2010年12月17日 (金) 掲載

◎遺愛女子高、福岡の西南女学院と交換留学

 渡島総合振興局産業振興部の職員5人が、第5回函館歴史文化観光検定(はこだて検定、函館商工会議所主催)に挑み、見事全員が合格した。15日に合格証が届き、喜びを共有。「函館の魅力をあらためて実感した。ほかの課にも声をかけ、受験の輪を広げていければ」と意気込んでいる。

 遺愛女子高等学校(福島基輝校長)では、短期留学生として福岡県北九州市にある西南女学院高等学校の生徒2人を受け入れ、学校生活を通じてさまざまな交流を行っている。

 2年前から両校で提携して行っている短期交換留学事業の一環。ホームステイをして他校に通いながら、地域文化の違いなどを体感してもらいたいという目的で実施している。10月には遺愛から特進1年の白戸遥さん(15)と英語科2年の奥崎ちさとさん(17)が約2週間、西南女学院に留学。今回は同事業の後半として西南女学院4年の広滝彩衣さん(16)と植村香保さん(16)が5日から函館市内にホームステイし、遺愛に通っている。

 広滝さんと植村さんは訪れた当初すぐにホームシックになったと振り返るが、今ではクラスにもなじみ、積極的に授業に参加。先に留学を経験して知り合っていた白戸さんと奥崎さんとは顔見知りだったことから、感じたことや学校生活での疑問などもじっくり話し合うという。

 4人の共通点は外国への憧れ。特に英語の授業に熱心に取り組んでいる。広滝さんは「北海道は初めて。知らない土地で生活する経験は自分の人生にプラスになるはず」、植村さんは「将来は海外に行きたい。そのためにもコミュニケーションや会話の能力をみがきたい」と瞳を輝かせる。

 留学を振り返り、白戸さんは「普段の生活から離れたことで、家族の温かさや友達の大切さが身にしみた」、奥崎さんは「同じ日本なのに会話や生活のテンポがとても速く感じて大変だったが、いい刺激になった。今回の経験を生かしていきたい」と話していた。(堀内法子)



◎函館市、来年度から生活保護費抑制へ就労喚起プログラム開始

 函館市議会の民生常任委員会(斉藤佐知子委員長)が16日開かれた。本年度の生活保護費で約12億円の増額補正を行い、過去最高の総額205億312万円となる事態を受け、市福祉部は保護費の抑制に向け、来年度から、働く能力がありながら保護を受けている受給者を対象に、就労意欲喚起プログラムを開始する考えを示した。

 市福祉部によると、同プログラムは生活保護受給者の中から就労が可能な人を対象とし、ボランティア活動などを通じた社会経験を積み、社会に出る自信を深めてもらう。就業意欲を高めた人に対しては、従来、市が行っている就労支援プログラムへと移行。仕事に就くことを目指し、継続してサポートを行う。

 阿部善一氏(民主・市民ネット)は「就労への意欲を見せない受給者に対する自立支援プログラムの導入予定はあるのか、また、いつ頃から始めるのか」と質問。川越英雄福祉部長は「受給者の中から稼働能力がある人を対象として導入したい。就労、保護の廃止へとつなげる取り組みとして来年度からの実施を検討している」と同プログラム実施の姿勢を見せた。

 また、保護費の25%を市の一般財源から投入していることに関し、阿部氏は「受給者の高齢化から保護費が増え、市の負担は増える一方では。不正受給者のチェック体制は」とただした。斎藤利雄生活支援第1課長は「申請を受理したうえで財産の有無を調査し、保護を決定している」と答えた。また生活保護廃止については「昨年で800件の廃止があり、1番多い理由は死亡による213件。労働による収入増加は59件」などと説明した。

 来年1月1日から始まる子宮頸(けい)がん、ヒブ、小児用肺炎球菌ワクチンの全額助成について小谷野千代子氏(公明党)は、周知方法を質問。佐藤幸正保健所健康づくり推進室長は「対象者への通知や、医療機関や学校などに呼び掛けて周知に努めたい」と答えた。(黒田 寛)



◎はこだて検定、渡辺君が小学生初の合格

 函館商工会議所は、11月に実施した「第5回函館歴史文化観光検定(はこだて検定)」試験の結果を発表した。初級は受験者384人に対し合格者115人で、合格率は29.9%と前回より6.2ポイント上昇した。上級は受験者72人に対し合格者32人で、合格率44.4%と前回より19.8ポイントの大幅アップとなった。また初級では函館あさひ小6年の渡部響君(11)が小学生として初の合格を果たした。

