2010年12月30日 (木) 掲載

真心おせち届け20年

 【知内】地域でボランティア活動を行う「知内町婦人赤十字奉仕団」(敦沢良子委員長)は29日、町内の一人暮らしの高齢者に届けるおせち作りを行った。この取り組みは20年間続く年の瀬恒例の行事で、高齢者らも毎年届けられる心のこもった料理を楽しみにしている。敦沢委員長(67)は「みなさんの喜ぶ顔が励みになってこれまで続けることができた」と話している。30日に各家庭に配る予定だ。

 同団は災害発生時に備え、炊き出し訓練や講習会などを定期的に開催しているほか、夏は海岸清掃を行うなど多彩な活動を展開している。おせちを届ける活動は、一人暮らしの高齢者に、手料理で新年を迎えてもらいたいと考え、20年前から始まった。

 この日は朝早くから町中央公民館に集まり準備を開始。メンバー9人が腕をふるって24人分を調理した。メニューは、うま煮やきんぴら、なます、ゆでたエビ、数の子、かまぼこ、コンブ巻きなど全部で16品。正月らしい、彩り豊かで豪華な料理が完成し、折り詰めに盛りつけていった。配るおせちには「風邪をひかないように注意し、良い年をお迎えください」とメッセージも添えた。

 敦沢委員長は「一人暮らしのお年寄りは毎年、楽しみに待っていてくれるので、作りがいがある」と話す。鳴海美江子副委員長(73)は「メンバーが高齢化していているので、若い人に奉仕団に加入してもらい、この活動をしっかりと引き継いでもらいたい」と話していた。(松宮一郎)



餌付け自粛呼び掛け 大沼白鳥台セバット

 【七飯】全国で野鳥などの死がいから高病原性鳥インフルエンザが検出されたのを受け、道や関係機関は対策を強化している。渡島総合振興局は野鳥の死がいや異常を発見した際の連絡、相談窓口を設置しているほか、職員の巡視強化を図る。ハクチョウの越冬地、大沼国定公園の関係者も「全国的な問題を重く受け止め、餌づけなどを自粛していかなければならない。観光客らにも理解してもらいたい」と協力を呼び掛けている。

 一連の問題で道は、農場の衛生管理の徹底や飼育する鳥の大量死などがあった場合の早期届け出を呼び掛け。同振興局は、11月11日に七飯町の町内会や観光機関などにチラシを配り、冷静な対応と協力を求めた。  ハクチョウの飛来地でも意識に変化が出ている。大沼国定公園の大沼と小沼の境界にある水鳥観察場所「白鳥台セバット」は、越冬時期になるとハクチョウへの餌やりで観光客が押し寄せる人気名所。年内はスロープ設置工事中で、年明けには開放される予定だが「餌の手渡しを自粛しなければ」と関係者。

 道は従来から、生態系維持を目的に野生動物への餌づけを禁止とする。しかし、大沼・白鳥台セバットは、ワカサギ釣りと肩を並べる冬場観光の目玉だ。

 同振興局保健環境部は「自然界の動物を守る上で餌づけ禁止は原則だが、地域振興としての役割も重視しなければならない。繊細な問題で、観光客を含め関係者一丸で柔軟に課題解決を探る必要がある」とする。

 七飯大沼国際観光コンベンション協会は「長年続いた餌づけで鳥たちが集まり、観光客も楽しみにしている。今すぐに餌やりを止めるのではなく、徐々に量を少なくしていきたい」。七飯町からの依頼で白鳥台セバットに餌やりをする、自然公園財団大沼支部は「悩む問題。人の手から直接餌づけをせずに、我々が餌を置いた形でハクチョウやカモなどの姿を楽しんでもらえれば」と解決策を探る。

 道によると、高病原性鳥インフルエンザウイルスは、鳥との濃密な接触などの特殊な場合以外、人に感染しないという。また、鳥の排泄物に触れた後には手洗いやうがいをし「過度に心配する必要はなく、冷静な行動をお願いしたい」としている。 (田中陽介)



13人の所在確認できず 高齢者不明

 全国各地で今夏、100歳以上の高齢者が行方不明になった問題を受け、函館市が市内に住む75歳以上の高齢者の居住調査を行ったところ、13人の所在不明者がいることが分かり、29日までに道に報告した。親族が住む場所に身を寄せている場合なども想定されるため、市は今後、親族への照会などを行って不明者の実態把握に努める方針だ。

 市は今年8月、市内に住む100歳や100歳以上の高齢者132人全員の所在を確認。その後、道から住民基本台帳法に基づく確認報告を求められたことを受け、10月中旬から今月にかけ、今年4月末現在で住民登録がある75歳以上の高齢者3万7269人を対象に調査を行った。

 後期高齢者医療制度の給付情報の有無や介護保険の認定状況、それに福祉サービスの利用実績など、5項目で事前に絞り込みを行った結果、市はいずれの項目にも該当しなかった421人について民生委員に調査を依頼。民生委員が408人の所在を確認した一方、13人の実態調査が必要とした。

 所在不明の要因として、市戸籍住民課は「親族の居住地に身を寄せて一時的に市内を離れているケースや、民生委員も生活の合間を縫って調べているため、調査状況にばらつきがある場合も考えられる」と分析する。

 今後は福祉部と市民部合同で現地調査や親族照会を行った後、最終的に所在不明と判明した場合には、法に基づき職権で住民登録を抹消する考え。同課は「親族から回答を得るまで半年かかる場合もあり、慎重に対応する必要がある」と話している。 (千葉卓陽)


自由市場にぎわう 正月用食材求め

 年の瀬も押し迫り、函館市新川町1の「はこだて自由市場」では、刺し身など正月用の食材を求める市民らでにぎわっている。「安いぞ」「買ってけ買ってけ」などと活気のある声が市場に飛び交い、熱気にあふれている。

 29日の同市場は終日混雑。マグロやエビ、ホタテ、ヒラメなど道南近海で水揚げされた10種類の活魚を並べる「中梶鮮魚店」(中梶裕司店長)は、みそ漬けした自家製の銀ダラ(1切れ350円)が人気といい、大勢の市民が品定めしていた。中梶店長は「要望に応じた刺し身の盛り合わせも注文が多い。30、31日はもっと忙しくなるぞ」と汗を拭っていた。

 買い物に来ていた川村三千代さん(63)は「お土産用のシャケと仏壇用の花を買いました。気持ちよく新年を迎えたいですね」と話していた。  同市場協同組合(前直幸理事長)によると、30、31の両日がピーク。市場は午前8時−午後5時半の営業だが、商品が完売し次第店を閉めるという。(長内 健)