2010年12月21日 (火) 掲載

「中島れんばいふれあいセンター」オープン

 NPO法人日本障害者・高齢者生活支援機構(能登正勝理事長)が空き店舗を利用し、整備していた交流施設「中島れんばいふれあいセンター」が20日、函館市中島町の中島廉売内にオープンした。オープニングセレモニーが行われ、関係者らが完成を祝った。

 同機構が進める「中島れんばい『街』活性化プロジェクト」の事業の一環として開所した施設で、施設の整備は、障害者の就労を支援する道の地域活性化モデル事業の認定を受けて行われた。

 ふれあいセンターは木造2階建ての約490平方メートル。1階部分はミニコンサートやイベントなどができるフリースペースを開設したほか、同機構の事務所や、同機構が運営する障害者就労支援の作業所なども入居する。

 子供から高齢者まで誰もが気軽に立ち寄れる施設として開放し、同廉売の製品の売り場スペースなども設ける考えだ。2年ほど前から毎月第4週の金曜、土曜に開催している「れんばい横丁」もふれあいセンターで開催する。

 セレモニーには、同機構や中島廉売の関係者、地域住民ら約100人が出席。能登理事長が式辞を述べた後、渡島島総合振興局の寺山朗局長が「ふれあいセンターの利活用によって地域福祉の向上、地域交流の促進、中島廉売の振興を期待している」と祝辞を述べた。次いで、テープカットが行われ、来場者は出来たばかりの施設を見学した。

 能登理事長は「皆さんの力添えのおかげできょうの日を迎えることができた。多くの人に利用してもらえるようネットワークを広げ、環境整備に努めていきたい」と話した。(鈴木 潤)



未来大に医学部設置「理にかなう」、懇話会が報告書

 【東京】函館市が公立はこだて未来大学への医学部設置を模索していることに関し、医学部設置検討懇話会(会長・今井浩三東大医科学研究所附属病院長、委員10人)は20日、西尾正範市長に報告書を提出した。7、10月に行った審議内容を踏まえ、設置の意義について「道央から約250キロ以上離れている函館市に作ることは理にかなっている」とし、医療都市としての発展が見込めるとしている。

 同日、西尾市長が東京の東大医科学研究所を訪れ、今井会長から提出を受けた。

 報告書では、国の動向や医師不足への対応策、設置する場合に持つべき機能や特色について議論した経過を踏まえ、「道内の既存3医大がカバーする、医療過疎地域に勤務する医師の負担軽減につながる。特に渡島・桧山の地域医療充実に寄与できる」と設置の意義を強調。

 未来大と市立病院、市内医療機関の有効活用でコストを抑えて新設することも「道南にとって有益で、可能性がある」とし、空港の近さや5年後に北海道新幹線開業を控える点から、医療都市としての発展に加え「温泉を活用し、福祉とつながる観光のまちとして、単に医学部ができるのとは異なる活性化が期待できる」ととらえている。

 持つべき機能や特色、設置への課題として、患者中心の全人的医療に向けた人材養成を中心に挙げたほか、教養教育の充実とともに臨床実習を強化するよう提言。また、教員確保策については「既存大学からの流出で地域医療を担う医師を再配置しなくてはならず、地域の医師不足が危惧される」とし、国際的な視野での確保を求めた。

 初期投資で77億円、年間13—22億円(市試算)とされる財政負担については、市立病院が附属病院としての機能を果たすことで軽減できるとし、学生定員を1学年60人か80人とするかに関しては「負担が少なければ80人を選ぶ方法もある」と提言している。

 市は報告書に加え、早ければ年内にも示される民間シンクタンクからの調査報告書、さらに国が22日に設置する「医学部入学定員の在り方に関する検討会」などの議論内容を踏まえ、調査を深める方針。市計画調整課は「前向きに検討する要素がある。設置する場合に教育理念や目標を考える上で、参考にしたい」と話している。(千葉卓陽)



海炭市叙景、東京で盛況

 函館から誕生した市民映画「海炭市叙景」の主要都市での公開が、全国7カ所の映画館で始まった。東京・渋谷のユーロスペースでは初日の18日、4回の上映で400人を超える観客が来場し、回によっては立ち見が出るほどの人気ぶり。主要キャストの加瀬亮さん、南果歩さんら7人による舞台あいさつも行われ、会場は終日「海炭市」一色となった。

