2010年1月14日 (木) 掲載

◎みそぎ祭り開幕 行修者が勇ましく水ごり

 【木古内】木古内町の佐女川神社で1831(天保2)年から続く神事「第180回寒中みそぎ祭り」が13日午後6時の参篭(さんろう)報告祭で開幕した。行修者の若者4人が鍛錬に入ることを神に報告し、身を切る寒さの中で水ごり。氏子らが玉ぐしをささげ、豊漁や豊作、地域の安全などを祈願した。

 今年の行修者は大学生の平野嘉栄さん(22)、専門学校生の村上駿弥さん(19)、竹田峻輔さん(20)、高校生の久保田翔さん(17)の4人。下帯姿で境内に現れ、多くの町民らが見守る中、水ごりを開始し、心身を清めた。水ごりは祭り最終日の15日まで昼夜を問わず続けられる。

 函館海洋気象台によると、午後7時の同町の気温は氷点下3・1度。雪が降る中、行修者の4人は寒さをこらえ、「行くぞ」「おう」と気合を入れ、冷水をかけ合った。若者たちの勇ましい姿を一目見ようと集まった町民らから大きな歓声が送られた。

 14日は午後5時45分から町民がちょうちんを持って町を練り歩く「みそぎ行列」が行われ、15日は午前11時50分ごろから、行修者が下帯姿でご神体を抱え海に入る「海中沐浴(もくよく)」で祭りは最高潮に達する。(松宮一郎)



◎旧函館北高校グラウンド 無料開放へ 要望受け、競技団体に

 函館市教育委員会は、2007年春に旧函館東高校との統合に伴い閉校した、旧函館北高校グラウンド(同市日吉町4の19)を早ければ新年度にも無料で開放する方針を固めた。同校跡地の利活用方法が決定するまでの暫定的な措置で、各種スポーツ団体に対して貸し出す考え。

 同グラウンドは閉校後、活用方法を検討しながらも、市教委の管理下に置かれたまま使用されず、以前から市民への開放を求める要望が寄せられていた。だが、函館市民体育館の移転候補地に挙がっていたこともあり、調整は難航。今回「函館市民体育館あり方検討懇話会」が現在地での増改築が望ましいと市教委に答申したことを受け、貸し出す方針となった。

 函館サッカー協会(永沼秀興会長)は08年11月、大会や試合数の増加に伴い市内で充分な会場数を確保できず、競技の幅広い普及に支障が出ているとして、市教委に開放を求める要望書を提出しており、今回も同協会が主体となり市に働き掛けた。

 同校グラウンドは広さ約2万9000平方メートルで、ラグビー1面、サッカー、野球を供用で1面取ることができる。設備はラグビーやサッカーのゴール、バックネット、ホームベースが現存する。しかし閉校後約3年が経過し、グラウンドには草が生い茂るなど使用には整備が必要だ。

 市教委スポーツ振興課は使用にあたり「暫定的な使用なので市では整備費を出せない。グラウンドの維持整備を自分たちで行える団体を窓口として、一般ではなく市内の各スポーツ団体に貸し出す方針」とし、函館市体育協会(森川基嗣会長)と現在調整を進めている。また同課は「まだ使用時間、整備方法など各団体との調整が必要な部分が多い」と話している。(山田孝人)



◎函館海洋気象台 観測船「高風丸」3月末で引退

 函館海洋気象台(函館市美原3)の海洋気象観測船「高風(こうふう)丸」(487トン)が、今年3月末で廃止されることが決まった。気象庁の衛星技術の向上や大型船への業務集約化のためで、前身から数え60年以上にわたり北の海の気象観測を担ってきた道内唯一の観測船が母港・函館から姿を消す。

 高風丸は、1949年10月に函館海洋気象台に配備された「夕汐丸」が前身。63年3月には初代高風丸が就役し、現在2代目の船は88年7月から活躍している。主に道内や東北周辺の太平洋海域で年間170日間、水温や塩分、親潮などの海流データを収集してきた。

 これまでの総航行距離は約47万7800キロに及び、地球を12周以上した計算になる。四季ごとの年4回の航海はそれぞれ40―45日ほど。特に冬場はほかの気象台の観測海域に比べ気象条件が厳しく、加村正巳船長(60)は「船首が数十センチの着氷まみれになることも」と話す。

 気象庁によると、3月末で引退するのは高風丸のほか、舞鶴海洋気象台の清風丸(484トン)と、長崎海洋気象台の長風丸(480トン)の計3隻。神戸海洋気象台の啓風丸(1483トン)を本庁に配置換えし、本庁所属の凌風丸(1380トン)とともに大型船の2隻体制とする。

 近年は気象衛星や「中層フロート」と呼ばれる自動観測装置などで、船なしでも海洋の詳細なデータを把握できるようになった。同庁地球環境業務課は「深刻な温暖化問題に対応するにはより広域な調査が必要。最新機器を搭載した大型船を効率的に稼働させることで、観測体制を強化したい」としている。高風丸は他省庁へ移管されるか、売却される見通し。

