2010年11月8日 (月) 掲載

◎2年ぶり市民オペラ「リゴレット」公演

 「函館市民オペラの会」の第19回公演「リゴレット」(同会、函館市文化・スポーツ振興財団など主催)が7日、市民会館大ホール(湯川町1)で行われた。2年ぶりの本格舞台に約900人が来場。市民有志ら100人の力が結集したイタリア・オペラの上演に「ブラボー」と感嘆の声が飛び交った。

 同会は1991年の第1回以来、オーケストラ伴奏による本公演を毎年数回上演してきたが、昨年は資金難などで初めて本公演を休止。今年はオーケストラが復活、1回のみの上演となった。

 「リゴレット」はヴェルディ作曲。好色のマントバ公爵に仕える主人公の道化師リゴレットと、その娘ジルダを巡る全3幕の悲劇で、人間の苦悩や父性愛などを描きながら劇的な場面展開をたどる物語。主要キャストの独唱アリアや四重唱も名曲とされている。

 リゴレット役はバリトンの木村映之さん、マントバ公爵は大村義美さん、ジルダは千田彩さん。木村さんは愛娘を持つ父親と、道化師としての二面性を見事に演じ切ったほか、アリア「悪魔め、鬼め」など聴かせどころでも豊かな声量で聴衆を魅了した。

 大村さんも千田さんもそれぞれアリアの名曲を朗々と披露。千田さんはキャスト初挑戦ながら、純真無垢(むく)な16歳の娘を堂々と表現。アリア「いとしい御名は」では牧歌的な伴奏に乗せて高らかな美声を響かせた。

 今回初めて同会のオペラを見たという市内の女性(37)は「物語が進むうちに皆さんの演技や音楽に引きこまれていきました」と大満足の様子だった。(長内 健)



◎ものづくり体感、技能フェアにぎわう

 建具、塗装などの技能士とともに、ものづくりの楽しさを市民らに体感してもらう本年度の技能フェア(函館技能士会主催)が7日、函館市日吉町のポリテクセンター函館で開かれた。おもちゃ箱や椅子づくり、アート塗装の実演などが行われ、会場は大勢の家族連れでにぎわった。

 ものづくり体験を通して技能士の仕事を知ってもらい、市民らに興味を持ってもらおうと開いている恒例の行事。会場では、外壁などに使用されるタイルを使った壁掛けづくりや、棚などを作る体験コーナーが設けられた。来場者は、「タイルをはめ込むときは左右対称を意識して」などのアドバイスを聞きながら真剣な表情で取り組んでいた。

 会場では全国建築塗装技能競技大会新人の部で金賞受賞経験のある佐藤良太さん(30)が「塗装アート」を披露。白と黒の塗料で淡い濃淡を表現し、水墨画のような竹を描いた。30分たらずでの完成に、見守っていた観客からは大きな拍手が起こった。

 市内八幡町の主婦、森田有希子さん(37)は「初めて来たが、子どもも楽しめるイベントがいっぱいで驚いた」と話し、娘の函館八幡小1年の遥香さんは「入れ物が欲しかった。自分で作れて楽しい」と笑顔を見せていた。(黒田 寛)

 



◎タコ料理教室、親子で挑戦

 函館市内の小中学生とその保護者を対象とした「タコ体験学習料理教室〜タコを知ろう!!。触れて・学んで・食べて・タコ三昧」(函館水産物ブランド推進研究会など主催)が7日、市内戸井地区で開かれた。参加者はタコを使った料理に挑戦し、新鮮な地元の味覚に舌鼓を打った。

 同会と函館市は、函館の海産物に親しみを持ってもらうことを目的に、地元漁協や教育委員会、保健所と連携し、2年前から食育事業を行っている。過去2回はいずれも「イカ」がテーマだったが、今回は初めて「タコ」を取り上げた。

 この日は小学生14人とその保護者ら12人が参加。最初に戸井漁港を訪れ、戸井漁協関係者の案内で水揚げされたばかりの生きたタコを見学。動くタコを初めて見る子どもたちも多く、その迫力に歓声を上げていた。

 この後、函館潮光中に移動し調理実習がスタート。同漁協女性部のメンバーが講師となり、タコ釜飯、タコ刺し、タコのカルパッチョの3品と、サケの汁物作りに挑戦。子どもたちは慣れない手つきで包丁をにぎり、タコの足を薄切りするのに四苦八苦。それでも自分たちが手作りして完成させた料理を「おいしい」と、口いっぱいに頬張っていた。

 母親と参加した函館中央小2年の金山拓統君は「タコを包丁で切るのはこわかったけど、面白かった。家でも作ってみたい」と笑顔を見せていた。(小川俊之)


◎函館市、生活保護受給者に就労体験事業を検討

 函館市は、生活保護受給者に働く意欲を意識づける新規事業「就労意欲喚起事業」の実施を検討している。柱となるのは市内外の企業などで行う「就労体験」と、働く上での悩みなどの相談を受ける「カウンセリング」。一部を民間に委託する考えで、市は「『働こう』と努力する姿勢を持たせたい」と話し、来年度予算に事業費を計上する予定だ。

 市福祉事務所によると、市内の生活保護世帯数は8764(8月末現在)。1000人当たりの受給者数が43・8人と道内35市の中で、釧路市、三笠市に次ぎ3番目に高い数値となっている。

 市は、生活保護世帯の中に就労可能な市民がいるとみて、ケースワーカーが抽出した層を新規事業へとつなげたい考え。「受給者の中には親が1回も働いたことがない家庭で育ち、働くことが選択肢にない人がいるかもしれない。そうした人に就労の意義を伝えたい」としている。

 事業として、どの部分を民間に委託するかは現段階では定まっていないが、カウンセリングなど専門的な分野を考えているという。市は「まずは働くことへのイメージを持ってもらうこと」を目標とし、事業内容や予算計上の方向性を探っている。(黒田 寛)