 この日、上映が開始されたのは東京のほか、川崎、横浜、福岡、札幌、帯広、苫小牧。中でも一番の集客率となったユーロスペースによると、1日4回の上映のうち、1、2回目は、用意された144席がすべて埋まり、立ち見客が20人ほど出る状況だったといい、中には公開の数時間前から並ぶ人たちの姿もあったという。

 1回目の終了後と、2回目の前に行われた舞台あいさつでは、出演者が来場者への感謝の言葉とともに、撮影期間を振り返った。加瀬さんは市民キャストとの交流も多かった撮影現場を「とてもおもしろかった」と回想。南さんも「ロケ弁は飽きてしまうことが多いが、市民スタッフの方が毎回温かいお弁当を出してくれるのが楽しみだった」と話していた。病欠のため、熊切和嘉監督は「映画製作の実現は奇跡。自分自身の転機となった作品に思いをはせていただけたら」とコメントを寄せた。

 同映画館にも足を運んだ、同映画製作実行委の菅原和博委員長は「映画の公開を待ち望んでいる人の多さを実感した。改めて小説の力を感じ、感激しました」と喜びを語った。(小杉貴洋)


高陽市で口蹄疫発生、24日の姉妹提携延期

 函館市は20日、今月24日に予定していた韓国・高陽(コヤン)市との姉妹都市提携調印を延期すると発表した。高陽市内の牛農家で家畜伝染病の口蹄疫(こうていえき)発生が確認され、崔星(チェ・ソン)市長らが来函できなくなったため。市は調印式の日程を未定とする一方、「調印する方針に変わりはない」としている。

 市などによると、高陽市内の牛農家1戸で20日、口蹄疫の陽性反応が確認された。市には19日夜、同市から「口蹄疫発生の疑いがあり、崔市長らが対応に当たるため来函できない」旨の電話連絡があった。

 韓国国内では今月、各地で口蹄疫が相次いで発生。高陽市が位置する京畿(キョンギ)道でも今月15日に3カ所で牛、豚に発生するなどまん延している。

 市は当初、崔市長ら関係者14人が23日に来函し、24日午前11時半から函館国際ホテルで調印式、その後記念祝賀会や、はこだてクリスマスファンタジーの点灯式参加などを予定していた。市の平沢輝茂企画部次長は会見で「事情が事情なので仕方がない。対応を優先していただくことが大事」と話し、今後両市間で情報共有しながら、具体的な調印時期を決めるとした。

 市は延期決定を受け、市内の公共施設などで掲示を進めていたPRポスターの掲示を中止し、国際課職員らが対応に追われた。ポスターは600枚印刷し、24日の調印を明示していただけに、同課は「日にちを上から貼り直すか、新たに作り直すか検討したい」としている。

 また、24日午後2時から同ホテルで函館空港振興協議会が開く「韓国観光フェア」は予定通り実施。ラジオDJによるトークショーや、高陽の紹介ビデオ上映などを行う。市が来年1、2月に市役所と中央図書館で予定する提携記念展示も行う方針。(千葉卓陽)


西中、リングプル集め初めて車いす寄贈

 函館西中学校(信夫恵美子校長、生徒112人)は20日、ボランティア活動でリングプルを集めて初めて交換した車いすを、函館市日乃出町の救護施設明和園に寄贈した。贈呈式で生徒会長の橋本花那さん(2年)は、「多くの人の協力のおかげで交換できました。これからもお願いします」と全校生徒に呼びかけた。

 同校は2003年から空き缶のリングプル回収をスタート。地域住民や商店の協力を得て、ことし9月には510キロに達し、初めて車いすと交換した。明和園とは日ごろから交流があり、この日同校で開いた贈呈式には本田英孝園長をはじめ利用者も出席した。

 信夫校長は「人の役に立ちたいという尊い思い、自分たちにできることを長い年月をかけてやってきたことが大きな結果につながりました」と話し、生徒の努力をたたえた。車いすを受け取った本田園長は「優しさのこもった車いすをいただきました。大切に使わせていただきます」とお礼の気持ちを伝えた。(小泉まや)