2010年1月16日 (土) 掲載

◎たくさんの愛情 長生きの秘けつ…29日ネコの「ももちゃん」二十歳に

 函館市松陰町の青柳敏夫さん(70)、禮子さん(65)夫妻の飼い猫「もも」(雌)が29日、二十歳の誕生日を迎える。出生直後は、寒さと栄養不足で瀕死(ひんし)状態だったが、青柳さん夫妻の手厚い看病で九死に一生を得た。成人ならぬ“成猫”は「人間で言えば91歳」(獣医)で、大病もなくいたって元気だ。青柳さん夫妻は「ももちゃんの存在が夫婦の絆(きずな)を深めてくれている。いつまでも健康でいてもらいたい。わたしたちも、ももちゃんに見習って長寿をあやかりたい」と愛猫を抱きしめている。

 ももは雑種。1990年1月29日夕、青柳さん宅のビニールロッカーで産声を上げた。この日、仕事を終えて帰宅した禮子さんが子猫の鳴き声に気づいて見つけた。「まさかここに猫がいるとは思わなかった」と振り返る。

 親猫は近所の飼い猫で、青柳さん夫妻になつき、よく家に遊びにきていた。5匹を生んで間もなく亡くなり、もも以外の4匹も禮子さんが発見したときは、すでに息絶えていたという。

 「この子だけは何とか助けたい」―。禮子さんが育ての親となり、ももにスポイトでミルクを飲ませ、抱き寄せたり、毛布とカイロで体を温め続けた。いまでは、夜中に禮子さんの布団にもぐりこむ。

 愛情が奇跡を呼び、すくすく成長。敏夫さんも“育児”に協力した。ももは少食で、煮干しと水以外ほとんど口にしない。煮干しも頭と内臓、固いしっぽが苦手で、その部位を丁寧に取るのが敏夫さんの日課だ。

 お気に入りの煮干し商品が一時、店頭から消えたことがあった。小さなカタクチイワシにしたが、頭などを取ってしまうとほとんど食べるところがなく、「あのときはとにかく必死で市内のスーパーを回った。長生きの秘けつだと思われる煮干しを探すために、わたしも命がけだった」と敏夫さんは笑う。

 ももは、温和な性格で、だれが触っても怒らず、騒がない。動物病院で診断を受けるときも「こんなにおとなしい猫は見たことない」と獣医にほめられるという。煮干し効果(カルシウム)で歯も丈夫だ。

 2人の娘が嫁ぎ、青柳さん夫妻は現在2人暮し。ももは子どものような存在で、時間をみつけては声かけをする。

 敏夫さんは「夫婦円満なのは、もものおかげ。都合の悪いときは、ももに話しかければいいから。めんこくてめんこくて」、禮子さんは「まさかここまで長生きするとは思わなかった。早く他界した親猫ときょうだいの分まで寿命を授かったと思う。わたしたちも元気をもらっている」と目を細める。

 誕生日の29日は、祝福を兼ねていつも以上に丁寧に下ごしらえした煮干しをプレゼントする。 (田中陽介)



◎巨大クレーンの記念品販売…想ひ出委員会

 記憶の断片にいつまでも――。函館港のシンボルとして長年市民に親しまれ、惜しまれながら昨年6月に撤去された旧函館ドック跡地のゴライアスクレーン。その一部を加工した2製品の限定販売が15日、函館市内3カ所で始まった。企画した「ゴライアスクレーン想ひ出委員会」の松石隆代表(北海道大学大学院水産科学研究院准教授)は「函館と自身の記憶をたどれるような重みのある製品に仕上がった」と話している。

 ゴライアスクレーンは1973年(昭和48年)に1号機、翌年に2号機(ともに高さ70.5メートル、1基の重量2000トン)を設置。大型船の建造に使用したが、造船不況のあおりを受け稼働を休止。建設から30年以上経過し、老朽化や耐震性の問題などで撤去された。

 喪失感を感じていた市民有志約10人が「何か思い出を形に残したい」と集まり、昨年7月に同委員会を発足。函館デザイン協議会の渡辺譲治会長らの協力を得て、すべて手作業で切り出され「世界に一つだけのオリジナル製品」(松石代表)を作り上げた。

 製品は、クレーンの象徴となった赤色やさびなどの風合いがある3枚の鉄板(厚さ2.7センチ)を締め付けていた「ボルト」(50個限定、3000円)と、作業用階段の一部を2枚の鉄片にした置物「記憶の切片」(220個限定、1500円)の2種類。それぞれシリアルナンバーが刻まれ、クレーンの歴史などが学べる説明書付き。

 市青函連絡船記念館摩周丸(若松町12)、市地域まちづくりセンター1階カフェ「オタジィラ」(末広町4)、JR函館駅2階いるか文庫で販売している。なくなり次第販売終了。問い合わせは同委員会事務局TEL0138-83-1703。(小杉貴洋)



