2010年1月19日 (火) 掲載

◎アルペンスキーの佐々木明選手 3度目の五輪へ 北斗市市民栄誉賞も決定

 【北斗】北斗市出身のアルペンスキーヤー、佐々木明選手(28)=エムシ=が18日、2月12日からカナダ・バンクーバーで開催される冬季五輪の日本代表に内定した。19日にも全日本スキー連盟から正式に発表される見通しで、2002年ソルトレイクシティー、06年トリノに続く3度目の五輪出場となる。この快挙を受けて北斗市は、佐々木選手に市民栄誉賞を贈ることを決定。地元の後援会やスキー関係者は二重の喜びに沸いている。

 佐々木選手は合併前の旧大野町生まれ。中学時代まで地元のアルペンチームに所属し、ジュニア時代から全国トップクラスで活躍。卒業後は北照高校(小樽)、日体大と進み、ワールドカップ(W杯)を転戦。03年1月のスイスウェンゲン大会をはじめ2位入賞を3度果たすなど、日本の第一人者として男子アルペンを引っ張ってきた。

 過去2度の五輪成績は02年の男子大回転で34位、06年は回転、大回転とも途中棄権に終わっている。

 今シーズンはW杯第2戦16位、第3戦15位、第4戦21位と30位以内に与えられるポイントを3戦連続で獲得するなど調子を上げ、ポイントの合計や過去の実績などから五輪代表の座を手中にした。

 市は五輪出場が確実となったことから、市民栄誉賞を贈ることを決定。全日本スキー連盟の正式な発表を待ち贈呈の手続きを進める。同市からの市民栄誉賞は昨年8月、陸上女子800メートルで日本中学新記録を樹立した岡田芽さん(上磯中3年)に続く2人目。

 海老沢順三市長は「佐々木選手のような素晴らしいアスリートが北斗市から誕生したことは市民の誇り」とたたえた。父親の悦郎さん(61)は「一生懸命やってきた結果が認められ、親としてもうれしい」と話した。(鈴木 潤、小林省吾)



◎昨年の函館 新規住宅着工 12%減の1601戸

 函館市は18日までに、2009年の新築住宅着工戸数をまとめた。全体の戸数は前年比231戸(12・6%)減の1601戸で、2年ぶりに減少に転じるとともに、統計の残る2000年以降、最低の水準となった。長引く不況から一戸建ての減少傾向に歯止めがかかっていないことに加え、アパート・マンションなどの共同住宅も不調だった。

 市のまとめによると、昨年は一戸建てが同74戸(9・8%)減の680戸で4年連続の減少。アパ・マンと長屋を合わせた「集合住宅」は同14・6%減の921戸にとどまったが、昨年12月は172戸と、前年同月比から110戸増加した。これは市内桔梗町に90戸規模の介護付き高齢者専用賃貸住宅が着工し、共同住宅にカウントされたことが要因となっている。

 形態別では持ち家が同42戸(10・3%)減の365戸、貸家が同271戸(25・8%)減の779戸と低迷。分譲は同16戸(4・3%)減の355戸と微減だった。

 日本銀行函館支店は一戸建ての低迷について「ハウスメーカーは小型化し、価格を抑えた住宅販売にシフトしているが、雇用所得への不安がネックとなっている」と分析。財務省函館財務事務所も「個人の手取り収入が減っている状況下で、大きな耐久消費財には慎重な傾向が強い」と話す。

 また、新築住宅に欠陥があった場合、宅建業者が修繕したり損害を補償する責任を定めた住宅瑕疵(かし)担保履行法が昨年10月から本格施行され、「顧客にとっては心配せずに住宅が発注できるようになったが、盛り上がりは低い」(日銀)という。

 集合住宅について財務事務所は「08年は資産運用型の共同住宅着工が伸びたが、土地所有者が別地域に移り住む場合が多く、建築に結びついていかない」と分析。日銀も「高齢者向け住宅が増える可能性があるが、景況感が改善しないことには押し上げは難しい」と話している。(千葉卓陽)



◎大沼写真企画5 オジロワシ/雪景色の大沼に光る黄色いくちばし

 今冬も大沼にオジロワシが飛来した。氷結した湖面を見渡せる大木に止まり、鋭い眼光で、黄色い足とくちばしでとらえる餌を探す。

 大沼では例年、春先に多く飛来していたが、最近は冬から姿が見られる。八雲町などで採餌した後に、立ち寄るものとみられる。

 ユーラシア大陸北部で繁殖し、冬は主にヨーロッパ、アジアで越冬するが、ヨーロッパでは土地開発の影響などで一時絶滅した国もある。日本では国の天然記念物で、鳥類の絶滅危惧種に指定されている。

 「今年も変わらない自然だな」。他を寄せ付けない風格で大沼を見続けてほしい。


◎支庁再編 2度目の正式協議はメド立たず

 【江差】高橋はるみ知事は18日までに、日高振興局の機能や権限の縮小に懸念を示す「日高振興局を考える連絡協議会」の意見書に対して、文書で回答した。総合振興局に集約する広域事務の見直しは事実上の“ゼロ回答”で、道の強硬姿勢が改めて浮き彫りになった。日高や桧山など、振興局地域の反発は避けられない情勢で、支庁再編条例の施行が4月に迫る中で、道が早期の開催を模索する桧山管内での再協議も開催のメドが立たない状態だ。

