2010年12月8日 (水) 掲載

◎伝建の所有者募集…オベルジュ古稀庵

 函館市教委は、市の伝統的建造物の指定を受けているオベルジュ古稀(こき)庵(末広町)の新しい所有者を募集している。建物は昨年までペンション、レストランとして利用されていたが、現在売りに出されており、市文化財課は「建物の保存に理解のある人に活用してほしい」と話している。

 販売されているのは、1909年に海鮮商の店舗として建てられた、木造2階建ての主屋(延べ床面積222・42平方メートル)と鉄筋コンクリート2階建ての土蔵(同72平方メートル)、ペンションとして建てられ地階がある3階建ての建造物(同887・69平方メートル)で、敷地は487・90平方メートル。昨年10月まで、3階建ての建物と伝統的建造物の指定を受けていた主屋がペンション、同じく指定を受けた土蔵がレストランとして利用されていた。

 現在は所有者がおらず、市教委は市のホームページに建物を掲載し、購入希望者に情報を提供している。市文化財課は「これまでに数件の問い合わせがあった」と話し、関心の高さをうかがわせている。

 市は購入の条件として1、伝統的建造物指定への同意2、土地、建物の変更に市の許可を得ること—を挙げている。また、伝統的建造物の部分の外観を修理する場合、最大600万円、防寒改修に最大160万円の助成、都市計画税の非課税、土地の固定資産税を2分の1に減免するという優遇措置を受けることができる。

 物件の問い合わせはTEL0138・21・3456(市教委文化財課)。価格などの問い合わせはTEL0138・26・3646(函館信用金庫弁天支店)。(黒田 寛)



◎水道使用量 今季の猛暑で増加

 函館市の水道使用量が、今夏の猛暑の影響で大幅に増加した。8、9月だけで真夏日が観測史上最多タイの13日あったことに伴い、各家庭で風呂やシャワーを使う機会が増えたとみられるほか、観光客が増加したことも後押しした。市水道局は年間総配水量が本年度当初予算から3%、約102万立方メートル増加するとみて、開会中の市議会第4回定例会で水道事業、公共下水道事業の2会計で営業収益の増額補正を提案している。同局は「この時期の増額補正は異例」と話している。

 市水道局は本年度予算ベースで、年間総配水量を3343万4000立方メートル、1日平均給水量を9万1600立方メートルと算定したが、7月以降暑さが強まるのと比例して水道使用量も増加。最高気温が33・0度(函館海洋気象台調べ)を記録した8月6日には、配水量が11万3972立方メートルを記録、8、9月の使用量は前年度比で4・5%増加した。

 営業収益は市の人口減少と景気低迷の影響で漸減傾向が続いており、同局経理課のまとめによると2005年度47億8000万円、06年度47億2000万円、07年度46億4000万円、08年度45億1000万円、09年度44億5000万円。

 特に08年度はリーマンショックの影響で落ち込みが激しかったため、09年度と本年度は当初予算を低く見積もったが、今回の補正で年間総配水量を3%増の3445万6000立方b、営業収益を1億3884万円増額し、46億5611万円とする。

 また、上水道に比例して下水道使用量も増加。公共下水道事業会計では総排水量を当初予算から3%増と見込んで営業収益を8282万円増額、総額を62億6211万円に補正する。

 同局によると、使用量は一般家庭のほか旅館・ホテルで増加が顕著。「函館競馬場や箱館奉行所のオープンなどで、上半期(4─9月)の観光客が2年ぶりに300万人台を回復したことも大きかった」(料金課)としている。(千葉卓陽)



◎今金 事故死ゼロ1500日

 【今金】今金町が6日で交通事故死ゼロ1500日を達成した。桧山管内のゼロ日数は6日現在、奥尻・江差の両町に次いで第3位となる。8日に桧山振興局の山田享副局長が町役場を訪れ、外崎秀人町長に、高橋はるみ知事の感謝状と道交通安全推進委員会からの表彰状を贈る。

 町内では2006年10月28日、国道230号を車いすで道路を横断していた当時62歳の男性が大型トレーラーにはねられて亡くなってから、死亡交通事故は発生していない。