◎旭友ストアー閉店へ…コープさっぽろが店舗引き受けへ調整

 バス会社の旭川電気軌道(旭川)は、子会社の食品スーパー、旭友ストアー(同)の道内14店舗すべてを閉店し、スーパー事業から撤退する方針を固めた。コープさっぽろ(札幌)が一部店舗の営業を引き受ける方向で調整している。道南にある木古内、福島、江差の3店のうち、不採算の江差店が2月21日で閉鎖することが決まった。

 親会社の旭川電気軌道とコープさっぽろの間では、店舗の土地や建物などの賃貸契約を結んだ上で、コープさっぽろが入店することで合意したが、店舗数などは明らかにしていない。旭友ストアーはコープによる各店舗の営業、従業員の雇用の継続を要請している。16日に札幌市内で行われる両者の共同記者会見で正式発表する見通し。

 旭友ストアーは旭川市内を中心に札幌市内や道南にも進出し、2000年ごろには21店舗を展開。道南では2000年に木古内、福島、江差、松前、08年に函館に出店した。しかし松前店は02年、函館店は競合店の影響で客足が伸びずわずか8カ月で閉店に追い込まれた。

 売上高はピーク時の2000年に180億円あったが、09年3月期には115億円に落ち込んだ。同社の河西利記社長は「ローコスト運営を心掛けてきたが、大手との価格競争が激化し、収益が出せない中での事業継続は難しいと判断した」としている。

 旭友ストアーが出店する自治体からは、営業継続を望む声もあり、木古内町は「利用客も多く、残ってほしい」、福島町は「20人以上の町民が働いているので、雇用面での不安が一番大きい」と不安を隠さない。

 大手スーパーとの商品調達力の格差拡大や、価格競争の激化などを背景に、地方の中小スーパーの経営は厳しさを増し、スーパー業界の再編が加速している。道南では函館市内・近郊で展開する食品スーパーの魚長(函館市西桔梗町、柳沢一弥社長)が昨年11月、コープさっぽろと業務提携を締結し、業界での生き残りをかけて経営再建を進めている。(宮木佳奈美)


◎新型インフルで一足早く…一部の小、中学校部で始業式

 新型インフルエンザによる学校閉鎖の影響などで授業時間数を確保するため、函館市内の一部公立小、中学校で15日、一足早い3学期の始業式が行われた。子どもたちは冬休みの自由研究などを手に元気に登校していた。

 函館鍛神小学校(長谷恵校長、児童454人)では、通常25日間の冬休みを5日間短縮し、19日の予定だった始業式をこの日に早めた。全校児童が集まった式では、代表して2年生の玉井航君が冬休みの思い出をつづった作文を読み上げた。長谷校長は「3学期はまとめの時。次の学年にいけるよう一生懸命勉強して頑張ろう」と呼び掛けた。

 1年1組の教室では子どもたちが吉田和子教諭に通信表を提出し、日記や冬休みに作った作品を見せ合っては楽しんでいた。池田希帆さん(7)は「冬休みは七飯でスキーをやったり、リフトに乗れて良かった」と発表し、高嶋弘幸君(7)は「自由研究の万華鏡を作るのが楽しかった。3学期は漢字を頑張りたい」と話していた。

 この日、市内では同小のほか、弥生小、青柳小、赤川小、戸倉中でも3学期が始まり、ほかの多くの学校は19日までに始業式を行う予定。 (新目七恵)


◎勇壮に「海中みそぎ」…豊漁や豊作祈る

 【木古内】木古内町の佐女川神社の「第180回寒中みそぎ祭り」は15日、最終日を迎え、国道228号沿いのみそぎ浜で行修者の若者4人が真冬の海に入り、ご神体を清める「海中みそぎ」を行い、幕を閉じた。

 祭りは1831(天保2)年から同神社で続く伝統の神事で、今年の行修者は大学生の平野嘉栄さん(22)、専門学校生の村上駿弥さん(19)、竹田峻輔さん(20)、高校生の久保田翔さん(17)の4人。

 沿岸には、大漁旗を掲げた漁船8隻も航行。大勢の観客が見守る中、行修者は海に入り、水をかけ合いご神体を清め豊漁や豊作、地域の安全を祈った。「海中みそぎ」を行った正午の気温は氷点下5・5度、海水温は8度。行修者の勇壮な姿に観客から大きな歓声と拍手が送られた。

 また、みそぎ広場ではさまざまなイベントも行われ、グルメコーナーには、こうこう汁やみそぎ鍋などが並び、集まった観客らは熱々の鍋を味わい体を温めていた。

 町内の岸喜代子さん(71)は「寒い中、若いのにえらい。感動した」と話していた。(松宮一郎)