2010年1月10日 (日) 掲載

◎恵山岬に“星”降る夜 ホテル恵風 集魚灯などで電飾

 函館市の恵山岬灯台近くにある「ホテル恵風(けいぷ)」(恵山岬町61、西巻勝幸支配人)で、使用済みの集魚灯や浮き球を再利用したイルミネーションが点灯している。手作りの電飾でつくられた“満天の星”が冬の夜空を彩り、利用客の目を楽しませている。

 冬場の目玉行事として地域を盛り上げようと、同ホテルが「岬あかり」と銘打ち、毎年行っている。2006年からは使えなくなったイカ釣り漁船の集魚灯や、養殖のコンブなどの網を設置する浮き球を活用し、電飾のカバーとして再利用している。

 電飾は従業員らが2カ月ほどかけて約200個を製作。市漁協などを通じて集めた30センチほどガラス製の集魚灯にはブラックライトを入れ、蛍光塗料で描かれた表面の花柄が淡く浮かび上がる。浮き球も回収した約80個を補修し、小さく穴を開けた部分にプラスチック玉をはめ込んだ。

 西巻支配人は「従業員のアイデアが詰まった低コストでエコなイルミネーション。冬の岬に輝く淡い光を多くの人に楽しんでもらいたい」と話している。点灯は3月末までの毎日、日没から午後10時まで。(森健太郎)



◎目標の1割強 事業家困難 おでかけバス利用状況

 函館市が西部地区の住環境整備を目的に、昨年10―12月に運行実験を行ったコミュニティーバス(通称・おでかけバス)の利用状況(速報値)がまとまった。約2カ月半の運行で延べ3867人が利用、1日当たりの平均利用者数は50.9人で、事業化のめどとしていた同450人の10%強にとどまった。市は「民間事業者単独での運行は困難」との認識を示しており、路線や運行間隔の見直しなどが今後の継続に向けての検討課題となりそうだ。

 同バスは、西部地区に数多く点在する坂道の上り下りの負担軽減と公共交通機関への接続をスムーズにする目的で、函館バスに運行を委託して昨年10月16日から12月30日まで運行。船見町―十字街間(全長9.2キロ)に停留所を38カ所設け、50分間隔で1日12往復、料金は大人一律100円に抑え、利便性を高めた。

 市街づくり推進課によると、1日当たりの利用客数は最多が12月30日の113人で、最低が10月31日、11月14日の25人。月別平均は10月55.3人、11月41.8人、12月は57.6人だった。

 運行期間中は乗客にスタンプカードを配布、10回の乗車で無料乗車券として使えるサービスも実施し、延べ101人が利用した。降雪が多かった12月中旬以降は利用がじわじわと上昇し、60―70人がコンスタントに乗車した。同課は「住民周知が行き届き、悪天候という要因も重なった。利用が減る状況にならなかったのは収穫」とする。

 市は運行に際して事業化が見込める場合、公共交通事業者に対して本格運行に向けた要望を行う考えだったが、今回と同じ形態での運行は採算上困難とみられる。11、12月には公立はこだて未来大の協力も得て利用客にアンケートを行っており、今後は回答結果を詳しく分析した上で、事業者と協議していく考え。

 同課は「使いやすい時間帯に便を集中させることなども一つの方法として考えられる。使いにくかった点など利用者の声を参考にしながら、事業化する可能性があるか否か探りたい」と話している。(千葉卓陽)



◎人馬一体で災害救助…道内初の騎馬隊発足

 函館や道南の馬事関係者が中心となり、地震や水害などの災害時に馬を使ったボランティア活動を行う「北海道災害救助騎馬隊」が8日、発足した。道内では初めてで、全国で3番目の組織となる。

 騎馬隊は「どさんこワールド函館をつくる会」の池田茂代表(56)らが、馬が社会的に認知される活動を行おうと2年ほど前から構想を練っていた。同様の組織は熊本県阿蘇市と大分県九重町で結成されており、池田代表らが昨年1月、九重町を視察して運営方法を学んでいる。

 活動は、悪路を苦にしない馬の機動力を生かし、被災地における人命救助や捜索活動に加え、孤立した集落への救助物資運搬、医師らを同乗させて初動救助に貢献することなどを想定。馬とのふれあいを通じて被災者の心を癒やす取り組みも行う考え。

 8日夜に函館市地域交流まちづくりセンターで開いた設立準備会には道南の馬事関係者ら18人が参加。発足にあたり出席者が発起人となることや、九重町の例を基に会の規約を議論した。出席者からは、「救助行為の際に事故が起きた場合、責任の所在をどうするのか」といった質問もあがり、今後の検討課題とした。

