2010年12月14日 (火) 掲載

◎アフリカの医療研究員が生け花に挑戦

 アフリカで医療関係施設に従事する研究員20人が13日、浅水フラワーガーデン(函館市昭和2)を訪れて生け花に挑戦した。

 研究員たちは感染症研究のため今月1日にアフリカから来日した。数日にわたり札幌市内で研修を行い、9日に函館入りした。函館では保健所の取り組みや検疫所の体制、インフルエンザの対応について学んだほか、五稜郭タワーの見学なども行った。

 この日は日本の文化に触れるため生け花を体験。講師は池坊函館中央支部の高石香雲さんが務めた。初心者にも生けやすいアイリスの花をメーンに使い、高石さんが説明する手順を追いながら作業を進めた。

 終了後は市内で教室を主宰する高松園さんがたてた抹茶と和菓子が振る舞われ、研究員たちは珍しそうに口に運んだ。

 ザンビアの助産師ムソンダ・チャリティ・ムクパさん(33)は「日本は初めて来た。ザンビアでは午後4時には閉店するので、夜遅くまで店が開いていることに驚いた。初めて食べた刺し身はおいしかった」と日本の印象を話し、ガーナの研修医アクウィー・エドモンドさん(32)は「先生が優しく教えてくれたので、簡単に花を生けることができた。日本は社会が組織化された、きちんとした国。少し時間に厳しいけど」と笑顔だった。(堀内法子)



◎函館市議会、「経済活性化戦略会議」設立へ

 函館市議会第4回定例会は12日、一般質問を継続し6人が登壇した。西尾正範市長は、地域経済の活性化を目的に市や函館商工会議所、道中小企業家同友会、金融機関などのトップで構成する「函館市経済活性化戦略会議」を年明けにも立ち上げる考えを明らかにした。

 工藤恵美氏(新生クラブ)の質問に答えた。

 西尾市長は2009—10年度に取り組んだ経済振興策を説明。北大水産学部、公立はこだて未来大学、函館高専の教員とともに函館の技術、研究力をPRする「地域ビジネスマッチング事業」などを実施した経緯を話し、「きめ細かい施策を展開していきたい」とした。

 これに対し、工藤氏は「地元企業の育成にもっと力を注ぐべきでは」とただした。西尾市長は「地域経済活性化に向けて、官民一体となって知恵を出し合うことが重要。経済活性化戦略会議を年明けにも立ち上げる中で、今まさに何が必要なのか検討したい」と述べた。

 市経済部は同会議について、具体的な設立時期や協議内容は未定としながらも「市を含めた函館経済界のトップを集めて行う予定。まずは顔を合わせることで方向性を決めていきたい」としている。

 一般質問にはこのほか、斉藤明男氏(新生クラブ)、日角邦夫氏(民主・市民ネット)、北原善通氏(市民クラブ)、小山直子氏(民主・市民ネット)、金沢浩幸氏(新生クラブ)が立った。(黒田 寛)



◎大門横丁アンケート、道南以外の客が地元を上回る

 26店舗が入居する屋台村「ひかりの屋台大門横丁」(函館市松風町7)を運営するはこだてティーエムオー(渡辺良三社長)は、今年の7月と10月の2回にわたって、利用者へのアンケート調査を行った。これによると道南以外の利用者が占める割合は7月が55%、10月が57%と、ともに地元客を上回り、夏場の観光スポットとして定着していることがうかがえる。

 空洞化が進む函館駅前大門地区の活性化を目指し、2005年10月に大門横丁が誕生してから5年。利用客は06年度(06年4月—07年3月)の約17万7900人から07年度は15万5000人、08年度は14万6000人と減少傾向が続いた。

 しかし、09年度には函館開港150周年事業の一環として行った全国屋台村サミットや大門横丁バルなどのイベント効果で15万1000人と増加に転じ、10年度も前年を上回る好調が続いている。

