2010年12月1日 (水) 掲載

◎バスガイドのアイデア満載の焼き菓子

 バスガイドが考えた和菓子誕生—。市内を拠点に観光案内などをするバスガイドの佐藤悦子さん(51)が考案した和菓子が1日から、市地域交流まちづくりセンター(末広町4)内のカフェ「Drip Drop」で販売を開始する。バスガイド仲間やドライバーと試食してもらい、意見を取り入れ完成させた。佐藤さんは「甘さを控え目にしているので、甘いものが苦手な人にもおいしく味わってもらえるはず」とPRする。異色の菓子の登場は市民や観光客の話題を集めそうだ。

 「いつかバスガイドの仲間とお菓子を作りたい」と考えていた佐藤さんは、以前から知り合いだった木古内町の菓子店「末廣庵」の竹田光伸社長(43)にアイデアを話し、協力を依頼。今年6月、プロジェクトがスタートした。

 佐藤さんらバスガイドとドライバーが試食を重ね、意見を出し合った。ガイドらからは「もっと甘さを抑えた方がいい」などの意見が上がり、菓子の味に反映させた。佐藤さんは「道内には人気の菓子は多いが、バスガイドが考えたものはないはず」と胸を張る。

 完成させた菓子は、ゴマと道産コンブを練り込んだこしあんを生地で包んだ焼き菓子。アクセントに上から黒糖をたっぷりとかけた。竹田さんは「ゴマとコンブ、黒糖でミネラルが豊富。黒糖のシャリシャリとした食感もポイント」と語る。

 商品名は「ありがとう」。佐藤さんがこれまでお世話になった多くの人たちへの感謝の気持ちを名前に込めた。また、函館には多くの修学旅行生が訪れることから、お土産として買ってもらいたいと考えている。「家族に普段言えない『ありがとう』の気持ちを、この菓子を通じて贈ってほしい」と話す。

 値段も子供たちが買い求めやすいように1個150円とし、箱詰めなどもしていない。佐藤さんは「この菓子をベースに、四季に合わせた別のバージョンも作りたい」と夢を膨らませている。商品は「末廣庵」でも販売する。(松宮一郎)



◎函館市病院局が改革見直し案、15年度には黒字

 函館市病院局は30日、昨年3月に策定した病院事業改革プラン(2009—15年度)の収支計画の見直し案を公表した。15年度までの現行ベース試算で予測される約34億円の赤字を、一般会計支援分の約19億円と各種加算による増収、薬品や診療材料費の削減など同局の自助努力で15億円を賄う計画で、15年度には市内3病院全体で8400万円の黒字を生み出すと試算している。

 同日開かれた市議会民生常任委員会(斉藤佐知子委員長)で示した。

 市立3病院は昨年度決算で約54億円の赤字を計上している。当初の改革プランでは15年度で3億7800万円の黒字に転換するとしていたが、今年8月までの収支実績などを基にした試算では、15年度で33億6900万円の赤字が残るとし、さらなる改善策が必要となっていた。

 見直し案では、08年度に発行した公立病院特例債29億円の元金を、11—15年度まで毎年5億8500万円ずつ一般会計から繰り入れることに加え、当初プランの未達成分として10、11年度の2カ年でさらに5億6000万円を繰り入れる。

 また、本年度上半期までの実績を基に収益単価を算出。今後の診療報酬の改定も踏まえ、3病院の入院、外来収益を実現可能な額に設定し直し、医業収益累積資金過不足額24億円を、15年度には8400万円の黒字に転換できると算出した。

 同委員会では「繰入金以外からの方策はないのか」という委員からの質問に、同局の藤森和男管理部長は「効率化は限界。一般会計から計上してもらうことに関して、(市と)一定程度認識は1つになった」と述べた。(黒田 寛)



◎乳がんの予防など啓発、「チームピンク」発足

 乳がんの予防や検診を啓発する市民団体、ピンクリボンin函館実行委員会「Team PINK!(チームピンク)」がこのほど、発足した。同実行委員長の川村佳子さんら有志5人で立ち上げ、これから展開する啓発活動に向けてサポーターを募集している。4日午後7時から、市地域交流まちづくりセンター(末広町4)で説明会を開く。

