2010年12月6日 (月) 掲載

◎イカの塩辛をコロッケに/東北新幹線開業記念し振る舞う

 函館の新名物登場?|。函館の飲食業コンサルタント「スマートグルメマネジメント」(赤平太志社長)が開発した「イカ塩辛コロッケ」が5日、和光ビル前(若松町20)で振る舞われた。目新しい函館ならではのコロッケを求めた市民や観光客らでにぎわった。

 東北新幹線新青森開業に合わせ、函館の食文化のさらなるPRを目指し1カ月前に開発。現在は商品登録出願中で、市民の声をもとに今後も試行錯誤を重ね、年明けに商品化する考え。この日は午前から社員が「新青森開業に合わせて作りました、ぜひどうぞ」とPRした。

 コロッケは道内産のジャガイモにイカの塩辛とバターを混ぜたもの。バターの風味とこりこりとしたイカの食感が、さくさくのコロッケと同時に楽しめる。赤平社長がその場で用意し、揚げたてを頬張った来場者からは「お酒に合いそう」「イカが生臭くなくておいしい」と好評だった。

 親子4人で味わった北斗市の平光一さん(37)は「全体的においしい。観光客にヒットするのでは」と話していた。

 赤平社長は「この日初めてお披露目したが、今後は催事や学園祭、物産展などで積極的に売り込みたい」と意気込んでいる。問い合わせは赤平社長TEL0138-26-8081。(長内 健)た。



◎道内最古の寺院建築・上國寺本堂の修復体験

 【上ノ国】本格的な解体修理が行われている、道内最古の寺院建築・上國寺本堂(重要文化財)で5日、町内の児童が創建当初の「柾(まさ)ぶき」の屋根を復活させる修復作業を体験した。岡山県から平成の大修理≠ノ参加している屋根職人の手ほどきを受けながら、完成時の姿に思いをはせている様子だった。

 町内の児童12人が参加。ヘルメットを身に着け、巨大な屋根の回りに足場が組まれた修復作業の現場に入り、屋根の修復を担当する、児島工務店(岡山市北区)の永原光敬さん、沼澤修一さん、包國眞匠さんの指導を受けて、3ミリほどの厚さがある青森ヒバを加工した柾を昔ながらの竹クギで打ち付けた。職人が口にくわえた竹クギを素手で柾に差し込み、金づちで手早く打ち込む様子に子供たちは驚きの声を上げ、作業体験の記念としてプレゼントされた竹クギを大切そうに持ち帰った。

 取り付けた柾は30年ほどでふき替えが必要になる。この日は、直径約50aもある丸太から、手作業で柾をきれいに削り出す作業も体験。専用のナタや工具を使い職人技の世界を学んだ。修復に使われる柾の裏面には、思い思いのイラストとともに名前や住所を書き込んでいた。上ノ国小学校6年の川島大和君は「竹クギを打つのはとても難しかったけど楽しかった。将来子供が生まれたら同じ作業をさせてみたい」と笑顔で話した。

 本道には柾ぶきの屋根を修復する技術を持つ民間業者はおらず、同工務店は、道央に残される屯田兵の住居や、数多くの歴史的建造物を集めた北海道開拓の村(札幌市厚別区)での修復作業のため本道を訪れることが多いという。

 上國寺は永禄年間(1558―1570年)の創建とされ。現在の本堂は1758年に建立されたという。建物の損傷が進んだため2008年12月から全面的な解体修理を進めている。解体前には鉄板張りだった屋根も柾ぶきの屋根に戻すなど創建当初の姿に復元する計画だ。(松浦 純)



◎イルミナシオン映画祭閉幕

 第16回「函館港イルミナシオン映画祭」(実行委員会主催)は5日、すべての上映スケジュールを終えて閉幕した。今年はクレモナホール、金森ホール、函館市地域交流まちづくりセンターの3会場で全35作品を上映。最終日はテレビでも話題の注目作「キャタピラー」(若松孝二監督)が金森ホールで上映され、多くの観客を動員した。

