2010年12月16日 (木) 掲載

◎渡島総合振興局の5人 はこだて検定全員合格

 渡島総合振興局産業振興部の職員5人が、第5回函館歴史文化観光検定(はこだて検定、函館商工会議所主催)に挑み、見事全員が合格した。15日に合格証が届き、喜びを共有。「函館の魅力をあらためて実感した。ほかの課にも声をかけ、受験の輪を広げていければ」と意気込んでいる。

 合格したのは、初級が中村慎一部長(51)と商工労働観光課の寺島進一観光振興係長(39)、高橋真紀子主任(36)、高嶋宏明主事(37)。上級試験は南出徹主任(42)。今回の合格率は、初級が29・9%、上級は44・4%だった。

 受験のきっかけは今年4月の人事異動。札幌から初めて函館に赴任した寺島係長が「少しでも早くまちになじみ、観光振興につなげることができれば」と職場の仲間に受験参加を呼びかけたという。

 試験は11月14日に行われた。5人は試験当日まで、公式テキストや過去問題を参照し、初級合格者の南出主任のアドバイスを受けるなどして勉強に励んだ。唯一、函館生まれの中村部長は「自分が足を引っ張るわけにはいかない。必死で勉強した」といい、大学ノートにびっしり書き込んだ跡を見せる。

 函館商工会議所のはこだて検定担当の永澤大樹さんも5人の奮闘をたたえる。「受験までの道のり、合格という自信が仕事の充実に直結するはず。楽しく学び、函館に住む誇りと喜びも感じてもらえたはず」と話している。

 はこだて検定は、函館の歴史や文化、産業、地理などに関する多様な問題の択一式(上級は筆記も)で、全国のご当地検定の中でも難関とされている。第6回の実施は、来年11月を予定している。(田中陽介)



◎2期連続の悪化…12月日銀短観

 日銀函館支店(市川信幸支店長)が15日に発表した12月の企業短期経済観測調査(短観)によると、道南の企業の景況感を示す業況判断指数(DI、「良い」から「悪い」を引いた指数)は、全産業でマイナス14と、前回(9月)から3ポイント低下し、2期連続で悪化した。中でも小売りや運輸などの低下が目立っていて、道南地域の厳しい経済状況を浮き彫りにしている。

 9月の前回調査でもすでに影響が出始めていた公共工事の減少やエコカー補助金終了による反動が、今回は顕著に数字に表れた。産業別にみると、製造業が前回から7ポイント低下し0。内訳では海外需要の落ち込みが大きかった機械が33ポイント低下し0。食料品は9ポイント低下しマイナス27だった。

 非製造業は2ポイント低下しマイナス21。内訳ではエコカー補助金終了の影響が続く小売業が20ポイント低下しマイナス40、運輸・郵便が11ポイント低下しマイナス22。一方で建設業は6ポイント上昇のマイナス29、卸売業は11ポイント上昇のマイナス21、宿泊・飲食・サービス業が2ポイント上昇の14と、わずかながら上向きとなった。

 3カ月後の景気予測を示す先行きDIは、全産業では今回を6ポイント下回るマイナス20。中でも小売業が30ポイント低下のマイナス70、卸売業が11ポイント低下のマイナス32と、さらなる厳しい状況になると見る動きが広がっている。(小川俊之)



◎「書の甲子園」市函高の3人活躍

 全国の高校が参加する「書の甲子園」(第19回国際高校生選抜書展、毎日新聞社主催)で、市立函館高校の3人が入選以上の賞を受賞し、団体賞にも選ばれる快挙を成し遂げた。同校書道部の顧問を務める鈴木孝徳教諭は「ことしの3年生は部長をはじめ全員が1年の時から努力してきたので、うれしい限り」と喜んでいる。

 同展には、国内外から約1万6700点の応募があり、このうち文部科学大臣賞2点、外務大臣賞1点、大賞13点、準大賞27点、優秀賞50点—などが選ばれた。応募点数に対する入賞者の人数は約1割の狭き門だが、同校勢は多くの賞を獲得した。

