2010年11月6日 (土) 掲載

◎宮下さん宅、道産木材ふんだんに使用「北斗市の奉行所」

 【北斗】市内桜岱の宮下清さん(70)宅は、道産木材をふんだんにあしらった豪華な造りだ。地材地消にこだわった個人住宅として評価が高く、木材加工業者らの現地研修視察コースにもなり、「こんな豪邸は全国でも見たことがない。北斗市の奉行所だ」と感嘆の声が上がった。

 400坪(約1300平方b)の敷地に建つ63坪(約210平方b)の豪邸で、2007年9月に着工し、09年10月に完成。土台や柱、けた、床、壁、天井とクリ材が7割使われている。ほかに、イチイやケヤキ、スギ、ポプラなど道南産の広葉樹を主体に13種の建材を組み立てたという。

 宮下さんは、宮下建設運輸の社長で「30年、40年かけて木を探し回った。辛抱してお金をためて、自分の夢を実現した」と振り返り、建材が反らないように焼き上げの加工にも自ら手を掛けたという。

 居住から1年たったが、今でも玄関に入ると木材の芳醇(ほうじゅん)な香りが漂う。また、家屋には源泉掛け流しの温泉もある。

 学した渡島東部地区指導林家連絡協議会の石井美智磨会長らは「見事な造りの一言。木に携わる人たちのあこがれの空間で、100年、200年後も、このすてきなたたずまいは変わらないはず」と話していた。(田中陽介)



◎イルミナシオン映画祭まで1カ月

 「函館港イルミナシオン映画祭2010」(12月4―6日、実行委主催)の開幕まで1カ月を切った。同実行委員会スタッフはポスターを全国の映画館や映画祭に発送するなど、準備作業に追われている。

 昨年15回目という節目の年を迎え、16回目のことしは気持ちも新たに「すべてを変えるために」をテーマに掲げた。若手監督の個性が光るショートムービーから、複雑な人間模様を描いた4時間38分の超大作まで全35作品を上映。若松孝二監督ら監督陣も多数ゲストとして来函することが決定している。

 ことしのポスターデザインは、東京在住のデザイナー吉岡渉さん(34)が担当。吉岡さんは「路上や北国を連想させ、ひと目で映画らしさが伝わるデザインを≠ニ依頼され、撮りためていたモノクロの街並み写真を7枚選んでコラージュした。それに5つの原色をのせて、純粋かつ、すべての始まりのもとになっていくようなイメージで作った」と話していた。

 米田哲夫実行委員長は「新たな気持ちで一歩前に進みだし、映画祭を盛り上げたい。また、若手スタッフも募集している。映画を通じて一緒に函館を元気にできたらうれしい」と意気込みを語っていた。

 同映画祭は来月4日から3日間の日程で、赤レンガ倉庫群・金森ホール、函館山山頂・クレモナホール、市地域交流まちづくりセンター内・十字街シアターで開催される。(堀内法子)



◎21日「はこだてキッズタウン」初開催、お仕事体験楽しもう

 子どもがさまざまな職業を体験し、社会の仕組みを知るイベントやテーマパークが全国的に人気を集める中、函館でも小学3、4年生を対象にした職業体験イベント「はこだてキッズタウン」が、21日に市青年センター(千代台町27)で初めて開かれる。市内外から16の企業・団体が参加し、業種に合わせたブースを出店、疑似通貨の“給料”を得て物品を買う取り組みで、主催者は「子どもたちに気軽に“お仕事体験”を楽しんでほしい」としている。

 「キッズタウン」は北海道コカ・コーラボトリングが主催し、函館市と市教委が共催。同社は昨年、市と包括連携協定を結んでおり、各種事業を展開する中で市側に開催を提案していた。

 イベントには同社や市消防本部、函館新聞社などがボランティアで参加。参加団体ごとにブースを設け、気に入った業種で仕事体験を楽しんだ後、給料として疑似通貨「イカール」をもらい、イカールを使って買い物などを楽しむ流れ。消防士やツアーコンダクター、新聞記者をはじめ、子どもたちに人気のパティシエやアナウンサーなど、幅広い体験が楽しめそうだ。

