2010年12月11日 (土) 掲載

◎大野農業高 豚肉、高い格付け評価 30年ぶり復活の中小家畜実習

 【北斗】大野農業高校(北沢住人校長)農業科の生徒が飼育した豚肉が日本食肉格付協会から高い格付け評価を受けた。昨年、30年ぶりに中小家畜実習を再開し、今年度からは同校内で作られた農作物の規格外品などを餌として与える「省資源循環型リサイクル飼料」の研究プロジェクトをスタートさせた。実習復活2年目で大きな成果が出たことに農業科中小家畜機械班の生徒や教諭らは「良質な豚を作ることができ、循環型の有効性の証明になる」と喜んでいる。

 同校では飼育農家の減少とともに実習を希望する生徒が減少したことから、中小家畜実習を中止していた。しかし、農業法人や畜産加工会社から即戦力を求める声が増えたことをきっかけに、実習を復活。現在は、生徒17人が豚や鶏、羊の飼育に取り組んでいる。

 今年春からは、生徒が給餌などすべての世話をしながら4頭の豚を約6カ月間かけて飼育。餌は、ほかの科の生徒が作ったリンゴやカボチャなどの規格外品のほか、くず米やジュース粕などの残さ物を利用し、配合飼料を減らした。校内から安定的に餌の確保ができるため、飼料費を大幅に抑えることに成功した。

 また、一般的には行わない「放豚」を取り入れ、豚のストレス解消を図った。結果、病気に強く、身が引き締まった豚に成長し、うまみと甘みのあるジューシーな肉質に仕上がった。

 10月に2頭を出荷し、同協会に調査を依頼すると、「放豚」を行った豚が、5段階評価で最高クラスの「極上」に次ぐ「上」を獲得。「『極上』の肉と遜色がない」とのお墨付きももらった。もう1種類は「中」の格付けだった。同班の3年生、高橋正樹君と横井ほのかさんは「豚舎はすぐ汚れるので、毎日清掃するのが大変だった」と苦労を振り返りながらも、高評価に喜びを隠さない。

 指導する竹永拓正教諭は「生徒たちの日々の管理が実を結んだ。循環型普及のため、今後、企業との連携も視野に入れ取り組んでいきたい」と話している。同班の取り組みは、校内の実績発表大会で最優秀を受賞。来年1月19日に酪農学園大学(江別市)で開かれる南北海道学校農業クラブ連盟実績発表で披露する。(松宮一郎)



◎函館市、公共工事前倒し発注 子宮頸がんワクチンなど3種も

 国の緊急総合経済対策にかかわる補正予算の成立を受けて、函館市は10日、開会中の市議会第4回定例会に総額5億4900万円規模の補正予算を提案すると発表した。公共工事の前倒し発注や、来年度からとしていた子宮頚がんなどワクチン3種類の公費助成を来年1月からに早める。14日の一般質問終了後に一括提案する。

 公共事業の前倒しは34事業、3億3200万円分を追加発注し、財源の大半は国の地域活性化交付金で賄う。一般会計分では青函連絡船記念館摩周丸や小中学校の施設改修などを予定しているほか、特別会計分では水産物地方卸売市場の施設改修、笹流ダムのトイレ改修を盛り込んでいる。

 市は11月にも単独で総額3億円の公共工事前倒し発注を行っており、前倒し分の総額は6億3200万円、発注件数は延べ129件。市財政課は「議決され次第、年末から発注を始める」としている。

 一方、ワクチン接種の公費助成は子宮頚がんとヒブ、小児用肺炎球菌の3種類で実施。市立函館保健所によると、対象は子宮頸がんワクチンが中学1—3年生と高校1年生の女子、ヒブと小児用肺炎球菌ワクチンが0—4歳の乳幼児。議決されれば1月から始める予定で、子宮頚がんで約5160人、ヒブと肺炎球菌で約1万5180人分の接種費を確保した。