 今回行ったアンケートは、7月は199人、10月は156人から(ともに2日間)から回答を得た。

 このうち利用者の住所については、7月は「函館・道南」が45%で「それ以外」は55%、10月は「函館・道南」が43%で「それ以外」は57%といずれも地元以外の割合が多かった。「それ以外」の人に来函の目的を聞くと、7月は「観光」が71%で「出張」が8%なのに対し、10月は「観光」43%、「出張」18%となった。渡辺社長は「夏場に観光客が多いのは感じていたが、秋(10月)に出張で訪れた人の利用が多いのに驚いた。大門横丁の知名度が観光者以外にも幅広く、全国的に高まってきているのではないか」と分析する。 「大門横丁に望むこと」の設問では「イベントの開催」が7月27%、10月が32%でもっとも多く、「季節ごとの料理提案」が7月26%、10月18%、「旬の情報発信」が7月16%、10月12%、「新メニューの開発」が7月10%、10月11%などとなっていて、利用者が常に刺激的なイベントの実施や、道南ならではの旬の味覚を求めていることが分かる。

 渡辺社長は「今回のアンケート結果をしっかりと分析して、利用者にとってさらに魅力的な屋台村作りを目指していきたい。年間を通じて屋台村が常に活気づくような斬新なアイデアを絞っていきたい」と話している。(小川俊之)


◎厚沢部、渋田町長が再選出馬を表明

 【厚沢部】渋田正己厚沢部町長(67)は13日に開かれた第4回定例町議会で、任期満了に伴う来年4月の町長選に再選を目指して出馬する意向を正式に表明した。

 中山俊勝氏、山崎孝氏の質問に答えた。渋田氏は「町民と英知を結集して、明日への歩みを進めるため、力の及ぶ限り一身を投じたい。町民が安全安心な生活を送るため、再度町政を担わせてほしい」と決意を示した。同町長選ではこれまでのところ、渋田氏以外に出馬の動きはない。

 渋田氏は就任直後の2007年から、町の財政基盤の強化とともに、中学生までを対象とする医療費無償化などの子育て支援策の充実、国保病院の経営改革、特別養護老人ホームの増床など、福祉政策を通じた定住人口の維持につなげる政策を推進。

 町の全額出資で第3セクター「素敵な過疎づくり株式会社」を立ち上げ、道内外からの移住や長期滞在の促進、高齢者専用住宅の誘致による人口増加対策などを実施した。サツマイモやブロッコリーなど戦略作物の導入による農業の基盤強化や雇用確保にも取り組んでいる。

 渋田氏は室蘭市出身。江差高卒。62年町役場入り。町教委次長、国保病院事務長、農林商工課長などを経て95年に助役に就任した。03年の町長選で初出馬したが、現職の澤田孝一氏と争い138票差で落選。07年町長選では57票差で澤田氏を破り初当選した。(松浦 純)


◎森町TPP影響額試算、農業46億、水産22億

 【森】関税の原則撤廃を目指す環太平洋経済連携協定(TPP)に参加した場合の町内一次産業に与える影響額について、森町は農業分野で46億8000万円、水産分野で22億6000万円とする試算結果をまとめた。

 13日の町議会12月会議一般質問で、堀合哲哉氏の質問に佐藤克男町長が答えた。

 町は、道の試算を基に影響額を算出。農業分野では畜産(豚肉)で約41億円、水産分野では主力のホタテが壊滅的な損失となるとした。佐藤克男町長は「農業、漁業だけではなく、(輸送業など)関連産業のすそ野も広い。町長の立場として、TPP参加は反対だ」とした。

 このほか、清水悟氏は、国民健康保険税について、佐藤町長の考えをただした。

 国保税率改定は、11月会議で議会提案の所得割を1%増の7・5%とする改定案で成立している。佐藤町長は、一般会計から国保特別会計への繰入金が多額であることから、「一般会計からの繰り入れを続けることは、他の医療保険加入者に間接的に国保赤字分を負担させていることになる。不公平感をなくしていかなくてはならないと考えている」と述べた。(今井正一)