2010年12月5日 (日) 掲載

◎東北新幹線が全線開通、新青森―八戸開業

 【青森】東北新幹線の八戸―新青森駅間(81.2kキロ)が4日開業した。盛岡以北の基本計画決定から38年を経て、東京―新青森間(675キロ)が全面開通。強風と寒さの中、新青森駅などでは待ちに待った新幹線を歓迎しようと多彩な行事が行われるとともに、道内の自治体首長ら関係者多数も記念式典に参列。2015年度の北海道新幹線新函館駅(仮称)開業や、札幌延伸への期待を膨らませた。

 東京行きの一番列車「はやて12号」は午前6時31分、鹿内博青森市長の発声による万歳三唱とともに新青森駅を出発した。

 出発式にはJR東日本の清野智社長や馬淵澄夫国土交通相、三村申吾青森県知事、鉄道建設・運輸施設整備支援機構の石川裕己理事長ら約100人が出席。清野社長は「東北6県の県庁所在地が、すべて新幹線で結ばれることは意義深い。首都圏から多くの人に来ていただけるよう知恵を絞り、北海道への乗り継ぎにも万全を期したい」とあいさつ。馬淵国交相は「新たな開業で観光や経済などの大きな起爆剤になると信じている」と述べた。

 また、市内のホテルでは正午から全線しゅん功開業式と祝賀会(実行委主催)が開かれ、約800人が悲願の全線開業を祝った。

 東北新幹線の延伸は2002年の盛岡―八戸間以来。今回の開業では新青森―八戸間に七戸十和田駅も新設された。新青森―東京間は最速3時間20分で結ばれ、来年3月5日には新型車両「はやぶさ」も投入される。函館―八戸間を結んでいた特急「スーパー白鳥」「白鳥」は4日から函館―新青森間での運行となり、全列車が新幹線に接続。函館―東京間は最速5時間44分となり、14分短縮される。

 また、新青森開業に伴い、東北線の青森―八戸間はJR東日本から経営分離され、第3セクター「青い森鉄道」による運行が始まった。総距離は121・9`で、第3セクターでは全国一長い路線となった。

 一方、悪天候の影響で午前11時20分ごろから福島―郡山間で運転を見合わせたのを皮切りに、一時全線で運転を見合わせるなどした。(千葉卓陽)

 ◆東北新幹線 1971(昭和46)年に東京―盛岡間、72(同47)年に盛岡―青森間の基本計画が決定。1982年6月に大宮―盛岡間、85年3月に上野―大宮間、91年6月に東京―上野間、02年12月に盛岡―八戸間がそれぞれ開業した。八戸―新青森間は98年3月に着工し、総工費4590億円。おおむね12年間とされていた建設期間を2年前倒しして全線開業した。



◎新青森駅前で道南の魅力発信

 【青森】新幹線開業に沸く新青森駅前では4日早朝から、特設テント内での産直市イベント「うまし たのし 青森正直市」が開幕し、会場は大勢の市民や観光客らでにぎわった。5年後の函館延伸を見据え、道南からも海産物やスイーツなどの食品業者らが出店。ステージでは西尾正範函館市長やイカール星人が積極的に道南の魅力を売り込んだ。

 【青森】新幹線開業に沸く新青森駅前では4日早朝から、特設テント内での産直市イベント「うまし たのし 青森正直市」が開幕し、会場は大勢の市民や観光客らでにぎわった。5年後の函館延伸を見据え、道南からも海産物やスイーツなどの食品業者らが出店。ステージでは西尾正範函館市長やイカール星人が積極的に道南の魅力を売り込んだ。

 青森正直市には青森県内を中心に26社・団体が出店。このうち道南からは海産物加工の「食彩工房」(上ノ国町)、菓子販売の「函館スイーツアンテナショップ」(函館市)、「函館バスラーメン」(同)の3社・団体がブースを設け、各店自慢の商品は来場者の注目を集めていた。

 食彩工房では、サケトバやホッケのみりん干しなどを天井からつり下げて陳列。物珍しさもあって試食後にまとめ買いする客の姿も多く、佐藤武人代表は「青森の食文化は函館に近い感覚で、初日から手応えを感じる。今回は商売よりも道南の隠れた逸品を広くPRする好機にしたい」と意気込んでいた。

 函館スイーツも函館市内・近郊の8社の和洋菓子23種を販売し、試食して品定めする客の姿が目立った。来場した青森市石江の主婦(60)は「函館はおいしいものが豊富で、青森よりも見どころも多い。青函の行き来が増えれば両方のまちとも活気づくはず」と話していた。

 一方、ステージでは西尾市長が祝福とPRのため登壇し、「5年後の北海道新幹線開業で青函にはもっと交流や喜びが生まれるはず。北海道と東北が一緒になって北の日本を元気にしよう」とあいさつ。鹿内博青森市長も「新幹線開業で札幌と仙台の間の青函は合わせて140万人の生活圏、文化圏になる。新幹線でつながって一緒に頑張ろう」と協力関係を強調した。

 このほか、ミスはこだてやイカール星人が正直市の来場客に函館特産のスルメイカやコンブと観光PR冊子400セットを無料配布。ミスはこだての小川舞子さんは「函館への関心の高さや予想以上に興味を持ってくれていることに驚いた。新幹線でより近くなった函館へ多くの人に足を運んでもらいたい」と話した。(森健太郎)



