2010年12月10日 (金) 掲載

◎とれたて道南食材 新幹線で首都に直送

 新幹線を利用し、北海道の新鮮な水産物や農産物を東京へ運ぶ実験が9、10両日にわたって行われている。9日は、はこだて未来大の長野章教授らが道南産のイカとホタテ、ホッキを持参し、函館から特急と新幹線を乗り継ぎ東京に輸送。運ばれた食材は寿司や刺し身に調理され、首都圏の消費者に提供された。

 同実験はNPO法人水産物トレーサビリティ研究会(理事長=三上貞芳公立はこだて未来大教授)が、2015年の北海道新幹線開業に伴い、小口荷物として北海道から東京へ輸送することで大きな経済波及効果を生み、一次産業の活性化につなげる取り組み。昨年度はイカ飯やホタテ、カニなどを使った弁当で実験を行ったが、今年は生の海産物が対象となった。

 この日は、未来大の長野章教授が函館魚市場で直接海産物を買い入れ、宅配便用の冷却ボックスに梱包。午前8時8分の特急「スーパー白鳥」で函館駅を出発し、新青森駅から東北新幹線「はやて」に乗り換え、東京には午後2時8分に到着した。

 食材は東京駅八重洲中央口前の産直店舗「北海道フーディスト」内のイートインコーナーで居酒屋メニューとして提供されたほか、都内のすし店「鮨処 福丸」でも扱われた。

 長野教授は「道内の新鮮食材を短時間で輸送できる新幹線の利用価値は大きい。今後も実験を重ねて可能性を探っていきたい」と話していた。(小川俊之)



◎来春に「企業局」新設へ…函館市議会

 函館市議会第4回定例会は9日も一般質問を継続し、5氏が質問に立った。西尾正範市長は来年4月をめどに、水道局と交通局を統合し「企業局」を新設する意向を明らかにした。庶務や経理などの管理部門をまとめ、組織の効率化を図る狙い。

 斉藤佐知子氏(民主・市民ネット)の質問に答えた。

 市は本年度の組織改編で、行財政改革の一環として交通局専任の公営企業管理者を廃止し、局長を部長級とする新体制に移行。企業管理者は西尾市長が兼務し、局内の意思決定機関として、本年度から新たに経営会議を設置している。

 一方で新体制移行に合わせ、合理的な業務運営を図る観点から、公営企業全体の組織見直しに関する検討を進めていた。

 市長は企業局の設置について「軌道事業にも管理者を置くことで、本来の経済性をより発揮することが可能になる。庶務、経理など管理部門の統合で効率的な組織になる」とメリットを説明。来年4月の統合に向け、「安全管理体制に関する国との協議や、条例など関係規定の整備を鋭意進めていく」と述べた。

 一般質問にはこのほか、村井正幸氏(新生クラブ)、小野沢猛史氏(市民クラブ)、茂木修氏(公明党)、市戸ゆたか氏(共産党)が登壇した。(千葉卓陽)



◎西尾市長「新函館」一番ふさわしい…北海道新幹線 新駅名称問題

 函館市の西尾正範市長は9日の市議会一般質問で、2015年度開業予定の北海道新幹線新函館駅(仮称)の名称問題について「新函館が一番ふさわしい」と発言し、「北斗函館駅」を主張する北斗市議会をけん制した。

 北斗市議会の新幹線建設促進調査特別委員会(中井光幸委員長)は今年9月、新駅名として「北斗函館」と決議。ただ、高谷寿峰市長は「JRから照会があった時には市長として要望をしなければならない」と、現時点では慎重な姿勢を示している。

 一方の函館市はこれまで「“函館”の文字を名称から外すことにはならない」とし、必ずしも新函館に限らないとの姿勢を保ってきたが、ここにきて現在の仮称「新函館」の実現に向け、大きくかじを切った形だ。