 部員全員が出品し(14点)、部長の古川貴志君(3年)が近代詩文で準大賞を、佐藤真子さん(1年)は初出品で秀作賞を、副部長の山田彩さん(3年)は近代詩文で入選を果たした。

 同校では15年ぶりとなる準大賞となった古川君は、「力強さが気に入っていて、いつか書いてみたいと思っていた」という詩「タイヨウノハナ」の一部分を書いた。当初は文字の配列などで苦労した部分もあったが、最後にはリズムに乗って感情移入することを心掛けた結果、満足のいく出来に。今後は「大学でも書道を学びたい」と話し、希望する進路の実現に努力する。

 佐藤さんはやわらかな線にひかれて、木簡「敦煌漢簡」の臨書に取り組んだ。習字は続けてきたが、書道は同校に入ってからがスタート。「体を大きく動かして書くのが大変だった」」と振り返るが、「今後はかっちりとした字体の古典をやっていきたい」と意欲満々。山田さんは詩「海市」を選んだ。前年に続き2度目の入選で、「あまり時間をかけられなかったが良い作品を出せたと思う」と話した。

 3人の入賞や出品数などから、同校は団体賞で北海道からは優秀賞(道内3校)に選ばれた。古川君は「部長就任時に『団体賞を取る』と決意したが、成績を残せて良かった」と喜んでいる(小泉まや)


◎海老沢氏に「名誉市民」…北斗市第1号

 【北斗】北斗市は15日、前市長の海老沢順三氏(78)に「名誉市民」を授与することを明らかにした。同日開かれた市議会第4回定例会で、名誉市民条例の制定が可決されたことに伴うもので、海老沢氏が第1号となる。授与式は来年2月1日を予定している。

 同条例は合併前の旧大野町で制定しており、端本市三郎氏、吉川清之助氏の元町長2人に名誉町民の称号を贈っていたが、旧上磯町に条例はなく、両町の合併協議の際に制度化を検討していた。

 海老沢氏は旧上磯町出身。1975年、当時の町議会事務局長から町長選に出馬し初当選、連続8期務めた。隣接する旧大野町との合併を主導し、2006年2月に北斗市が誕生。新市誕生に伴う同年3月の市長選で、三つどもえの戦いを制して初代市長に就任、通算9期35年にわたり首長を務めた。

 高谷寿峰市長は、この日の市議会本会議で「政治理念や地方自治に傾けた情熱と功績はもちろん、初代市長として市が豊かな未来へと進む礎を築いた」と授与の理由を説明。市議会は全会一致で同氏の推挙に同意した。

 市は来年2月1日に行う市功労者表彰式に合わせ、名誉市民授与式を開く考え。(千葉卓陽)


◎「海炭市叙景」比グランプリと最優秀俳優賞 市民キャスト会見

 フィリピンで開かれた第12回シネマニラ国際映画祭(1—5日)でグランプリと最優秀俳優賞を獲得した、函館市民映画「海炭市叙景」。ダブル受賞の喜びを多くの人に報告しようと、出演した主要市民キャスト6人が14日、市地域交流まちづくりセンター(末広町4)で記者会見を開いた。

 同映画祭はフィリピンをはじめ、世界各国の映画を上映。コンペティション部門に出品された同作は、イタリアやアメリカなどの作品を破って見事グランプリを受賞。通常は個人に与えられる俳優賞も、エキストラ500人を含む出演者すべてが対象となった。同映画祭の審査員は「感動的な作品。演技も見事に計算されつくされている」と絶賛したという。

 記者会見の中で、受賞の感想を聞かれると、川守田康彦さんは「今までに経験したことのないうれしさ」と表現。受賞の知らせをどこで聞いたかの問いに、同映画製作実行委の西堀滋樹事務局長は「関係者から聞いた。映画に関わったすべての人がいただいた賞」と喜びを表現した。

 同作は函館では先行公開中で、18日からは道内(札幌、帯広、苫小牧)のほか、東京、横浜、福岡などでも公開される。(小杉貴洋)