 日高管内7町の34団体で組織する日高連絡協は昨年12月、道が廃止や集約の対象とした広域事務の見直しを求める意見書を道に提出。道は13日付けで文書で回答。事務集約により総合振興局と振興局で“二重行政”が生じるとの懸念には「事務の面で重複しないよう検討を進める」として具体的回答を避けた。

 広域事務の具体例として道が示した「主として市町村を対象とした事務」は「誤解を招いている面もある」として「必要な見直しを行う」とするにとどめた。地域福祉、保健・医療・福祉に関する計画の策定、推進、管理についても「専門的な助言は極めて頻度が低い」として、広域事務から除外しない方針。桧山・日高両管内が問題視する土木現業所の事務や権限の集約についても、道の従来通りの考え方を提示するのみだった。

 一方、道は日高7町などに回答が届く前に、道庁ホームページに回答書を掲載。日高側が「地元軽視だ」と激しく反発したため、同日中に削除するトラブルも。道は29日にも日高管内で条例に基づく初めての正式協議を開催する方針だが、地元側の反発により開催が危ぶまれる状況になっているという。

 道は桧山管内でも、早ければ月内にも2度目の正式協議を開く考えだったが、昨年12月の協議は、広域事務の位置付けをめぐり紛糾。桧山支庁管内町村会は「依然として入口論の域を出ていない。具体的協議に入れる状態ではない」としているほか、日高連絡協への回答についても、道が従来の主張を繰り返したものに過ぎないとの見方を示しており、道に対する不信感は高まる一方の状態だ。支庁再編をめぐっては20日、道議会道州制・地方分権改革等推進調査特別委員会が(工藤敏郎委員長)が桧山入り。管内7町長らと意見交換を予定している。(松浦 純)


◎地域活性化交付金 桧山7町で7億6484万円

 【江差】国の本年度第2次補正予算に盛り込まれた総額5000億円規模の「地域活性化・きめ細かな臨時交付金」は、桧山管内第1次交付額が7町合計で7億6484万円となった。交付金は公共施設の建設や修繕、老朽化した橋の補修、森林路線網の整備などインフラ整備に充てることができる。

 町別の交付額は、江差町7529万円、上ノ国町1億1505万円、厚沢部町8834万円、乙部町8085万円、奥尻町7618万円、今金町1億240万円、市町村合併に伴う合併算定替えが適用されるせたな町は2億2670万円となった。

 国の2008年度第2次補正予算では「地域活性化・緊急安心実現総合対策交付金」として7町に12億7905万円、本年度第1次補正予算でも「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」として17億639万円が交付された。今回は両交付金に続き3度目の大型交付金となる。

 これまでの交付金は、ハード・ソフト両事業に充てることができ、各町では定額給付金の支給に合わせた「プレミアム商品券」への補助金をはじめ、地上波デジタル放送の難視聴地域対策、学校を含む町立施設のデジタル化対応にも予算を計上した。今回の交付金は住民に身近なインフラ整備や施設補修などに限定されており、緊縮財政が続く各町では、財政難のため棚上げしていた町道や町営住宅など公共施設の維持補修などを重点的に進める方針だ。

 桧山管内では昨年4月以降、大型倒産の影響もあり地域経済が大きな打撃を受けたが「2度の交付金で公共工事の発注額が大幅に伸びた。地域経済には大きな恩恵があった」(江差町)と評価する声も大きい。(松浦 純)


◎温暖化防止条例説明会 概要や手続きを解説

 地球温暖化の防止に向けた取り組みを奨励する「北海道温暖化防止対策条例」が3月から本格施行されるのを前に、道は18日、渡島合同庁舎(函館市美原1)で同条例の説明会を開き、規則の概要や各種手続きの流れを解説した。

 同条例は燃料消費の多い企業に対して温室効果ガス削減計画の策定を義務付け、大規模な駐車場でアイドリングストップを促したり、自動車や家電の販売業者が省エネ性能などを情報発信したりしなければならない。この日は道南の事業者や自治体関係者ら約40人が参加した。

 道環境政策課の佐々木聡主査が道民一人当たりの二酸化炭素排出量が全国平均に比べて高い実態を紹介。特に暖房や広域な物流で家庭部門と運輸部門の使用割合が高いことを指摘し、1990年度の温室効果ガス排出量から9・2%削減する目標値を示した。

 続いて同課の鏡法裕主査が年間のエネルギー使用量が原油換算で1500キロリットル以上の事業者らを対象に義務化される削減計画書の策定方法などを説明。計画期間の3カ年は毎年報告が義務付けられ、「対象の事業者が計画書を提出せず、指導にも従わないときは道が勧告し、公表する場合もある」と話した。(森健太郎)