2010年1月11日 (月) 掲載

◎障害者雇用率1・83% 09年の道南企業

 渡島・桧山管内にある民間企業の2009年(6月1日現在)の障害者雇用率は、法定雇用率(1・8%)を上回る1・83%だったことが、函館公共職業安定所のまとめで分かった。法定雇用率を達成している企業の割合は5割にとどまったが、いずれも全道、全国平均を上回った。

 障害者雇用促進法は、従業員56人以上の企業に身体・知的障害者1人以上の雇用を義務付け、毎年6月1日現在の雇用状況を報告するよう求めている。

 同職安によると、管内で民間企業に雇用されている障害者は497・5人で、前年から2・45%(12・5人)減少。雇用率は前年を0・1ポイント下回った。産業別の雇用率は、高い順からサービス業2・96%、運輸業2・39%、製造業2・18%だった。

 法定雇用率の適用対象となっている企業は前年より7社多い183社で、達成企業の割合は前年比0・3ポイント減の50・3%。企業規模別の達成状況は従業員100―299人の企業が56・0%と最も高く、従業員300―499人の企業が33・3%と低い水準となった。

 全道平均は雇用率1・77%、達成企業の割合49・7%、全国平均が雇用率1・63%、達成企業の割合45・5%。管内は全道、全国よりも高い水準で推移している。同職安は「管内は授産施設や小規模作業所が多く、知的障害者の雇用に結びついている」と指摘。ただ景気低迷を背景に、雇用率、達成企業の割合は低下傾向にあり、「基準を満たしていない企業には指導していく」と話している。(宮木佳奈美)



◎倒産4年ぶり30件台 09年の道南

 民間信用調査会社の東京商工リサーチ函館支店がまとめた2009年12月の渡島・桧山管内の企業倒産状況で、負債総額1000万円以上の企業倒産が前年同月と同じ3件、負債総額は前年同月比4600万円増の2億1100万円だった。09年の累計倒産件数は前年より7件少ない37件で、05年以来4年ぶりに30件台にとどまった。

 同支店によると、12月に倒産したのは、函館市内の中古自動車販売業、北斗市の土木工事業、七飯町のタイル左官工事業で、主因はいずれも業績不振だった。前月比では件数が1件増加。負債総額は前月に10億円以上の大型倒産があったため、25億9300万円減となった。

 09年1月から12月までの累計件数は前年よりも減少した一方で、累計負債総額は前年比42億4700万円増の217億1700万円と07年以来2年ぶりに200億円を突破。春先にあった乙部町の建設系資材商社ナルミの破たんや、関連企業の倒産が影響し、大きく額を押し上げ、前年実績を上回る結果となった。

 今後の見通しについて、同支店は「引き続き国の各種経済対策効果もあり、当面小康状態が続くものとみられるが、依然として個人消費の低迷やデフレなど、地域経済は厳しい状況を強いられていることから、楽観はできない」とみている。

 また同北海道支社の調べによると、09年1年間の道内の累計倒産件数は、前年比179件減の555件と3年ぶりに減少し、過去10年間で2番目に少ない低水準となった。同支社は国の緊急保証制度による資金支援と景気刺激策の効果が件数減少につながったとみている。

 百貨店大手の丸井今井(負債総額502億1200万円、民事再生)をはじめ、負債総額10億円以上の大型倒産が48件と前年よりも13件増加。倒産件数は減少したが、負債総額は2609億2900万円と前年から195億600万円増加した。(宮木佳奈美)



◎早春の味覚ウドすくすく 北斗で収穫ピーク

 【北斗】早春を感じさせるハウス栽培のウドの収穫が北斗市内の農家で最盛期を迎えている。温かいハウス内には丈が30―40センチに成長したウドがみずみずしい香りを漂わせ、食卓に一足早い春の彩りを添えそうだ。

 市内追分の秋庭茂さん(59)方では、露地で栽培後に冷蔵保管していた株を11月中旬にハウスに移植。1カ月余りかけてすくすくと成長したウドを妻の百合子さん(55)と長女の里美さん(31)らが一本一本手作業で掘り出し、箱詰めの出荷作業に追われている。

