2010年1月25日 (月) 掲載

◎多彩な味覚 美味…「かみのくに食遊祭」で鍋中心に40種類

 【上ノ国】地元の農水産物を生かした多彩な味覚や、地域に隠れた家庭料理などを消費者にPRするイベント「第3回かみのくに食遊祭」(実行委主催)が24日、上ノ国町民体育館で開かれた。大勢の来場者は、旬の鍋料理を中心とする約40種類の料理や加工食品に舌鼓を打っていた。

 会場のブースには、町内をはじめ江差町などから参加した飲食店、食品業者、農漁業に携わる女性グループなど22団体が出店。腕によりをかけた鍋料理をはじめ、昔懐かしい「かたこもち」や「黒米入り大福」などの菓子類、新鮮な農水産物を生かした、塩辛や漬物などをお手ごろ価格で提供した。

 鍋料理などは1品250円で味わえるとあって、大勢の来場者は、クジラ汁、アワビ汁、キムチ鍋、ちゃんこ鍋を幾つも食べ比べていた。江差町から訪れた女性(38)は「どの鍋料理もとてもおいしい。塩辛などの地場産品も買うことができて良かった」と笑顔で話していた。

 会場では、地域の飲食店や個人の創作料理、伝統の郷土食などの出来栄えを競う「我が家・我が企業のうまいものコンテスト」も開催。工藤昇町長、高橋則克檜山支庁長、小林恭平商工会長、岩田良子観光協会長ら9人が審査を行い、「ホッケの切り込み」(食彩工房)が最優秀賞を受賞した。優秀な賞品は商品化や町内でのテスト販売も計画しているという。(松浦 純)



◎「ふるさと基金」廃止へ 桧山7町と道

 【江差】桧山広域行政組合(理事長・濱谷一治江差町長)を構成する管内7町と道が資金を積み立て、運用利息などで地域振興に関する事業を進めてきた「桧山ふるさと市町村圏基金」が、年度内をめどに廃止されることが決まった。基金廃止に伴い、事業を実施している。同組合の組織体制の見直しや、江差町を中心とする派遣職員の取り扱いといった課題も浮上。今後は管内7町による協議が本格化しそうだ。

 基金設置などの根拠としてきた、国の「ふるさと市町村圏推進要綱」が、昨年3月31日に廃止されたことに伴い、道は出資分の1億円について返還を要請。このため管内7町も基金の廃止について合意した。残額は各町に返還する。基金は道と管内10町(当時)の出資で発足した。08年度の残高は9億1957万円。だが、低金利の長期化を背景に、運用益が落ち込んでいる現状から、国は基金を取り崩し可能とするなど運用基準を緩和。北桧山、瀬棚、大成の3町合併で発足したせたな町が、旧2町分の出資取り崩しを要請。経営難で解散した7町の第3セクター・桧山物産公社(江差町)の負債整理などに充当するほか、各町が一般会計に充当する目的で、同年度には7町合計で3億887万円を取り崩しており、道出資分を含む現在の残高は6億1070万円となった。

 7町の一部事務組合である、同組合の主な事務は@広域市町村圏計画Aふるさと市町村圏基金B消防に関する事務―からなる。組織体制は7町の消防署を統括する消防本部と、総務、財政、地域振興の3係からなり、基金運用や地域振興に関する事務を行う総務企画課がある。

 組合職員は江差町を中心とする派遣職員で構成しているが、基金廃止や旧要綱に基づく「ふるさと市町村圏」の廃止に伴い、消防を除く多くの事務が廃止の対象となるため、大幅な組織体制の見直しが課題となる。構成町からは「行政組合そのものを解散して組織体制を見直すべき」との声もある。

 一方、派遣職員の人件費は組合が負担しているが、複数の職員を派遣している江差町は本年度、自治体財政健全化法に基づく早期健全化団体に指定されるなど、深刻な財政難に陥っている。こうした中で課長級を含む、複数の職員の派遣を一斉に取りやめた場合には「町の人件費負担が急激に増加する。財政健全化への影響は避けられない」(町幹部)として、他の6町に柔軟な対応を求めている。組合発足当時は、役場の規模が大きい江差町に、職員派遣を依存していた背景もあるため、他の構成町は「江差町の財政事情や職員採用の動向を見極めながら、新年度以降の組織機構について議論したい」(ある町長)と話す。基金廃止や組織体制の見直しには、管内7町議会による規約変更の議決が必要となり、同組合は年度内をめどに構成町による協議を進める方針だ。(松浦 純)