 今後は医師や警察官、自衛隊員らに参加を呼び掛けるほか、災害救助用の訓練を重ね、いざという時に備える。また函館市や日本赤十字社にも協力を求める方針。

 池田代表は「力仕事に適したドサンコのほか、高速移動向けの乗用馬など20頭は確保できる見通しで、馬の特性を生かした活動を行いたい。それぞれの分野で力を合わせて災害救助ができれば」と話している。(千葉卓陽)


◎掘り出し物探し盛況 かいせいカレンダーバザール

 函館の企業や市民などから寄せられた、2010年のカレンダーや手帳などを格安で販売する「かいせいカレンダーバザール」が9日、JR函館駅2階イカすホールで始まった。約600人が来場、約3万点の中から目当てのデザインや大きさのものを買い求め、会場はにぎわっていた。

 同バザールは社会福祉法人かいせい(川端昭治理事長)の利用者家族や賛同者などで組織される「かいせい協力会」(津田麗子会長)が主催し、今回で14回目。益金はかいせいの活動運営費などに充てられる。

 毎年好評で、この日も午前10時のオープンを前に約250人の行列ができる盛況ぶり。25人のスタッフが販売に追われていた。「大きいサイズもありますよ」と威勢のいい声が響く中、買い物袋いっぱいにカレンダーを購入する人などでごった返した。毎年人気のある日めくりカレンダーは整理券を配り対応するほど。そのほかデスクマットや卓上カレンダーなが次々と売れていた。

 市内の無職男性(69)は「日程を書き込んだりするのに便利なカレンダーが見つかってうれしい」と笑顔で話していた。同バザールは10日も午前10時から午後3時まで開かれる。カレンダー詰め放題などのお楽しみ企画も用意されている。 (小杉貴洋)


◎【企画 函館の除雪はなぜ遅いのか・下】計画検証 今回ほ教訓に

 函館市は2004、05年と続いた大雪を受け幹線、生活道路の除雪に対する出動基準を定めた計画を策定している。だがその後は暖冬傾向が続き、実質的な計画実証は今冬が初めてだ。来冬以降に向け、突然降る大雪に対処できる方策はないのか―。道内や東北の、同市と同規模都市の除雪体制を調べた。

 降雪量が平年の2倍を超える事態となっている帯広市では、例年この時期3回程度の除雪出動に対し本年度はすでに6回を数えた。そのため予算が底をつき、年末に1億4000万円、6日には1億3000万円と今冬2度の補正を組んでいる。当初の予算額は4億500万円。ただ同市で補正を組むことは珍しくはなく、財源も「補正は除雪用の基金からねん出している」(同市道路維持課)という。函館市は一般会計からの補正だ。

 帯広でも函館と同様、今冬はこれまで生活道路の除雪の遅れなどに対し800件以上の苦情が寄せられている。原因の一つには人手不足もあるという。同課は「除雪業者に対しては、公共工事の評価点数を優遇するなどの措置を取っている」と、突然の大雪に備えて除雪業者の減少を食い止めようと対策を講じている。

 人口約30万人と函館市とほぼ同規模の岩手県盛岡市では、各委託業者が担当路線を自己判断し除雪出動する体制を取っている。同市でも生活道路がシャーベット状の路面となり苦情は絶えないと言うが、同市道路管理課は「市が判断を下すよりもスピーディーな除雪が可能となっているのでは」と話す。

 盛岡の場合、委託業者数が約120社と函館(23社)とは規模が違うため実現できる体制だが、同市も業者の確保に頭を悩ませていることには変わりはない。同課は「業者数を確保するため、出動の有無に関わらず準備態勢にかかる固定経費を、満額ではないが本年度から補助している」と本格的に業者の取り込みに乗り出している。

 市民との協同除雪を進める都市もある。日本有数の豪雪地帯である青森市では市が各町会と個別に協定を結び、協力して除雪作業に取り組む試みを昨年度から始めた。同市道路維持課は「町会には除雪の妨げとなる違法駐車をしないよう呼び掛けてもらったり、町内の空き地を臨時の雪捨て場として貸し出してもらうなどの協力をお願いしている」と明かす。これに対し、函館市町会連合会の敦賀敬之会長は「青森とは雪の量も、雪に対する住民の意識も違うので、函館では難しいのでは」と話す。

 函館市土木部維持課は「新計画の検証はこれからだが、今回の大雪を教訓に見直していかなければならない部分は多くある」とし、「委託業者を確保するために夏場の除雪用機材の維持費補助は重要な検討課題」と危機感を強める。また「除雪ボランティアの周知活動も強化していく」と話している。

 雪から市民生活を守るためには市民の協力も必要だ。市には業者数の維持や出動態勢、協同除雪の周知など、今回の大雪で明らかになった課題に対する対応策が求められる。(山田孝人)