2010年12月18日 (土) 掲載

幻想的「光柱」現象 

 16日深夜から17日未明にかけ、函館市内の津軽海峡上空で、光の筋が縦に伸びる「光柱」現象が見られた。17日夜にも発生し、同日午後6時半ごろ、夜空に現れた珍しい光景に気づいた人は「一見すると不気味だが、とてもきれい」と見入っていた。

 光柱は、上空の高い層に六角形の小さな結晶ができ、道南ではイカ釣り漁船のいさり灯の光が反射して起きる。晴れて気温が低く、海がおだやかなことなど、多くの条件が整うことが必要。まちの強い明かりでも発生することがある。

 函館は17日午前零時から同2時ごろまで、氷点下5度以下と冷え込んだ。夜に西部地区のクリスマス・ファンタジー会場から帰る時に気付いた、静岡の男性は「初めて見た。旅のいい思い出になった」と喜んでいた。 (山崎純一) 



全庁一斉で滞納者宅訪問 

 【七飯】町は20日から27日まで、初となる町税の全庁一斉直接徴収を行う。12月を納税推進強調月間と定め、滞納整理態勢を強化。全管理職20人と徴収業務に従事した経験のある職員を合わせ、延べ36班72人態勢を組み、町税や公営住宅使用料などの料金滞納者約600世帯を訪問し、早期納付を呼び掛ける。

 町は9月に馬場修一副町長を本部長とする「町債権回収特別対策本部」を設置。税や各種料金の滞納者からの債権回収態勢を強化し、給与や動産の差し押さえ、裁判所を通じた支払督促などを実施している。

 本年度の町税収入状況は11月末現在で、調定額約25億2500万円に対し、収入額は約18億300万円。収納率は前年同期比0.5%増の71.4%となっている。本年度の収入未済額と過年度の滞納額を合わせると、約9億4800万円に上るという。

 管理職のみで行った昨年の直接徴収では、270件から730万円の納付があった。訪問先では、その場での納付を求めるほか、納付が困難な場合には計画的な納付誓約を結ぶ。

 また、悪質滞納者50件以上に対し、強制捜索の予告書を送付。順次、動産の差し押さえを実施している。押収品は1月にインターネットオークションにかけて、売却益を未収分に充当する。

 町税務課では「財政健全化には税収の確保が不可欠。公平負担の観点からも、広く町の取り組み姿勢を訴えたい」としている。(今井正一) 



「乾杯」「ご苦労さま」忘年会ピーク 

 「1年間ご苦労さま」「乾杯」。師走も後半に差し掛かり、函館市内の飲食店では、職場やサークルなどの忘年会がピークを迎えた。1年の労を互いにねぎらおうと、来店客がにぎやかに杯を交わしている。

 活魚海鮮料理や季節の一品料理が自慢の「よし庵」(函館市亀田町17、吉田保店長)では、12月になって連日、団体客の予約が入り、この時期はいつもの月の1・5倍ほどの予約件数という。吉田店主ら従業員は開店時間の4時間ほど前から料理の仕込みに取り掛かり、客を迎える準備を進めている。

 同店では、個室のほか20人程度を収容できる広間もあり、団体客用の宴会は新鮮な魚介類や鍋料理などをそろえ、5000円(飲み放題付)から受け付ける。「最近は少人数での予約が多い」と吉田店主。

 17日夜、職場の同僚ら8人で忘年会を開いた会社員瀬川能由さん(37)は「今年最後を締めくくる飲み会なので楽しみたい。来年も先輩や後輩とともに一致団結して仕事を頑張ります」と、ジョッキ片手に飛躍を誓っていた。  (鈴木 潤) 


「たつみ食堂」無休営業連続6000日達成 

 函館市東川町6の「たつみ食堂」(店主・山田征勝さん)が30日、無休営業連続6000日を達成する。これまでの節目の日には、お客への感謝の気持ちを込めて毎回さまざまな企画を用意してきたが、年末に当たるのは初めて。記念の6000日を目前に、山田さん(69)は高まる気持ちを抑えながら準備を進めている。

 同店の開店は1973年7月。93年に一時休業したものの、翌94年7月の再開以来無休で営業を続ける。開業当初はラーメンのみ提供していたが「お客さんはいろいろなものを食べたいはず」とメニューを研究。現在は定食やどんぶりなど幅広い種類を備え、ボリューム満点なことでも知られている。なかでも有名なのが鶏の半身を揚げた「ジャンボとり定食」。男性に人気で、テレビや雑誌で見たと遠方から食べに来る人もいるという。