 はこだて検定は、初級、上級ともに試験時間90分以内に100点満点中70点以上で合格となる。今回の初級では平均点が62.2点と前回を6.3点上回り、それに伴って合格率も上昇した。また合格者の最年少記録も第1回試験の14歳(中学生)から一気に3歳更新した。同会議所では「はこだて検定のテキストは中学生以上に理解できるように作られているが、興味があれば小学生でも合格できることを証明してくれた。市内の小学校の教材としてもテキストが利用される例が増えているので、今後も積極的に若い世代に受験してほしい」と話している。

 一方、上級の平均点も74点と前回を4.4点上回り、合格率も過去最高を記録。同会議所では「問題のレベルを下げているわけではなく、連続して受験している割合が多いのが(合格率アップの)要因ではないか」とみている。

 今回を含めた初級(全5回)と上級(全4回)の受験者合計は2955人。同会議所では「はこだて検定が市民に定着した感はあるが、検定用のテキストが約8000部販売されていることを考えると、まだ受験をためらっている人も多いのでは」とさらなる受験者拡大を目指している。(小川俊之)


◎「箱館歴史散歩の会」記念講演会

 「箱館歴史散歩の会」(同会主催)の第50回記念講演会が16日、市地域交流まちづくりセンターで開かれた。約200人が参加し、市内船見町の称名寺住職で南北海道史研究会会長の須藤隆仙さん(80)や、同会主宰の中尾仁彦(とよひこ)さん(68)の話に聞き入った。

 同会は2008年4月にスタート。毎月1、2回開かれており、1回約2時間、西部地区の建物や碑、跡地などを歩いて巡りながら歴史を再発見している。中尾さんによるとこれまで述べ約3700人が参加した。

 最初に須藤さんが「史跡探訪の楽しみ」と題して講演。自身が郷土史研究の道に入ったことについて、若いころ、寺で日曜学校を開き、子供に函館の童話を紹介したことが好評を得て、次第に大人や取材する人も多く訪れ、寺にある史料や墓の人物の解説をするため、多くを調べることになったと話した。「自分で歩き、自分の住む街を興味深く調べると多くの発見ができる。函館はまだ新発見がたくさんできる。皆さんもぜひ、続けてほしい」と話した。

 続いて中尾さんが「箱館歴史散歩の会50回の歩みについて」と題して、これまでの活動を振り返った。自身が05年から08年にかけ、東海道や中山道など江戸五街道約1250`を歩いたほどのウオーキング好きと、歴史研究好きが合わさり、さらに同世代の引きこもりを防ごうと同会を開いたことなどを述べた。「100回開催を目指し、郷土の歴史という宝を、皆さんと一緒に発見していきたい」と参加者に話しかけた。

 また、節目を記念し、函館の人物や街について紹介する「箱館はじめて物語」を自費出版(A4判、88n)したことを話した。(山崎純一)


◎スケトウの休業補償制度、週明けに東京で要望

 【乙部】日本海のスケトウダラ資源の回復に向けて、漁期の短縮に伴う休業補償制度の創設を求めている、ひやま漁協(乙部町、市山亮悦組合長)と桧山すけとうだら延縄漁業協議会(佐藤弘会長)は、週明けにも東京の水産庁や道内選出国会議員を対象とした要望活動を行う。

 同漁協と同協議会は今月上旬から、桧山振興局、桧山町村会、道8区選出の逢坂誠二衆院議員など地元関係者への要望活動をスタート。7日には札幌の道水産林務部や道議会などを訪れて要望書を手渡した。22日にも桧山町村会長の寺島光一郎乙部町長らが加わり東京で要望活動を行う。

 同協議会などは、11月から3カ間としている漁期を自主的に2カ月に短縮。来年1月以降は自主休漁の措置を講じて、日本海を回遊して桧山沿岸で産卵するスケトウの繁殖を促して日本海全体の資源回復につなげたい考えだ。しかし、休漁に伴い1月中の収入を絶たれる漁業者の経営維持が大きな課題。同漁協などは、政府が漁業分野にも拡大を検討している戸別所得補償制度の弾力的な運用とともに、スケトウ漁業者を対象とした新たな所得補償制度の創設や資源管理対策を求めている。

 ただ、水産資源の保護を目的とした自主休漁に伴う所得補償制度は、全国的にも前例がなく、実現に向けたハードルは高い。このため、農水省や国会議員の後押しを得ながら、資源保護や漁業経営の安定に向けた議論を盛り上げたい考えだ。(松浦 純)