2010年12月4日 (土) 掲載

◎新青森駅—八戸駅きょう開業

 【青森】東北新幹線は4日、八戸駅—新青森駅間81・2キロが開業し、1972年の整備計画決定から38年で、ついに全線が開通する。青森市内では3日、祝賀行事の実施に向け、新青森駅を中心に準備作業が進められた。

 新青森駅では、4日午前6時31分に一番列車「はやて12号」が出発し、東京—新青森間を最速3時間20分で結ぶ。函館までの特急「スーパー白鳥」「白鳥」は4日から運行区間が函館—新青森間に変更され、全列車が新幹線に接続。函館—東京間は最速5時間44分となり、14分短縮される。

 青森市内で4日正午から開かれる開業記念祝賀会には、高橋はるみ知事や西尾正範函館市長ら本道関係者も出席。2015年度の北海道新幹線新函館駅(仮称)の開業をPRする。新青森駅前では同日から記念イベント「うまし たのし 青森正直市」が開かれ、道南からも北海道新幹線新函館開業対策推進機構や各自治体、食品業者らが出店する。

 新青森駅では3日夜、開業セレモニーのリハーサルが行われ、くす玉を割るタイミングなど入念なチェックが行われた。現青森駅前でもJR東日本が建設した物販施設「A—FACTORY」の内覧会が開かれ、三村申吾青森県知事ら多くの関係者が訪れていた。

 正直市に出店する上ノ国町の海産物業者「食彩工房」の佐藤武人代表(55)は3日早朝に青森入りし、出店ブースにホッケのみりん干しやスケソウダラなど約25種類の商品を並べる作業に追われた。佐藤代表は「新青森開業で関東からもたくさんのお客さんが来る。少しでも道南に足を運んでもらえれば」と、開業効果に期待していた。(千葉卓陽)



◎函館でも高まる歓迎ムード

 4日の新幹線新青森駅開業を前に、JR函館駅や駅前商店街などにも大型看板や小型幕が掲示され、歓迎ムードが高まっている。

 道新幹線新函館開業対策推進機構などは3日、JR函館駅前の和光ビル(若松町20)の壁面に「祝 東北新幹線新青森駅開業おめでとう!」と書かれた長さ15メートル、幅1・2メートルの巨大な看板を設置。また同駅前の大門商店街のアーケードには、新幹線のイラストと「祝! 東北新幹線全線開業 ようこそ函館・大門商店街」と書かれた小型幕50枚が飾られた。中国語と英語も併記され、海外からの観光客にも対応している。また、同駅前の棒二森屋(若松町17)本館地下催事場では、4、5両日の午後1時から、八戸名物「せんべい汁」を100食限定で無料提供するなど、各種イベントも用意している。

 一方、同駅内の商業施設「PIAPO(ピアポ)」では4日から31日まで新幹線開業記念キャンペーンとして、各テナントが特別メニューを販売する。主な商品は、ダイニングレストラン「和華」が函館のイクラとホッキ、青森のホタテをコラボした「活々(イキイキ)青函丼」(980円)、立ち飲み屋「ヴォン・ヴィアッジョ」が「酎ハイ・ハイボール124分飲み放題」(1240円)、「キングベーク」がスルメとパンを組み合わせた「キングのいかポン」(200円)など。このほか、キヨスクでは1000円以上の購入で三角くじ引きのサービスなども行われる。(小川俊之)

 



◎イルミナシオン映画祭開幕

 「第16回函館港イルミナシオン映画祭」(実行委主催)が3日、函館市末広町の金森ホールで開幕した。この日は悪天候のため、函館山山頂クレモナホールの上映を取りやめ、すべて金森ホールで上映された。

 今年のオープニング作品は「BOX袴田事件 命とは」。1966年に静岡県で発生した強盗殺人事件「袴田事件」に迫った映画で、上映後には同映画の高橋伴明監督が登場。高橋監督は「事件を知ったのは17才の時。以来、人が人を裁くということの難しさについて考えてきた」と語った。来場者から「私たちが今できることは」と尋ねられた高橋監督は「冤罪(えんざい)を訴え、再審請求がされている。今後も行方を見つめ、裁くことや冤罪について自らの考えを持つことが大切」と話した。函館市の50代の主婦は「実際の事件を描いた作品なので、興味があり訪れた。司法の難しいテーマだったが裁判員制度について改めて考えさせられた」と真剣な面持ちだった。

 上映後は開会式としてシナリオ大賞の表彰式が行われた。グランプリの函館市長賞は渡邊由香さん、準グランプリは中村公彦さん、審査員奨励賞は澤田サンダーさんが選ばれ、表彰を受けた。渡邊さんには賞金の300万円が贈呈されたほか、3人全員に箱入りの鮭が贈られた。これには受賞作が今後映像化され、函館に帰って@るようにと願掛けの意味が込められている。すでに映画化が決定している渡邊さんは「自分が伝えたいと思っていることが映像化されることを心からうれしく思う」とにこやかにあいさつした。

 その後、オープニングパーティーでは同映画祭のあがた森魚プロデューサーのミニコンサートなどが行われ、開幕の喜びと最終までの成功を祈って楽しいひと時を過ごした。

 同映画祭は4、5日市内3カ所で開催する。(堀内法子)


◎道南も大荒れ

 3日の本道は、日本海北部と三陸沖から低気圧が発達しながら北上した影響で、道南でも暴風雨の大荒れの天気となった。函館海洋気象台によると、函館空港で最大瞬間風速27・8メートル、函館市美原で同25・6メートル、奥尻町で同23・0メートルを観測した。気温も上がり、八雲町熊石で最高気温が12月として最高の14・3度、函館市美原は14・1度となり、各地で10月中旬から11月上旬の高さとなった。

 強風の影響で、函館市内では自転車に乗っていた女性が風にあおられて転倒し、骨折が疑われるけがを負い、救急車で病院に搬送された。交通機関はしけの影響で、津軽海峡フェリーの函館─大間便の2往復4便を欠航し、約40人に影響した。函館山ロープウエイは強風のため、午前10時の始発から午後3時50分ごろまで運転を見合わせた。

 市内では傘を必死に押さえながら歩く人が多く見られ、JR函館駅前を歩いていた室蘭市の女性は「まるで台風。思うように歩けず、飛ばされるかと思った」と話していた。

 同気象台によると、4日は渡島西部と桧山で風が非常に強くなり、海は同日夜遅くまで大しけとなる見込み。暴風や突風、高波に警戒を呼び掛けている。


◎函館看護専門学校1年生47人決意 新たに

 函館看護専門学校(学生130人、館山圭子校長)の決意式が3日、同校で開かれた。1年生47人が、実習で学んだことを発表。キャンドルサービスを行ってナイチンゲール誓詞を唱え、看護師になるための決意を新たにした。

 1年生は7月と10月に2週間の実習を病院で行ってきた。決意の言葉の発表は代表の学生が行い、この中で沢田ひかりさんは「患者さんとコミュニケーションを取りながら、必要な援助について考えることが大切だと知った」などと話した。

 館山校長は「看護は実践の連続といわれる。最も大切にしてほしいのは目の前にいる患者の姿。今日の決意を胸に刻み、全力で取り組んでほしい」と述べた。2年生の久保弥生さんは在校生からの励ましの言葉として、「看護学生であることを意識し、広い視野で求められる援助について考えて」と激励した。

 実習先の病院からは花束が贈られ、キャンドルサービスでは全員がろうそくに炎をともしてステージに登壇し、看護師を目指す決意を新たにした。(小泉まや)