 店は開業時から手伝う姉の内田ミネさん(75)や、3女の拓美さん(28)らと一緒に切り盛り。「唐揚定食ひとつちょうだい」「今日の日替わりメニューはなに」。カウンターと小上がり2つのこぢんまりとした店内に、おなかをすかせた客の声が毎日飛び交う。

 「本音を言えば、休みたいと思う日もある。でも、ここまで毎日続けて来られたのは、お客さんの喜ぶ姿と近くで支えてくれている従業員のおかげ。約2年後の6666日を目指して頑張りたい」と山田さん。

 30日は「塩ラーメン」(通常500円)が60円で食べられる金券を限定100枚配る。配布時間は午前11時から午後3時で、無くなり次第終了。金券は来年1月10日から2月10日まで有効。問い合わせは電話0138-22-1310。(堀内法子)  


【北海道新幹線・新青森駅開業に学ぶ(上)】効果絶大 連日にぎわう 

 「艱難(かんなん)辛苦の日々を思うと、感慨無量の思いがある」。4日早朝、新青森駅の新幹線ホーム。三村申吾青森県知事は出発式で国の基本計画決定から開業までの38年をこう表現した。県民の悲願だった東北新幹線全線開業。知事は「ハード面では一つのゴールだが、これからが新たなる青森の前進、元気づくりのスタート」と新時代の幕開けを告げた。

 開業初日。底冷えする寒さの中、県内では各地で開業イベントや関連施設のオープンなどが目白押しで、まち全体が祝賀ムード一色に包まれた。青森駅前で開かれたディズニーキャラクターのパレードを見物した女子高生(17)は「ねぶたの時より人が多いし」とはしゃいだ。

 青森駅前には複合商業施設「A—FACTORY(エーファクトリー)」がオープン。県特産品約1000種類のほか、飲食店が並び、県産リンゴを炭酸飲料などに加工する工房も備える。4日の開業から連日、市民や観光客でにぎわい、当初予想の1・5倍に当たる一日平均約2000人が訪れる人気だ。

 施設を運営するJR東日本青森商業開発の平岡和也店長(36)は「予想以上に地元の方の来店も多く、土日に集中する観光客とうまくすみ分けができている。やはり新幹線効果は絶大」と手応えを語る。年明けには施設向かいに青森ねぶたを通年展示する文化観光交流施設「ねぶたの家ワ・ラッセ」も開業予定で、中心市街地に新たな動線が生まれている。

 新青森駅は2015年度に開業する北海道新幹線新函館駅(仮称)と直結する。函館側も「第一の開業」と位置づける新青森開業を好機に、今年9月から「近くなる函館」をキーワードにしたキャンペーンを展開。狙いは羽田空港まで不便な北関東、函館と結ぶ空路のない南東北。これまで誘致の空白地帯だった。  各地に遠征した市ブランド推進課の大泉潤主査(44)は「函館の認知度やブランド力は全国でも通用すると肌で感じた。あとは青森の隣が函館という発想をいかに持ってもらうか」と強調する。百貨店での北海道物産展や主要駅などでパンフレットや特産品を配り、近づく青森のもう一歩先≠売り込んだ。

 JR東日本が発表した開業1週間(4—10日)の新幹線の利用実績によると、新区間の新青森—八戸間の一日の平均利用者は6500人で、特急列車だった前年と比べて16%増。だが、乗車率では一日平均23%。函館—新青森間を結ぶ特急「白鳥」「スーパー白鳥」の乗客数も前年の6%増にとどまった。  開業翌日の5日、新青森駅前で客待ちしていたタクシーの運転手(55)からは嘆き節も聞かれた。「きのう(4日)はいつもの2・5倍。きょうは新幹線が着いても流れるのは5、6台。新幹線が来るってこんなもんかよ」(森健太郎)

                 = ◇ =

 通年企画の第3部では、東北新幹線全線開業で悲願に沸く現地の様子を踏まえ、5年後に迫る函館延伸に向け、教訓や課題となる開業効果や駅前開発の実態を探り、新幹線を生かしたまちづくりの将来像について考えます。