 子どもの職業体験は、専門テーマパーク「キッザニア」が2006年に東京、09年に兵庫県でオープンして人気を集めており、これをモチーフに全国各地で企業やNPOなどが同種のイベントを開催している。

 今回はテストケースとして無料で実施し、初回の状況を見た上で、継続実施に向けて実行委形式への移行も視野に入れる。北海道コカ・コーラボトリング函館販売部は「仕事の厳しさを知ってほしい面もあるが、まずは子どもたちに気軽に楽しんでもらえれば」と話している。

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 「キッズタウン」は現在参加者を募集しており、希望者は子どもの名前と学校、学年、住所、電話番号を明記の上、往復はがきで040―8666、函館市東雲町4の13、函館市教委生涯学習課まで申し込む。小学3・4年の200人限定で、応募者多数の場合は抽選。締め切りは12日(当日消印有効)。問い合わせは同課TEL0138-21-3445。(千葉卓陽)


◎埼玉で道新幹線開業に関するアンケート、86%「函館に行きたい」

 函館市や経済界などで構成する「北海道新幹線新函館開業対策推進機構」は、このほど埼玉県内で行った北海道新幹線新函館駅開業に関するアンケート調査の結果をまとめた。新函館駅開業が函館訪問の動機になるという回答は86%となり、首都圏在住者の北海道新幹線への関心の高さをうかがわせた。

 アンケートは9月中旬にさいたま市、10月上旬に上尾市の百貨店で行われた北海道物産展内で実施。設問は7問。合わせて257人から回答を得た(男性54人、女性200人、不明3人)。

 北海道を訪れたことがある人の中で「もっとも多く利用している北海道への移動交通機関は」は「飛行機」が79.5%で「JR(新幹線・特急など)」は18.3%だった。

 これに対し、新函館駅開業後の「函館・道南地域を訪れる際に最も多く利用すると思われる交通機関は」の設問には「新幹線」が77.9%、「飛行機」は19.5%と逆転。一方、札幌・道央地区への利用交通機関については「新幹線・特急」が54.9%、「飛行機」が42.2%と拮抗(きっこう)。これは、埼玉から羽田までへの移動時間などが影響しているとみられる。

 「北海道新幹線が新函館駅まで開業した際は、函館に行ってみたいか」については「函館を身近に感じられるようになるので行ってみたい」が86%だった。

 同機構では「現時点での北海道新幹線への関心の高さを5年後の新函館駅開業時まで持続してもらうために、今後の継続的な観光プロモーションが重要となる」と分析している。(小川俊之)


◎西部地区テーマにまちづくり考える

 官民、地域一体でまちづくりについて考える函館市主催の第21回まちづくり講座が5日夜、同市元町のFMいるか2階カフェ・ぺルラで開かれた。参加者は有識者の基調講演やパネルディスカッションを通じて市内西部地区のまちづくりについて考えを巡らせた。

 市内でまちづくりに携わるNPO団体のメンバーや一般市民ら約140人が参加。講演ではまちづくりや都市景観に詳しい東京大学先端科学技術研究センター教授の西村幸夫さんが「次世代につなぐ西部地区のまちづくり」と題して他都市の先進事例などを紹介した。

 西村さんは函館について「全国でもこれほど歴史的な街並みが保存できている地域はない」と称賛。そのうえで商店同士で建物の高さや看板を制限する協定を結ぶ大分県由布市湯布院町などを例に「地域で自立的に街並みを守っていくルールづくりが必要。古いものに新しいものがバランス良く調和し、市民がこんな街にしたいという合意を共有することが大切」と語った。

 続いて西部地区で活動する4人のパネリストが意見を交わし、「西部地区には建物だけでない魅力や歴史的な背景がある。それを市民に伝えていくことが大事」(箱館歴史散歩の会・中尾仁彦主宰)、「店をやりたい人や若い人たちが住めるようなまちに」(ギャラリーカフェ三日月・池井一季代表)との声が上がった。(森健太郎)