 西尾市長は、村井正幸氏(新生クラブ)の質問に対し、@過去に新大阪、新横浜などの例があるA新函館の名称が全国的、地域的に広く認知されているB利用者にわかりやすく、インパクトが必要Cオール北海道の意向を受け、駅の立地を渡島大野駅付近に譲歩した経緯―などを理由に挙げた上で、「全国や地域の未来に向け、インパクトのある新函館が一番ふさわしい」と述べた。(千葉卓陽)


◎函商高 全道最多の合格…情報処理技術者、ITパスポート試験

 函館商業高校(滝田進校長)の情報処理科2、3年生64人が、10月に実施された国家試験・情報処理技術者試験の「基本情報技術者試験」と「ITパスポート試験」に合格した。同校の合格率は全道、全国平均と比較して高く、合格者数は道内の高校でトップとなった。8日までに合格証書が届き、受け取った生徒は喜びに沸いている。

 情報処理技術者試験は、技術者としての知識や技能の水準が一定以上であることを認定する試験。システムを構築・運用する技術者から利用者まで、IT(情報技術)に関係する原理や基礎の技能を幅広く評価する。務める業種や企業によっては資格手当がついたり、就職に有利な場合もある。

 試験は春と秋の年2回あり、今回同校からは、基本情報は48人が受験し17人が合格(合格率35%)、ITパスは97人が受験し47人が合格(同49%)した。同校の合格率は、全国(基本情報=19%、IT=24%)や全道(同=30%、同=32%)の高校生と比較しても高い。道内では、高校生全体の合格者のうち、双方の試験ともに函館商業高生がほぼ半数を占め、高校単位では道内一の合格者数となった。

 同校では試験対策として、夏休み中や放課後などに講習を行ってきた。専門学校とも連携し、直前の休日にはほぼ1日を試験対策に費やした。基本情報に合格した前川春香さん(3年)は、「毎日講習で勉強したけれど、過去問題の練習では思ったように点数を取ることができなくて苦労しました」と振り返り、「合格と聞いた時は心の底からうれしかった」と喜ぶ。

 同試験対策を指導してきた佐々木雅治教諭は「生徒は1年の時から合格を目指し黙々と取り組んできました。今回の結果はがんばりの成果です」と話している。(小泉まや)


◎仲間と発展誓う…渡島農業改良実績発表大会

 【北斗】青年農業者が日々の仕事への思いを伝える「第61回渡島農業改良実績発表大会」が9日、北斗市農業振興センター(東前74)で行われた。農業を取り巻く課題や研究内容、将来の夢を8人が堂々と発表。「仲間で協力して地域農業を盛り上げていこう」と結束を誓った。

 知内、北斗、七飯、八雲の、青年農家でつくる「渡島4Hクラブ連絡協議会」(山田康生会長)と渡島総合振興局の主催。課題解決を探る「プロジェクト発表」に3人、体験談で青年農業者の役割を伝える「アグリメッセージ発表」には5人が登壇した。

 プロジェクト発表で最優秀賞を受けた、八雲町の長谷川公彦さん(28)は、かすみそう栽培のハモグリバエ被害対策について報告。害虫の活動が気温に大きく左右されることを指摘し、「この生態を利用した防除が効果を挙げている。もっと研究を重ね、地域に貢献できるよう頑張りたい」と結んだ。

 アグリメッセージで最優秀賞に輝いたのは七飯町の池田純也さん(22)。昨秋、七飯町の海外交流事業でアメリカを訪れた体験を語り、「『消費者の笑顔を見たくて農業経営を楽しんでいる』と現地の農家から掛けられた言葉が今でも忘れられない。生産者と消費者の距離が近く、農業を好きになるきっかけにもなった」と声を張った。

 このほか、サツマイモを新特産品にと奮闘する、北斗市の山本隆久さん(31)がプロジェクト発表で優秀賞となった。審査は、道南農試職員と農業士らが担当した。

 最優秀の2人は、来年1月に札幌市で開かれる北海道青年農業者会議で渡島代表として発表する。(田中陽介)