 ハウス栽培のウドは、自生しているものに比べてあくが少ないのが特徴。マヨネーズや酢みそにあえて生でも食べられるという。今年は夏場の長雨の影響で収量は前年に比べ少ないが、秋庭さんは「出来具合はまずまず。地元の方にもたくさん食べてもらいたい」と話す。

 新函館農協によると、市内のウド生産農家は7戸で、農閑期の冬場の副業として栽培するケースが多い。北斗産は「北海うど」のブランドで売り出し中で、卸値は一箱2キロ入りがほぼ平年並みの1700円前後。札幌をはじめ道内各地に出荷され、作業は3月末ごろまで続く。(森健太郎)


◎自由市場に“マル獄”登場 21―23日少年刑務所作業品展示販売会

 函館少年刑務所(函館市金堀町6)の受刑者の手による刑務作業製品の展示即売会が21―23日午前9時から午後4時、はこだて自由市場(新川町1)2階展示場で開かれる。地域銘柄として全国的な人気の“マル獄”シリーズを筆頭にデザイン性や高品質の家具なども登場する。同市場待望の初開催で、「人気急上昇中の展示即売会をここで開けることがうれしい。この人気にあやかり、2010年も自由市場をもっと盛り上げていこう」と関係者は当日を待ち望む。

 矯正協会刑務作業協力事業部の主催。各地での盛況を受け、2008年夏から、市場関係者が同刑務所に展示即売会の開催をもち掛けていた。

 日程調整などで実施にこぎつけるまで時間を要したが、「一年の始まりに景気のいい雰囲気を演出し、市場と地域を活気づけられれば」と同事業部は意気込む。市場は例年、年末年始明け後に若干集客が伸び悩むため、この展示即売会を集客アップの起爆剤にしたいところだ。

 マル獄シリーズは06年に同刑務所の職員が前掛けを考案したのがきっかけに誕生。藍(あい)染めの帆布に丸で囲んだ「獄」を、下には「PRISON(刑務所)」を印字。同刑務所前身の函館徒刑場の開設年を示す「創業明治弐年」「本日開監」の文字も。

 その見栄えに加え、機能性や肌触りのよさなどで展示即売会では毎回ほぼ完売御礼。「懐かしい雰囲気。斬新なデザインで新鮮な感覚」と老若男女に絶大な人気を誇る。同市場内でもマル獄シリーズの人気は高く「この前掛けはカッコよくて最高だ」と魚介の乾物や青果を扱う店主らが愛用している。

 開催準備に携わる同市場協同組合青年部の菊地照浩部長(40)は「自由市場での展示即売会開催は念願だった。素晴らしい製品を買って、市場でもおいしい食べ物を購入してもらえればうれしい」と来場を呼びかけている。

 刑務所作業製品の売り上げの一部は、犯罪被害者支援団体に助成される。(田中陽介)


◎110番の日街頭啓発

 道警函館方面本部は「110番の日」の10日、函館赤川中学校2年の吉崎由香さん(14)を「一日通信指令室長」に任命した。通信指令室には、一日当たり100件前後の110番通報があるが、中には警察への相談や苦情といった緊急性の低い通報も依然として多い。吉崎さんは通信指令室での模擬110番受理や街頭啓発活動に参加し、緊急通報の正しい利用方法を体験した。

 吉崎さんは、函館中央地区防犯協会主催の防犯標語コンクールで「あいさつで笑顔が増える地域の輪」で最優秀賞を受賞。委嘱式で木下外晴本部長から「頑張ってください」と委嘱状が手渡された。

 通信指令室では、自転車盗難を想定した模擬通報を受理。吉崎さんは、担当の警察官からのアドバイスを受けながら「110番警察です。何がありましたか」「付近に目標となる建物は」などと、的確に対処していた。

 JR函館駅前では、函館西署と合同の街頭啓発に参加。市民に110番の役割を周知した。将来、保育士を目指しているという吉崎さんは「緊張しましたが、冬休みのいい経験になりました」と話していた。(今井正一)