2010年1月21日 (木) 掲載

◎北斗市長選 告示まで1カ月

 【北斗】任期満了に伴う北斗市長選は2月21日の告示(同28日投開票)まで1カ月となった。現在までに立候補を表面しているのは、いずれも無所属の新人で、前副市長の高谷寿峰氏(57)と、市議の山本正宏氏(65)=以上五十音順=の2人。ほかに出場の動きは見られず新人同士の一騎打ちになる公算が高い。すでに両陣営とも市内に後援会事務所を構え支持者回りを展開しており、事実上の選挙戦は始まっている。(鈴木 潤)

 旧上磯町時代も含め連続9期35年にわたり首長を務めている海老沢順三市長(77)が引退を表明したのが、昨年11月下旬。海老沢市長が高谷氏を後継指名すると、12月中旬に山本氏が出馬を表明。現体制の継続か、刷新かが選挙戦の争点となっている。

 昨年12月16日に市役所を退職した高谷氏は同28日に市役所OBらを中心に後援会組織を立ち上げた後、今月16日に市内飯生に連合後援会事務所を、20日には旧大野地区にも事務所を構えた。今後は大票田となる七重浜地区にも事務所開設を検討している。

 高谷氏は「新化、進化、深化」をキャッチフレーズに新生北斗市の建設をアピール。現在実施している子供の医療費無料化の高校生までの拡大や、第2子以降の学校給食費の助成、本町商店街地区内を対象にした新規開業補助制度の創設などを公約に掲げる。

 複数の団体から推薦や支持を受けているが陣営幹部は「知名度が低く、厳しい」と危機感を募らせる。「告示までお茶懇など1件でも多くこなして支持獲得につなげたい」と、高谷氏の豊富な行政経験や実績を訴えていく。

 一方、山本氏は99年、2003年の旧上磯町長選、06年の市長選に続き4度目の首長選挙挑戦。前回選挙の後援会組織を母体に出馬表明した後、今月17日に七重浜に後援会事務所を構えた。2月上旬には旧大野地区にも事務所を開設する。

 山本氏は過去3度の選挙戦同様、行政の刷新を訴える。「流れを変えよう」をキャッチフレーズに現体制への批判票を取り込みたい考え。北海道新幹線開業をにらんだ観光拠点都市の確立や第一次産業のブランド化、児童手当の助成などを公約に掲げる。

 特定の団体からの推薦や支持を受けず、草の根活動を展開。陣営幹部は「過去の選挙戦と比べ雰囲気は悪くない」としており、「まずは1人でも多く後援会員を増やして支持拡大を図りたい」と力を込める。



◎北斗市と中央署、犯罪被害者等支援で協定

 函館中央署は20日、道内の市で初めて「犯罪被害者等支援条例」(4月1日施行)を制定した北斗市と被害者支援にかかわる協定を締結した。同署で開かれた調印式には、狩峰和彦署長と海老沢順三市長が出席。犯罪被害者の権利や利益保護を最優先課題に、情報の共有や各支援策の連携に向けて、協力態勢構築を確認した。

 同条例では、犯罪被害者らが日常生活や心の平穏を取り戻すまで、途切れない支援をするために必要な、市や市民、事業者らの責務を定めた。道内で十勝管内広尾町に次いで2例目となる見舞い金制度を盛り込み、被害者本人が全治1カ月以上のけがを負った場合に10万円、死亡した場合には遺族に30万円が支給される。

 協定では、見舞い金を速やかに支給できるよう、申請内容の確認に必要な情報を同署が市に提供するほか、各種施策の実施に相互が協力、連携を図ることが確認された。

 調印式で海老沢市長は「条例の円滑運用を図っていきたい。見舞い金の金額は微々たるものだが、被害者の心がいくらかでも癒やすことができれば」と述べた。また、狩峰署長は「条例の適用がないことを願うが、万が一の際には一生懸命サポートしたい。支援のみならず、条例制定は、地域の安全を守る機運を高める意義がある」と述べた。

 犯罪被害者支援に関する条例整備は、国が2005年に制定した犯罪被害者等基本法に基づき、全国の自治体で制定されている。道内では、127市町村に関連条例があり、単独条例は、北斗市で7例目、道南では松前町に次いで2番目。このほかの120自治体では、いわゆる「生活安全条例」に被害者支援にかかわる条項を盛り込んでいる。道警函館方面本部によると、管内(渡島、檜山と後志管内の一部)の21市町村で、条例未整備は函館市のみ。(今井正一)



◎西ききょう温泉の泉質新しく

 函館市西桔梗町444の「西ききょう健康グランド『西ききょう温泉』」(北原一樹社長)の泉質が新しくなった。開業当時からの湯元を新源泉に切り替えたもので、寒い日が続く中、「体のしんから温まる」と常連にも評判を呼んでいる。