 2004年から7代目となる加村船長も定年を迎え、高風丸とともに3月末で退役する。加村船長は「時代の流れとはいえ、廃止されるのはさみしい。船内外の手入れが行き届いていてまだまだ活躍できそう」と残念がる。今月19日から2月17日まで最後の航海に出発し、「最後まで無事故で終えてから、船にご苦労さんと言いたい」と気を引き締める。


◎韓国・高陽市から姉妹都市提携提案 函館市、4月にも調印式

 函館市は13日、韓国の首都ソウルに隣接する高陽(コヤン)市から、姉妹都市提携を結びたい旨の提案があったことを明らかにした。函館側は「観光振興や航空路維持の面でメリットが大きい」として応じる考えで、今後事務的な調整を図るとともに両市とも議会の合意を得て、4月にも調印式が行われる見通しだ。函館の姉妹都市は1997年9月のユジノサハリンスク(ロシア)以来13年ぶり、5カ所目で、韓国の都市とは初めて。

 高陽市はソウルの北西部に隣接し、人口約95万人(08年12月現在)。韓国最大のコンベンションホール「国際展示場」を持ち、12年にはテーマパークやホテルなどが入る観光施設「韓流ワールド」が完成予定という。

 函館市は昨年10月、ソウルとの定期便を運航する大韓航空や在日大韓民国民団函館支部からの紹介を受け、西尾正範市長や経済界関係者が観光プロモーションの一環として同市を初めて訪問。12月末には同市の国際化戦略プロジェクト本部長、ユン・ソンソン氏らが来函し、姉妹都市提携を視野に交流を進めることで一致していた。

 函館市によると、今月8日に高陽側から提案があり、3月10日からの同市議会に関連議案を提出し、議決を得る考えが示されたという。函館側は提携理由として@国際化の推進A韓国語学習者が増加するなど機運が高まっているBソウルと定期便で結ばれ、継続して交流事業が行いやすく、観光振興につながる―などを挙げており、2月に開会予定の定例市議会で、議会側から決議を得たい考え。

 具体的には中学生の海外派遣やスポーツ・文化団体の相互派遣、観光・経済面での交流などが想定されるが、今後実務レベルで内容を詰めていく方針。

 函館市の渡辺宏身企画部長は「高陽市は都市基盤の整ったベッドタウンで共通点は少ないが、古い町並みがあることから、景観行政や観光への取り組みなどのノウハウを学びたいとの意向もあり、それぞれ学び合う部分がある」と説明。同市のガン・ヒョンソク市長が議決後に来函する意向を持っており、その場で調印式が行われる見通しとなっている。(千葉卓陽)

 ◆函館市の姉妹都市提携 1982年11月にハリファクス(カナダ)と締結したのを皮切りに、92年7月にウラジオストク(ロシア)、レイク・マコーリー(オーストラリア)と、97年9月にユジノサハリンスク(ロシア)と結んでいる。このほか2001年10月に天津市(中国)と友好交流都市提携を結んでいる。


◎「連携計画」策定へ 函館―大間航路活性化協議会

 【青森】函館―大間(青森県)間の航路存続策を検討する法定協議会「第3回大間・函館航路活性化協議会」(会長・金沢満春大間町長)の本年度最後の会合が13日、青森市内の青森県観光物産館アスパムで開かれた。国に提出する「大間・函館航路地域公共交通総合連携計画」を策定し、2015年度までに目指す旅客数を09年度実績(1―3月のみ前年度実績)の3.3%増の11万2700人、乗用車台数は同4・0%増の2万7040台などとする目標値を設定した。

 計画では利用者や人口の減少、慢性的な赤字、運航船舶と大間ターミナルの老朽化といった航路の課題を提示。函館―大間の交流人口の拡大を図る施策として、観光活性化策、公共交通機関の連携強化によるアクセス向上などの各種事業案を盛り込んだ。目標値は、動向調査などを基に、観光分科会が需要予測した結果を用いて推計した。

 会合には委員ら約30人が出席した。金沢町長は、函館―大間航路を暫定運航している津軽海峡フェリー(函館)と青森県、大間町の三者協議で、新造船の建造について具体策を検討、6月末までに結論を出すことになったと報告。「計画をいかに実施し、次につなげるかが課題。委員には航路の重要性を社会に伝えてほしい」と述べた。

 計画期間は10―15年度の6年間。三者協議の動向を見て、同協議会が10年度以降、目標達成に向けて実施する事業内容を固める。10年度から12年度までの3年間は、各種事業を試験的に導入する重点期間とし、国の補助金制度を活用して実施する予定。13年度から15年度までは効果を検証し、本格的な事業の導入や新たな施策を検討することになっている。

 同協議会は、行政、学識経験者、旅行・交通事業者、まちづくり団体などの代表者らで構成。計画策定に向け、船舶、観光の両分科会を設置し、運航形態や利用促進策などを検討してきた。計画は2月に提出する予定。(宮木佳奈美)