◎策定作業が難航 「まちづくり3カ年計画」政権交代で財政試算影響

 来年度から3カ年の事業や施策の指針となる、函館市の「まちづくり3カ年計画」の策定作業が難航している。例年、年末に発表しているが、昨年の政権交代で財政フレームにいまだ不透明な点が多く、予算編成ともども国の作業の遅れに引きずられているのが現状。市は「2月の予算発表後に公表したい」としている。

 まちづくり3カ年計画は市の新総合計画(2007―16年度)に基づき、具体的な事業や施策を盛り込んだ計画で、予算編成作業の指針となる。毎年作成しており、3年間の事業費とともに、ハード・ソフト両面で取り組む施策を明示している。

 本年度は民主党政権の誕生によって予算編成作業の方法が一変。臨時財政対策債(赤字地方債)を合わせた実質的な地方交付税の総額は前年度比17・3%増の24兆6004億円となることが示されているが、各地方自治体への配分額はいまだ明らかになっていない。市にとっては前年度を参考にして財政収支を策定することはできないため、まちづくり3カ年計画の基礎となる、中期財政試算の策定も遅れている。

 市計画調整課は「政権交代や事業仕分けが大きく影響している。各事業が実施できるか否か、不明瞭な部分も多く、さらに情報収集が必要となっている」と話している。(千葉卓陽)


◎地場野菜の料理振る舞う 八百―ねっと交流会

 【北斗】農業生産者団体「八百―ねっと」(同市千代田、高坂重勝代表)の交流会が24日、北斗市農業振興センターで開かれた。生産者や消費者ら約130人が参加し、道南の食材を主に使って調理した約20種類の料理を味わった。

 同団体は2001年に野菜の宅配から事業をスタート。昨年MEGAドン・キホーテ函館店(函館市美原)に店舗を構えた。交流会は、生産者と消費者が交流する場として02年から実施しており9回目となる。

 高坂代表はあいさつで、多くの来場に感謝し、「農業のことを知ってほしいという気持ちがある。作る人と食べる人でたくさん話をしてほしい」と呼び掛けた。

 料理は、北斗市産の米ふっくりんこや、高坂農園(同市)の生卵、函館・北斗市産の食材をふんだんに使った豚汁などがずらりと並んだ。来場者は次々と味わったり、販売している食材や漬物などの加工品を買い求めていた。(小泉まや)


◎函館の歴史 多くの人に 無料ガイドツアー好評

 五稜郭タワー(函館市五稜郭町43)では今月から、観光客を対象とした無料の歴史ガイドツアーを実施している。はこだて検定(函館歴史文化観光検定)上級合格者で同タワー企画室長の木村朋希さん(47)がガイド役を担当。分かりやすい解説により評判を呼んでいる。

 以前から団体の小学生などを案内する機会が多かった木村さんは「もっと深く五稜郭の歴史を学んで、利用者に喜んでもらいたい」の思いから、勉強を積み重ねて知識を深めていった。2007年に行われたはこだて検定の上級試験では、合格率2・3%という難関を見事に突破した。

 ガイドツアーでは、展望台のガラス窓から見える今年オープン予定の箱館奉行所を眺めながら、五稜郭の役割や箱館戦争のエピソードなどを紹介していく。観光客の出身地や年齢に応じて説明内容を臨機応変に変更するなど、興味を持ってもらうために様々な工夫をこらしている。

 ツアーに参加した、仙台から観光で訪れた高橋勝彦さん(69)は「『箱館』から『函館』へと名前が変わった経緯がよくわかった」。妻秀子さん(66)は「漠然としていた五稜郭のイメージが鮮明になった」と新たな発見に目を輝かせていた。

 ガイドツアーの実施時間や回数は、日によって異なるが、開始1時間前には館内放送で参加を呼び掛ける。木村さんは「自分のガイドを通じて、函館や五稜郭の歴史を多くの人たちに知ってもらえればうれしい」と話していた(黒田  寛)