 同温泉は1992年4月オープン。硫黄成分を多く含み、保湿効果、肌触りの良さが好評で「知る人ぞ知る函館の隠れた名湯」として、ファンは多い。

 施設内には、パークゴルフ場やサッカー場もあり、夏場はスポーツ愛好者の利用も多い。開業以来、長年、親しまれてきたが昨春から源泉の湯量が若干減った。

 「これまで多くの人に利用してもらい、この温泉を支えてもらってきた。これからも憩いの場として活用してもらいたい」(温泉関係者)と考え、営業にすぐさま支障が出るほどではなかったが、万一に備え新源泉の掘削を急いだという。

 昨年7月に新源泉を求めて掘削を開始。記録的な長雨で工事は難航を極めたが、1号井から函館山よりの約10メートル離れた地下深くから熱い湯が噴き出した。

 2号井の源泉温度は1号井より7度高い68・2度。泉質は、薄い茶褐色のナトリウム・カルシウム塩化物温泉で“先代”同様に効能も豊富だ。

 昨年12月27日から新源泉に切り替え、浴場では39度、43度、46度のかけ流しの湯船を楽しむことができる。1号井からの湯くみ上げは停止した。

 内風呂、露天風呂のほか、足湯もある。北原社長は「新しいお湯が出たのは運が良かった。健康づくり、癒やしの提供を掲げて、これまで以上にサービス充実を図りたい」と話している。

 営業は午前5時―午後11時半。無休。大人(中学生以上)370円、子ども150円。

 問い合わせTEL0138・49・7294。(田中陽介)


◎受験シーズン幕開け、私立高校推薦入試

 函館市内の私立高校7校で20日、一斉に推薦入試が行われ、本格的な受験シーズンが幕を開けた。大谷高校では受験生24人が緊張した様子で面接や実技に臨んでいた。

 この日は同校のほか、遺愛女子、函館大妻、清尚学院、函館大付属柏稜、同大付属有斗、函館白百合学園が入試を行った。函館ラ・サールは16日に実施し、18日に合格発表した。

 大谷高は2010年度の募集定員を普通、体育の両コース合計130人(前年度比12人減)とし、この50%に当たる約71人を推薦定員としている。試験は午前10時に始まり、市内のほか、北斗や七飯、八雲などから訪れた受験生が真剣な表情で面接官の質問に答えていた。

 受験した市内の男子生徒(15)は「緊張した。もし受かったら自転車競技を頑張りたい」、女子生徒(15)は「ちゃんと答えられて良かった」と話していた。7校の合格発表は21日。一般入試は2月16日に行われる。(新目七恵)


◎道議会道州制特別委が桧山入り、支庁再編で意見交換

 【江差】道議会の道州制・地方分権改革等推進調査特別委員会は20日、現地調査のため訪れた江差町で、支庁再編問題について管内7町の町長、町議会議長、産業団体と意見交換を行った。委員からは地域の合意形成を軽視する、高橋はるみ知事の政治姿勢を問題視する意見も相次いだ。

 濱谷一治江差町長は「道の拡大解釈で広域事務としては疑問符の付く事務も数多く含まれる」と指摘。外崎秀人今金町長も「政権交代で、政府は地域主権社会の実現を打ち出した。住民に身近な事務は市町村に移譲される。支庁再編ではこうした事務を渡島総合振興局に集約しようとしている」と批判した。山本豊今金町議会議長も「どこに住んでいても同じ道民として公平な行政サービスが受けられるべきだ。拙速に改革を進めるべきではない」と訴えた。

 また、桧山管内商工会連合会の飯田隆一会長は「経済基盤の弱い桧山から、雇用や産業支援などあらゆる事務を持って行くことは問題」と強調。ひやま漁協の市山亮悦組合長は「漁業者は遊漁船などとの調整に苦労している。桧山支庁が行う関連事務が無くなれば大きな混乱を招く」とした。桧山地区森林組合振興会の尾野輝夫会長も「保安林や森林施業計画などの事務集約に強い不安感がある」として、広域事務の見直しを要望した。

 これに対して、工藤敏郎委員長(留萌管内、自民党・道民会議)は「桧山地域で道が信頼関係を失ったことに胸が痛む。広域事務リストに含まれる『市町村を対象とした事務』の文言は、削除を含めて修正を求めたい」と述べた。

 副委員長の福原賢孝氏(桧山管内、民主党・道民連合)も「このような方法では信頼関係は構築できないことを知事に申し入れたい」とした。

 藤沢澄雄氏(日高管内、自民党・道民会議)は「道がなし崩し的に事務集約を進める懸念が地域にある。教育局再編でも、特別支援教育の専門職員が配置されないのは4つの振興局地域だけ」と不満を示した。真下紀子氏(旭川市、共産党)は「道の対応は(道市長会、道町村会など)地方4団体との合意を無視するものだ。桧山だけが文句を言っているというような道の説明には問題がある」と述べた。

 特別委は21日は、上ノ国、乙部、今金、せたなの各町で現地視察を予定している。(松浦 純)