内の大型小売店など4店舗の労働組合員が25日、函館市西旭岡町3の養護老人ホーム「まろにえ」(山石卓弥施設長)に車いすを寄贈した。車いすは大量のリングプルをもとに購入。受け取った山石施設長は「ありがたい。利用者の外出時に役立てたい」と感謝していた。

 丸井今井函館店と棒二森屋、渡島管内のコープさっぽろ全店、道南ラルズの4労組が加盟する「JSD日本サービス・流通労働組合連合道支部」による社会貢献活動の一環。リングプルは社員食堂での回収や組合員の寄付で同支部全体として517キロ分に。同支部が札幌の専門業者で換金し3台を購入。このうち自走式の1台を同ホームに贈った。

 贈呈式には各労組のメンバー4人が出席。利用者らを前に丸井今井函館店の滝田敦収さんが「リングプルはメンバーが地道に集めてきたもの。組合員の協力がなければできなかったので大切に使って」とあいさつ。山石施設長は「施設の周囲は緩やかな坂道が多いので、有効活用できると思う」と話していた。(長内 健)