 ピンクリボンは、乳がんの正しい知識や検診の早期受診を啓発するシンボルで、アメリカで発祥したと言われる。日本でも2000年ごろから認知されるようになり、趣旨に賛同した活動が各地で展開されている。

 川村さんは19年前、母親を乳がんで亡くした経験を持ち、乳がんにかかわる取り組みを避けてきたが。今年10月に札幌で、乳がん検診の啓発の一環としてピンク色にライトアップされた建物を見て、「何かしなければ」との思いが沸き、知人らに声を掛け実行委を発足させた。

 活動のスローガンは「受けようマンモグラフィー検査!乳がん早期発見で安心な暮らし」「ストレスフリーで笑顔な毎日を!」「今から始めよう!乳がんに対する家族の理解」の3本柱で、検診、自己ケアの普及、啓発や家族のサポート活動などを行う。

 家族で楽しめる啓発イベントやオリジナルグッズの販売なども計画していて、イベントの収益金の一部を日本対がん協会やNPO法人日本乳がんピンクリボン運動(J.POSH)に寄付する考え。

 説明会では、活動の理念や今後の取り組みを示し、入会も受け付ける。川村さんは「純粋に活動の趣旨に賛同してくれる人を募っています」と呼び掛ける。説明会は参加無料。問い合わせは川村さんTEL080・1876・6626。(鈴木 潤)


◎戸井高存続策、今月中に結論

 函館市議会総務常任委員会(浜野幸子委員長)の委員協議会が30日開かれ、道教委が示した戸井高校の2013年度募集停止問題について審議した。市教委は市立化も含めた同校の存続策に関し、12月中に結論を出すとする一方、道教委に対しても道立での維持に向けて要望する考えを示した。

 市教委は同校への入学者が来年度以降20人台で推移し、2019年度には15人となる見通しを公表。併せて11月1日現在で、市内の中学生のうち同校への進学希望者が18人(前年度同期28人)と明らかにした。

 委員からは存続の形態などについて質問が上がり、市教委は@道立として維持A道立のキャンパス校B道立の分校C市立化D市立のキャンパス校—などの選択肢を示した。多賀谷智教育長は「存続を基本に方向性を出し、その後に具体的な方法を示したい」と述べるとともに「道立での存続を断念したわけではないが、市立化も視野に入れながら道教委への要望も続けている」と説明した。

 また市立化する場合の手順として、多賀谷教育長は設置条例の改正や道教委との移管手続きが必要—とした。(千葉卓陽)


◎松前高が函館美術館と連携協定締結

 【松前】松前高校(石塚耕一校長、生徒188人)と道立函館美術館(中江修館長)の連携協定の調印式が30日、同校で行われた。高校と美術館の連携は双方にとって初めてで、今後、生徒の美術館見学や学習会、学芸員による出前授業、同町への移動美術館などを行う。また、式には日本を代表する書家で創玄書道会会長の中野北溟さんが招かれ記念講演と揮ごうを行い、生徒らに書を披露した。

 同校は書道教育を推進しており、同町出身で近代詩文書の大家、金子鴎亭(1906—2001)の作品を多数収蔵する同美術館との連携によって、生徒の書道や芸術への学習意欲を高め、教員の資質や能力の向上を図ることを目的としている。また、「書のまちづくり」を目指す同町の活性化にもつなげる。

 調印式では同校の生徒や教員、来賓が見守る中、石塚校長と中江館長が署名し、協定書が交わされた。協定書には@美術館の活用A地域と連携した事業B情報交換による職員の質の向上—が盛り込まれている。

 調印後、中江館長は「美術館にある多くの優れた美術作品に触れてもらい、体験的な活動の機会も提供したい。生徒の豊かな感性を育みたい」とあいさつ。石塚校長も「この連携によって、より豊かで質の高い書道教育を行うことができる。生徒の個性や才能を伸ばすことにつながる」と語った。

 調印式終了後の中野さんによる記念の揮ごうでは、生徒らの前で、ジャン・コクトーの詩や校歌の一節を次々と書いていった。最後に体を弾ませ、「海風が轟く白神岬」と揮ごう。生徒らは、作品が出来上がるたびに大きな拍手を送っていた。1年生の村井美穂さんは「勢いがものすごかった。書道部なので勉強になった」と話していた。(松宮一郎)