2010年11月28日 (日) 掲載

◎「良い年」願い迎春準備…函館八幡宮で縁起物づくり

 函館市谷地頭町の函館八幡宮(中島敏幸宮司)で27日、正月用の破魔矢(まはや)やおみくじなどの縁起物づくりが始まった。函館八幡宮敬神婦人会(勝又チカ会長)の約40人がおみくじを丸めるなど、年の瀬の作業奉仕をしていた。

 破魔矢には来年の干支(えと)のウサギの絵馬を取り付けた。このほか、札や歳神を袋に入れる作業を行った。

 勝又会長は「このご奉仕をさせていただくだけでも、私たちは幸せと感じている。今年は世界情勢や国内経済が大変だが、来年は皆さんに大きな幸せが、世界に平和がやってくるように願いを込めながら作業をしています」と話していた。

 作業は28日も行い、破魔矢3600本、鏑矢500本、おみくじ5万本などを準備する。おはらいを受け、初詣の参拝客の前に並べられる。(山崎純一)



◎コンブ養殖技術開発 長谷川氏に感謝状…函館市

 函館市南茅部地区で1960年代に、日本初となるコンブの促成栽培養殖事業の技術を開発した理学博士の長谷川由雄さん(90)=元水産庁北海道区水産研究所長=への感謝の集い(南かやべ漁協主催)が27日、函館市湯川町1の花びしホテルで開かれた。南茅部がコンブの一大産地に成長する礎を作った長谷川さんの労をねぎらうとともに、関係者が今後の漁の発展を誓った。

 長谷川さんは1966年、旧南茅部町で、豊作と凶作を繰り返す天然コンブ漁を補完させようと、漁民の協力を得て養殖事業を開始。3年間の試験を経て企業化に成功し、南茅部の漁業振興に貢献した。

 集いは同漁協(鎌田光夫組合長)が栽培養殖事業の歩みをまとめた記念誌「昆布を育てる」を発刊したことを記念して開き、約120人が出席。鎌田組合長と西尾正範函館市長が長谷川さんに感謝状を贈った。鎌田組合長はあいさつで「誰もが果たせなかった偉業に感謝の意を表したい」と長谷川さんをたたえ、「日本一の名に恥じることなく、コンブの生産に励みたい」と決意を新たにした。

 長谷川さんは「当時の漁民や町職員らの努力があって実を結んだ」と振り返り、「日本一、世界一のコンブという誇りを持って生産に励んでほしい」とエールを送った。(千葉卓陽)



◎元プロ野球選手の駒田さん 函館少年刑務所を慰問

 元プロ野球選手の駒田徳広さん(48)が27日、函館市金堀町の函館少年刑務所を慰問した。プロスポーツで得た前向きな姿勢や経験、これからの生き方について語り、受刑者738人を励ました。

 受刑者の更生指導の一環で、駒田さんは日本プロ野球名球会メンバーとして来函。名球会として、このような慰問活動は初めての取り組みとなった。

 駒田さんは巨人、横浜で野球界を盛り上げた名選手の一人。史上初の一軍初打席満塁ホームランを放ち、その後も満塁ホームランを重ね「満塁男」の異名でファンに愛されてきた。

 駒田さんは現役引退後、楽天と横浜の打撃コーチに就任したが、結果を残せず退団した苦い思い出を告白。「監督と選手の間を行き来するだけで何もできずに劣等感を味わった。今、私は第二の人生でどん底。苦しんでいる」と声をしぼった。また講演を引き受けた理由に「みなさんと少しでも気持ちを共有したいという思いがあった。このままでは終われない。もう一回夢を描きたい」と強調し「いつか私をテレビなどで見かけたら、『お互い頑張ったな』と思ってもらえればうれしい」と笑顔で締めくくった。

 質疑では駒田さんの配慮で多くの受刑者にマイクが向けられた。自分を律する心構えについての問いに駒田さんは「適切な答えはない。やってきたことを反省する気持ちが大事なのでは」。一流選手ならではの逸話もあり、会場は大きな拍手に沸き、和やかな雰囲気に包まれた。(田中陽介)


◎「海炭市叙景」絶賛…シネマアイリスで先行公開

 函館出身の作家、佐藤泰志(1949―90年)の遺作を函館市民が映画化した「海炭市叙景」の全国に先がけた函館での先行公開が27日、シネマアイリス(函館市本町22)で始まった。初日から客席が埋まる盛況ぶりで、同映画製作実行委(菅原和博委員長)が目指す、観客動員数約7万人に地元から弾みをつけた。

 この日は午前9時20分に1回目の公開が行われた。その前に、同実行委メンバー10人がスクリーンの前に立ち、菅原委員長が「誕生から完成までを市民が担った画期的な映画です。最後までゆっくり楽しんでください」と観客約40人にあいさつした。

 公開を知らせるブザーが鳴り響くと会場は静まり返り、観客はスクリーンを直視し、約2時間半にわたる市民の夢と熱意がこもった大作を堪能していた。同映画館は71席が用意されているが、この日は4回の上映で約150人が来館したという。

 友人と一緒に見に来たという市内の主婦(60)は「試写会でも見たが、もう一度見たくてやって来た。映像の独特の風合いが素晴らしかった」と話していた。また、以前から公開を心待ちにしていたという、市内在住の主婦、中村文子さん(41)は「物語のストーリーはそれぞれだが、最後にはつながっている気がした。地元の風景や言葉が優しくて、とても見応えがあった」と笑顔だった。

 12月3日までは、@午前9時20分A午後零時B同2時40分C同7時45分の計4回上映。料金は一般1800円、大高生1500円など(@は朝割適用で1300円)。詳しくは同館TEL0138-31-6761。また、12月上旬からは全国約60館で公開される。(小杉貴洋)


◎グループホームと小規模多機能型施設 「あいある」30日オープン

 認知症高齢者を対象としたグループホームと小規模多機能型施設を備えた複合施設、あいある(竹田茂人施設長)が30日、函館市小安町692にオープンする。  札幌市でカレーレストランを経営する「時館」(照沼司社長)が開所した施設。札幌でもグループホームや高齢者下宿など福祉事業を展開しているが、函館への参入は初めて。改行 建物は木造2階建て。床や壁など道南産の木材を使用し、昔ながらの番屋をイメージした外観となっている。

 グループホームは定員18人で、全室個室。食堂兼居間や浴室、洗濯室などを備え、看護師や栄養士が常勤する。日当たりも良く、2階からは津軽海峡を眺めることもできる。

 小規模多機能型はデイサービスとショートステイ、訪問介護を利用者の希望に合わせて支援し、24時間、365日対応。定員はデイサービスが1日15人、ショートステイは9人(全室個室)。機能回復や健康維持用のトレーニングマシーンを備えている。

 26、27の両日、内覧会が開かれ、介護事業所の関係者らが見学に訪れた。改行 今後、利用者と地域住民がふれあう季節の行事も実施していく考えで、同社の照沼社長は「小安という地域に根差した温かい福祉社会を築いていきたい」と話している。

 問い合わせはグループホームTEL0138-85-8562、小規模多機能TEL同83-8814。(鈴木 潤)