 桧山管内では昨年、乙部町と厚沢部町で1件、せたな町で2件の死亡事故が発生したが、今年に入り交通事故による死者は発生していない。6日現在、奥尻町はゼロ日数が3446日に達している。江差町は2483日で、このまま死亡交通事故の発生が無ければ、今月24日には2500日に到達するという。

 ただ、本格的な冬を前に、道内では死亡事故が増加しており、6日現在の死者数は全国で最も多い197人。道は4日、知事名で事故防止を呼び掛ける緊急メッセージを発表した。江差署などは、交通事故の抑止に向けて、飲酒運転やスピード違反などの悪質な交通違反の取り締まりをはじめ、赤色灯を点灯したパトカーによる啓発など、降雪や凍結など道路状況に合わせた対策を強化する方針だ。(松浦 純)


◎ガゴメ魅力再確認

 独特の粘りと豊富な栄養で人気のガゴメ(トロロコンブの仲間)の知識や家庭料理を学ぶ「第5回函館がごめカフェin恵山」が7日、函館市大澗町の尻岸内会館で行われた。恵山近隣に住む主婦ら約40人が参加し、専門家の講演と試食会で交流を深めた。

 函館市の委託事業で、函館がごめ連合の主催。有数の漁場である恵山地域の生産者らに、その魅力を再確認し、一層の消費拡大を図ろうと企画した。

 ガゴメ研究の第一人者、北大大学院水産科学研究院の安井肇教授が講演。近年ガゴメが、料理や医療面で注目を浴びていることに触れ、「恵山の地形や海流がガゴメの生長に適している。これだけ繁茂しているのは世界でもここだけ」と説明。資源の活用策の一つに特産品の組み合わせを示し、「ガゴメ・ゴッコ汁は必ず人気になる。恵山から素晴らしい名物が生まれる」と提言した。

 また、ガゴメは名前の由来など不明な点が多く、安井教授は「ガゴメの古里である恵山のみなさんに、情報や意見を寄せていただきたい」と研究への協力を呼び掛けた。

 試食会では、同連合アドバイザーの秋保栄さんが、ガゴメを組み込んだ創作料理を用意。いなり寿司、酢の物、豆の煮物、吸い物、白玉団子、カスタードプリンで、秋保さんは「ガゴメは縁の下の力持ちのような存在で、料理のうまさを引き立ててくれる。家庭から、ガゴメ料理を広げていってほしい」と紹介した。

 椴法華地域の銚子町から参加した岡山紀子さん(70)は「ガゴメの奥深さを実感した。とろろ以外でも色々なメニューで、おいしく食べられることも分かった」と話していた。(田中陽介)


◎リンゴ料理レシピが完成

 ベジタブル&フルーツマイスター(野菜ソムリエ)の有資格者らでつくる「ベジフル函館」(川ア保江代表)がこのほど、リンゴを使ったオリジナル料理を考案し、合わせてレシピ集を作製した。レシピ集はCDに収めており、希望者に貸し出す。

 ベジフル函館は野菜ソムリエ(中級)3人とジュニア野菜ソムリエ(初級)12人、一般参加者9人で構成。

 今年、地域貢献活動と生産者の応援の一環として、七飯町鳴川にあるみやご果樹園(宮後英子代表)でリンゴの果樹オーナーとなり、会員15人が栽培に参加。花摘みや草取り、収穫作業などを体験し、約150個の実を収穫した。宮後代表の「リンゴを使ったメニューを考案してほしい」との意向を受けて、10月下旬には収穫したリンゴでそれぞれが考案したメニューを持ち寄り、お披露目会を開催。カレーやパウンドケーキ、サラダ、万能タレなどリンゴの甘味や酸味を生かした11品が集まった。レシピ集はメンバーの布目聡子さんが制作を手掛け、各メニューの写真とともに材料や作り方、調理のポイント、リンゴにまつわる挿話も記載されている。

 同果樹園の宮後代表は「リンゴの産地、七飯を再認識してもらえる」と、メンバーの取り組みに拍手。川ア代表は「リンゴは身近な食材。多くの人にレシピを活用してもらい、ぜひ一品作ってほしい」と話していた。

 レシピは川ア代表のほか、七飯町商工観光課でも貸し出す。問い合わせは川ア代表TEL090・8900・2113。(鈴木 潤)