 接種は市内の医療機関で、3月末まで無料で受けられる。いずれも任意接種のため、同保健所は「少しでも多くの市民に受けてほしい」としている。(千葉卓陽、黒田 寛)



◎しめ飾り作りピーク迎える

 今年も残り1カ月を切り、函館市赤川町の園芸店「花夢(かむ)ショップ オオミ」(近江ヒデ社長)では縁起物のしめ飾り作りがピークを迎えた。店内には色鮮やかなまゆ玉も登場し、一足早い正月の雰囲気に包まれている。

 しめ縄は同店敷地内で育てたスゲを使って作る。7月に刈り入れて乾燥させたものを、9月ごろから締め上げていく。

 家内安全や商売繁盛を願うタイや小判、七福神などの縁起物を付けるとしめ飾りは完成。一般家庭用や長さ5メートルにもなる神社の境内用など、大きさや種類はさまざま。漁場での無事と大漁を祈って、特別注文する漁業関係者も多い。約3カ月かけて1万個以上を仕上げる。

 また、店内の一角にはピンクや白、黄色などに色付けされた麩(ふ)のまゆ玉が華やかに咲き誇る。毎年年末になると常連からの予約注文が相次ぐという。

 近江社長は手早く、力強く作業を進めながら「51年間毎年作っているので、手順などは体にしみついている」と話す。作業は今月いっぱい続き、神社をはじめ市内のホームセンターなどでも販売される。(堀内法子)


◎江差で今季初のインフルエンザ注意報

 【江差】江差保健所は10日、今シーズン初めてのインフルエンザ注意報を発令した。

 同保健所管内の江差、上ノ国、厚沢部、乙部、奥尻の桧山南部5町で、定点医療機関に指定している道立江差、乙部町国保、厚沢部町国保の3病院の患者数が、11月29日から今月5日(第48週)の1週間で32人(1病院平均10・67人)に達したため。道は1定点平均の患者数が1週間で10人を超えた場合に注意報、30人を超えると警報を発表。手洗いやうがいなどの感染予防対策を呼び掛けている。


◎創作たこ作り続ける梅谷さん 45年の集大成 25組70メートルの大作

 函館市山の手3の元高校美術科教諭で、創作たこ作りを続ける梅谷利治さん(81)は、来年の干支(えと)「卯(うさぎ)」のたこを完成させた。今年春、体調を崩して約40日間入院した梅谷さんは「退院後にたこを作る体力が残っていてよかった。創作たこ作り45年の集大成といえる作品ができた」と感無量の表情だ。

 梅谷さんは1976年から干支の創作たこを手掛け、今回で3回りとなった。今年のたこは、直径約35センチの丸い紙にさまざまな目をした愛らしいうさぎの顔を書いた。裏に長さ約40センチの胴体を付け、22年前に作製した、直径約40センチの丸形で中央に大きく穴が空いている龍の連だこをつなげた。1組は上から見ると「H」の形になる。本物のうさぎの足の大きさ同様、前部分は小さく後は大きくし、リアル感を出した。

 これを25組つなげると長さは約70メートルになる。「これまでになかった構造。揚がるには不安定な要素は多いが、必ず大空を跳ねてくれるはず。過去に作った違う動物のものを合体させ、新しいたこを作るというきずなも大切にした」と話す。名前は夢をつかんでほしいと「夢月兎(ゆめげっと)」とした。このほか、24年前に作ったうさぎにチョウのような羽をつけた「夢蝶月兎(ゆめちょうげっと)」や獅子舞たこも作った。

 新年のたこ揚げは、来年1月5日午前11時から緑の島(大町)で行う(荒天の場合は10日)。12年前の「月浪兎(つきなみうさぎ)」なども登場する。「家族と一緒に揚げ、幸せなひとときにしたい。皆さんも一緒にいかがですか」と呼び掛けている。(山崎純一)