◎函館駅でも記念イベント

 東北新幹線が全線開通した4日、JR函館駅でも特急「白鳥」と「スーパー白鳥」を乗り継いで新幹線を利用する旅行客の出入りが活発化した。地元自治体や観光関係者らによる出発式やお出迎えイベントも行われ、駅内は終日歓迎ムードに包まれた。  函館発新青森行きの一番列車として東北新幹線と最初に接続する「スーパー白鳥20号」(午前7時24分)の出発式が、同7時ごろから6番ホームで行われた。

 式には寺山朗渡島総合振興局長、小柏忠久函館市副市長、寺坂伊佐夫みなみ北海道観光推進協議会会長、吉田明彦函館国際観光コンベンション協会専務理事が出席。寺山局長は「新幹線を通じて東北や北関東からの新たな観光需要が生まれることで、道南地域が北海道の経済の起爆剤になることを期待したい」とあいさつした。

 続いて記念のくす玉が割られると、関係者や見学に訪れた一般市民から大きな拍手が起こった。ミスはこだての高橋千尋さんから運転士と車掌へ花束が贈呈された後、地元のマーチングバンド「マキシマム」の勇壮な生演奏をバックに、列車は新幹線「はやて20号」が待つ新青森へ向けて旅立っていった。

 この日は、東北新幹線から特急を乗り継ぎ函館入りする旅行客を迎えるお出迎えイベントも行われた。

 盛岡発の新幹線「はやて93号」に接続した特急「白鳥93」は、定刻通り同10時26分に函館駅到着。改札出口にはイカール星人(函館市)やうにまる(奥尻町)、カールス君(鹿部町)などの道南地域の人気ご当地キャラクターが集合。旅行客にJR職員や観光関係者らとともに、道南特産のさきいかや観光パンフレットなどを配布してPRした。

 函館市内の親族の法事のため、東京発午前6時28分発の東北新幹線はやて11号に乗り、新青森駅からスーパー白鳥11号で函館入りした横浜市の会社員、木村保昭さん(55)は「今日は東北新幹線開業日とあり、座席予約が大変だったが楽しみだった。まだ函館までは長旅という感じですね」と話していた。埼玉県川口市の主婦、秋元華那美さん(21)は「鉄道ファンとしてぜひ(東京発の)1番列車に乗って函館に来たかった。イカを食べ、クリスマスファンタジーや夜景を楽しみたい」と話していた。(小川俊之、山崎純一)


◎オンパク開幕、おせち料理作り体験

 湯の川温泉街を舞台にした体験型イベント「第6回はこだて湯の川温泉泊覧会(オンパク)」(実行委主催)が4日、開幕した。初日は4プログラムを実施。温泉地ならではのゆったりした空間の中で、楽しみながらチャレンジする参加者の姿がみられた。

 湯の川プリンスホテル松風苑(湯川町1)では、おせち料理のコツを学ぶ「料理教室in松風苑」が開かれた。同ホテルの料理長・田原日出旗さんが講師を務め、50代から60代の主婦12人が参加した。

 田原さんは煮物や黒豆、紅白なますなど、おせちの定番料理を実演しながら丁寧に説明。「サツマイモはフードプロセッサーを使うより、裏ごししたほうが繊維が取り除かれ口当たりがよくなる」「黒豆は2、3日じっくり煮込んで初めて味がしみ込みやすくなる。水分が減った場合は、水ではなくお湯を足すこと」など、料理人ならではのきめ細かいアドバイスを行っていた。

 市内鱒川町から参加した所恵子さん(60)は「これまで家庭でおせちを作ったことはなかったが、田原料理長の説明を聞いて自分もできるような気がしてきた。頑張って挑戦したい」と話していた。

 オンパクは12日まで、39のプログラムが予定されている。12日午前11時から湯の浜ホテル(湯川町1)で開かれる「温泉スリッパ卓球」など、現在も予約受付中のプログラムもある。問い合わせは同事務局TEL0138-36-2333。(小川俊之)


◎椴法華小創立130周年、児童らもちつきばやしで祝う

 函館椴法華小学校(古川邦彦校長、児童46人)の創立130周年を祝う集会が、4日に同校で開催された。校歌を歌い、児童がお祝いメッセージを発表。もちつきばやしや保護者参加のもちつきを行い、最後は皆で味わって同校の末永い繁栄を願った。

 同校は明治13(1880)年4月5日に椴法華簡易小学校として開校し、これまでに約4600人の卒業生を送り出している。古川校長は、開校当時や空襲で校舎を焼失した過去を振り返り、「これから皆さんのきょうだいや子どもたちも通うかもしれない。椴法華小がいつまでも元気でこれから先も長く続くことを願って今日はお祝いしてください」と語りかけた。

 児童の発表は、5、6年生が「写真でふり返る130年」と題して、最初の卒業生や学芸会、遠足、以前の校舎などを写真で紹介。「ぼくたちも130年の歴史に負けないようにがんばります」とした。1―3年生はお祝いメッセージとして、全員で元気に「お誕生日おめでとうございます」と学校にお祝いの言葉を贈った。

 4年生のもちつきばやしでは、そろいの衣装に小ぶりのきねを持った児童が登場。太鼓やおはやしに合わせて、もちをついた。足踏みをそろえて拍子をとり、きねを器用に回す児童に、大きな拍手が送られた。式典には保護者や来賓ら約35人が参加。終了後には、保護者の協力でもちをつき、雑煮やきな粉もちなどにして全員で味わった。(小泉まや)