 上映後には若松監督によるトークショーやサイン会も実施。観客からの質問にもサービス精神旺盛に答え、会場は和やかな雰囲気に包まれた。

 クロージング作品「玄牝―げんぴん―」(河瀬直美監督)はクレモナホールで上映。出産を通じ、生きることと死ぬことを描いたドキュメンタリー映画で、会場は感動ですすり泣く声も聞かれた。

 今年の映画祭では、企画・制作に4年を費やし、実際の脱北者100人以上に取材を重ねて作った「クロッシング」(キム・テギョン監督)や、罪と罰∞復讐(ふくしゅう)と再生≠描いた4時間38分の大長作「へヴンズストーリー」(瀬々敬久監督)など、内容の濃いさまざまな作品で観客を沸かせた。

 閉会式では同映画祭のあがた森魚ディレクターがギター片手に歌い、観客へ感謝の思いを伝えた。あがたディレクターの「無事に成功してよかった。また来年お会いしましょう」という言葉に、会場は大きな拍手を送っていた。(堀内法子)


◎東北新幹線新青森開業、道南観光業界も期待

 東北新幹線の全線開業により、道南地域でも本州からの観光客の増加に期待が高まっている。現時点では、市内の観光業者からは「目立った客足の伸びは見られない」との声が多いが、開業効果が表れるのは本格的な観光シーズンに突入するゴールデンウイーク以降との見方もあり、しばらくは推移を見守る状態が続きそうだ。

 ロワジールホテル函館(函館市若松町14)では、12月23―25日のクリスマスシーズンの予約が例年より10日ほど早く満室なるなど、新幹線効果が早くも表れている。ただ年末年始の予約については「例年より1割ほど多いが、まだ空きがある」状況で、開業効果は一時的の様子。「今は函館より青森に注目が集まっているのではないか。来年夏場の観光シーズンに期待したい」と話す。

 JTB北海道函館支店では、観光客数が予想ほど伸びていないのは、今回の開業による函館―東京間の平均短縮時間が約20分で、新青森―東京間(約40分)の半分であることが要因と分析。本格的に新幹線効果が表れるのは「来年3月に約300キロの最高速度を誇る新型車両はやぶさが導入され、さらに15分程度短縮されてからではないか」とみている。

 一方で、閑散期である12月の新幹線開業を新たなビジネスチャンスに生かそうとする動きも出ている。函館バスでは、4日から冬場の定期観光バスを初めて導入。中でも、木古内駅を起点とした松前方面を回るルートは、2015年度開業の北海道新幹線で、同駅が道内最初の停車場所となることを見据えた試みとも言える。利用者の出足は鈍いが、同社では「まずは冬場も(観光バスが)運行しているということを定着させていくことが大事」と長期的に展望する。(小川俊之)


◎記念行事で障害者福祉に理解

 2010年度障がい者週間記念行事が5日、函館市総合福祉センター(若松町33)で行われた。市内の障害者団体や福祉関係者をはじめ、一般市民も訪れ、障害者福祉について理解を深めた。

 「障がい者週間」(12月3―9日)は、障害者福祉について理解と関心を深め、障害を持つ人に社会参加の意欲を高めてもらおうと、内閣府が1995年に定めた。函館でも毎年、同週間にちなんだ記念行事が開かれている。

 今年のステージでは、よさこいチーム「音舞」がよさこいを3曲披露した。同チームは「障害があっても自由に音に舞いながら楽しみたい」という思いのもと、祭りやコンサートなどで精力的に活動している団体。鳴子を打ちならし、元気な掛け声をかけながら力強く踊るメンバー25人に、会場は大きな拍手を送った。

 会場では福祉機器の展示や福祉施設の作品販売、点字体験なども行われていた。訪れた函館市内の30代女性は「福祉施設の展示を見て、さまざまな活動を知れた。障害のある子どもを持つ友人がいて、障害者自立支援法廃止の運動をしていたことを思い出した。自分も障害者福祉について知識を持たなくては」と話していた。(堀内法子)